正直言って税込み5000円弱の金額だったのでどうしようかと思ったけれども、届いてみるとA4版の500ページの情報量はかなりのもので納得ができた。
中身は57年6月のクォリーメンの初ステージから、70年4月10日のビートルズの終わりの宣言まで、日付のわかるライブやレコーディングの模様を詳細に書き込んであって、ほとんど関係者の書いた日記のようである。The Complete BEATLES Chronicle 1957-1970 というサブタイトルがついている理由がよくわかる。
そのいくつかを抜粋するのが一番本書の雰囲気がわかるのだが皆の知っているエピソードでは今一なので、曲に関するものを抜いてみる。ちと長いので若干編集してしまうがご勘弁。
1966/12/22 EMI第2スタジオ:London
'StroberyFieldsForEver'の際立って違う2種のバージョンについてジョンが頭を抱えていたのは、どちらも気に入ってしまったことだった。いっそのことジョージマーチンが何とか2種のバージョンをつなげてもらえないだろうか?マーティンの返事はキーもテンポも違いとてもできないと言うことだった。「だったら、キーもテンポも合わせちゃう事ぐらいできるんじゃないの」とジョンは返した。そこでジョージマーチンとジェフ・エメリックは午後7時30分から11時30分までスタジオにこもり、ジョンの希望がかなえられるかどうか試してみることにした。テイク7の新たなミックスの速度を上げ、テイク26の新たなミックスの速度を落としたところ奇跡が起きた。テンポとキーが同時に一致し、マスター・テイクを作ることができたのだ。自分で確かめたい読者のために断っておくと、リリースされたバージョンではこのつなぎ目は、曲の冒頭から60秒目のところにある。11月22日にレコーディングを開始した 'StroberyFieldsForEver'は、ようやく見事に完成を見た。
確かめてみるとちょうどその辺りからストリングスのセクションが入ってくるところで、少し早め入ってくるドラムが気持ち良くてこの辺のミックスやらアレンジやらがうまいね、なんとも。やっぱりジョージ・マーティンの力なのかなと改めて感心する
とは言うもののやはりビートルズではその最後もひとつの興味のポイントになってしまう。
結局最後は危機を感じて4人で演奏していた時代に戻ろう、Get Back しようと何とか集まってライブの演奏に戻りたいという意思も皆間見えるのだが、そこでできた Abby Road は違う意味での傑作になってしまう。その不安定な状況はこの本の中にみることができ、また同時にその状況の中でもアルバムや曲がきちんと出来上がっていく動きもみれて面白い
中でも GetBack という言葉はあの屋上の演奏に繋がっていくのだけれども、ポールが Get Back と声を張り上げて歌ったところで Jojo も Lorreta Martin もどうせ戻ってこないことはわかっていた。結局 Get Back と呼びかける声はアルバム名にはならず、マリア様に告げられる Let It Be(あるがままに任せよ)という言葉の曲名で最後のアルバムが締めくくられている。
これはひとつのメッセージなのだろうとこの本を読んで今頃やっと気がつくことになってしまったのは不明と恥じるしかない。
ポールの歌詞の中でのかすかな抵抗は
「彼らにとって分かれる時が来ても、また会えるチャンスはまだある。
きっとそこに答えがあるんだ Let it Be」
とあることだが、ポールが思ったような形(ツアーにでるとか?)でビートルズが残ることもなく、やはりあるがままに任せるしかなかったのだろうこともまた本書から読み取れる気がするのである

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ザ・ビートルズ ワークス The Complete BEATLES Chronicle 1957-1970 単行本(ソフトカバー) – 2008/11/26
マーク・ルイソン
(著),
ザ・ビートルズ・クラブ
(監修, 読み手, 翻訳)
ドキュメント全記録!世界No.1バンドの4,689日ライブ&レコーディング、そして4人の真実!
1957年、ジョン・レノンのバンド「クオリーメン」にポール・マッカートニーが参加。1960年にバンド名を「ザ・ビートルズ」と改め活動を開始。以来、1970年の解散まで、ザ・ビートルズのライブ、レコーディングからテレビやラジオ、映画出演など、メンバー4人の活動の軌跡を完全網羅したドキュメント全記録集。日本で唯一のオフィシャル・ファンクラブ、ザ・ビートルズ・クラブの翻訳・監修により、ついに完成!
