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フェルメール 光の王国 (翼の王国books) 単行本 – 2011/8/3
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私は旅に出た。
画家ヨハネス・フェルメールと顕微鏡の祖アンソニー・ファン・レーウェンフック、そして哲学者ベネディクト・スピノザ。 同じ年、同じ国に生を享けた彼らが同様に求めたもの、それは「光のつぶだち」だった。
その光に導かれた旅の果てに辿りついた、大胆な仮説とは?
生物学者・福岡伸一がおくる極上の美術ミステリー紀行。“フェルメールの作品が所蔵されている美術館に実際に赴き、鑑賞する"をコンセプトに、世界各地の美術館が擁する珠玉のフェルメール作品を4年をかけて巡った、ANA機内誌『翼の王国』の人気連載の美術紀行が、ついに書籍化。
- 本の長さ256ページ
- 言語日本語
- 出版社木楽舎
- 発売日2011/8/3
- 寸法21 x 14.8 x 2.5 cm
- ISBN-104863240406
- ISBN-13978-4863240407
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出版社より
【目次】
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第一章 オランダの光を紡ぐ旅フェルメール、レーウェンフック、そしてスピノザ ── フランクフルト、アムステルダム、ライデン フェルメール、ラピスラズリ、そしてエッシャー ── ハーグ フェルメール、エッシャー、そしてある小路 ── デルフト |
第二章 アメリカの夢東海岸の引力 ── ワシントンD.C. ニューヨークの振動 ── ニューヨーク 光、刹那の微分 ── ニューヨーク |
第三章 神々の愛でし人言葉のない祈り。そしてガロア ── パリ、ブール・ラ・レーヌ 幾何学の目的。そしてルイ=ル=グラン ── パリ |
第四章 輝きのはじまりフェルメール、光の萌芽 ── エディンバラ 無垢の少女 ── ロンドン フェルメールの暗号(コード) ── ロンドン 旋回のエネルギー ── アイルランド |
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第五章 溶かされた界面、動き出した時間つなげるものとしての界面 ── ドレスデン 溶かされた界面 ── ベルリン、ブラウンシュヴァイク 壁、そして絵画という鏡 ── ベルリン |
第六章 旅の終焉土星の輪を見た天文学者 ── パリ 時を抱きとめて ── ウィーン |
第七章 ある仮説 |
あとがき |
商品の説明
出版