★「これは、もっとも信頼のおける貴重な本である。もちろん当の私たちより詳しい。ビートルズがいつ、どこで、何をしてきたかについて完璧に記述した最初の本であると断言できる」 ジョージ・マーティン(ビートルズ・レコーディング・プロデューサー)
★「ビートルズにも下積み時代があり、スターダムに上り詰めるまでハードスケジュールをこなしてきました。この記録を読めば、いま一度ビートルズの歴史が生き生きと甦るでしょう」斎藤早苗(ザ・ビートルズ・クラブ代表)
1957年、ジョン・レノンのバンド「クオリーメン」にポール・マッカートニーが参加。1960年にバンド名を「ザ・ビートルズ」と改め活動を開始。以来、1970年の解散まで、ザ・ビートルズのライブ、レコーディングからテレビやラジオ、映画出演など、メンバー4人の活動の軌跡を完全網羅したドキュメント全記録集。日本で唯一のオフィシャル・ファンクラブ、ザ・ビートルズ・クラブの翻訳・監修により、ついに完成!
★「これは、もっとも信頼のおける貴重な本である。もちろん当の私たちより詳しい。ビートルズがいつ、どこで、何をしてきたかについて完璧に記述した最初の本であると断言できる」 ジョージ・マーティン(ビートルズ・レコーディング・プロデューサー)
★「ビートルズにも下積み時代があり、スターダムに上り詰めるまでハードスケジュールをこなしてきました。この記録を読めば、いま一度ビートルズの歴史が生き生きと甦るでしょう」斎藤早苗(ザ・ビートルズ・クラブ代表)
- 本の長さ512ページ
- 言語日本語
- 出版社洋泉社
- 発売日2008/11/26
- ISBN-104862483585
- ISBN-13978-4862483584
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登録情報
- 出版社 : 洋泉社 (2008/11/26)
- 発売日 : 2008/11/26
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 512ページ
- ISBN-10 : 4862483585
- ISBN-13 : 978-4862483584
- Amazon 売れ筋ランキング: - 602,895位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 924位海外のロック・ポップス
- カスタマーレビュー:
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2008年12月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2009年1月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
全記録の新装改訂版です。
どこが変わったのかだけ、マークしてくれたらよかったのに(笑)
新しく購入される方には、こちらがちょうどよろしいですよ。
ライブ会場の名前が中途半端にカタカナになっているのは困ります。
それだけが問題だな。
どこが変わったのかだけ、マークしてくれたらよかったのに(笑)
新しく購入される方には、こちらがちょうどよろしいですよ。
ライブ会場の名前が中途半端にカタカナになっているのは困ります。
それだけが問題だな。
2009年11月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ビートルズのレコードデビューは1962年だが、ビートルズとしての実質的バンドのスタートはジョンとポールの出会った1957年7月6日に由来するのはご承知の通り。記念すべき運命の出会いの1957年からグループ活動の日時を明確にしながら、レコーディングやコンサートツアー、映画撮影、側近や知人、友人の語りを通じて見えてくるものが大変貴重で新たな発見がある。ジョンの結成したクウォリーメンにポールが加わり大きな化学反応を起こし偉大な4人の才能が生成開花した。ビートルズは、もちろん天賦の才があったのだけれど、やはり彼らの大成功の鍵は、キャバーンクラブでの猛烈なライブパフォーマンスと魅力的な出会いがあったからだ。美術学校の親友スチュアート・サトクリフ、苦労時代の恋人(のちに結婚)シンシア・パウエル、才能を確信して世界進出へと導くマネジャーブライアン・エプスタイン、EMIオーディション合格授与者でレコーディングやミキシングの恩人ジョージ・マーチン、反戦シンガーボブ・ディラン、ライブ活動を止めた後のロンドン個展で巡り合う前衛芸術家小野洋子など多くの奇跡的で有益な出会いが、まだ十代二十代そこそこで世間知らずで突っ張っていた革ジャンロッカー達を「普遍的な愛」が賛美できる「ロッククリエーター」へ躍進させ、さらに「哲学や宗教への造詣」を深めさせ、「ヒューマニズムに基づいた平和提唱」者へと向かわせた。港町リバプール界隈から始まって、ハンブルク、ロンドン、スコットランド、アイルランド、英全土、欧州、米国、極東アジア、豪州、インドなどの主要都市で数千回にも及ぶライブツアーや瞑想活動を成就しながら“純粋無垢なる4つの魂”は、世界中の文化エッセンスを吸収していった。“4つの高精度ろ過器”から蒸留されたる名品の数々は、21世紀の今になってもなお、「売上げ世界記録」や「世界中のファン」を増やし続けている。この貴重な活動記録を読めば、「毎日ラジオから聞こえてくるエルビス・プレスリー」の様になりたいという“夢”を諦めなかったリバプールの港町に生まれたほんの小さなアマチュアバンドがいかに世間の想像を超えて劇的に進化・発展・成長・成熟して行ったかが分かる。読み終えて1つ言える事は、たとえビートルズといえども成功への条件である「下積み経験と運命的出会い」、「ビジネス戦略と熱烈なるファンの創造」、「絶対成功への信念と創作作品へのこだわり」が揃わなかったらここまで歴史に残る普遍的スーパーバンドにまで到達出来ていたかどか・・・である。そう考えると、やっぱり「すばらしい!FAB4」の生き様がいつまでも頭をはなれないのです。
2013年5月3日に日本でレビュー済み
ビートルズの1957年から1970年までの活動の記録を日別に。(最近、1962年を熟読しました・・・)
もう、文字からビートルズが躍動するかのようです!
以下、目次。
序文/サー・ジョージ・マーティン P4
はじめに/マーク・ルイソン P6
ビートルズ、永遠のクロノロジー/ザ・ビートルズ・クラブ P10
1957〜1959年 クオリーメン登場 P13
1960年 ビートルズ誕生、ハンブルクへ P24
1961年 リバプールでの大躍進 P43
1962年 レコード・デビュー P74
1963年 イギリス制覇 P120
1964年 アメリカ制覇 P179
1965年 アイドル、ツアーへの疑問 P233
1966年 レコーディング期へ P269
1967年 サージェント・ペパー P303
1968年 バンドという意識の崩壊 P352
1969年 ゲット・バック P391
1970年 ひとつの時代の終焉 P440
付録 DATA・INDEX
RECORDING・・・公式発表曲(1962〜1970年)レコーディング&ミキシング完全データ
LIVE CONCERT・・・デビュー前も含むライブ・コンサートでの演奏曲データ:デビュー前の日付のはっきりしないライブ出演記録:実現しなかった出演契約記録:国別コンサート会場リスト
RADIO & TV・・・イギリスでのラジオ&テレビ出演完全記録:イギリス、BBCラジオ・セッションでの演奏曲完全データ:イギリスでのテレビ出演完全記録
DISCOGRAPHY・・・イギリス盤、アメリカ盤ディスコグラフィ:イギリス、アメリカ各種チャートでの最高位リスト(1962年〜1970年)
もう、文字からビートルズが躍動するかのようです!
以下、目次。
序文/サー・ジョージ・マーティン P4
はじめに/マーク・ルイソン P6
ビートルズ、永遠のクロノロジー/ザ・ビートルズ・クラブ P10
1957〜1959年 クオリーメン登場 P13
1960年 ビートルズ誕生、ハンブルクへ P24
1961年 リバプールでの大躍進 P43
1962年 レコード・デビュー P74
1963年 イギリス制覇 P120
1964年 アメリカ制覇 P179
1965年 アイドル、ツアーへの疑問 P233
1966年 レコーディング期へ P269
1967年 サージェント・ペパー P303
1968年 バンドという意識の崩壊 P352
1969年 ゲット・バック P391
1970年 ひとつの時代の終焉 P440
付録 DATA・INDEX
RECORDING・・・公式発表曲(1962〜1970年)レコーディング&ミキシング完全データ
LIVE CONCERT・・・デビュー前も含むライブ・コンサートでの演奏曲データ:デビュー前の日付のはっきりしないライブ出演記録:実現しなかった出演契約記録:国別コンサート会場リスト
RADIO & TV・・・イギリスでのラジオ&テレビ出演完全記録:イギリス、BBCラジオ・セッションでの演奏曲完全データ:イギリスでのテレビ出演完全記録
DISCOGRAPHY・・・イギリス盤、アメリカ盤ディスコグラフィ:イギリス、アメリカ各種チャートでの最高位リスト(1962年〜1970年)
2008年12月27日に日本でレビュー済み
1994年に出た「ザ・ビートルズ/全記録」の上下巻を一冊にしたリニューアル版。「全記録」を持ってるので正直買おうかどうか悩んでますが、肝心なことは内容が改訂されているかどうか。両方とも持っていない方はこちらの新装版を買ったほうが値段的にお得だと思います。
2022年3月19日に日本でレビュー済み
この本は、ビートルズのアンソロジープロジェクトにも参加したマーク・ルイソンがビートルズの活動日に注目した本です。レコーディング内容、ライブ内容、テレビ内容が書かれています。この本を読むといかにビートルズがタイトなスケジュールで動いていた事がわかります。
ビートルズのスケジュールを知りたい人は是非読む事をおすすめします!
ビートルズのスケジュールを知りたい人は是非読む事をおすすめします!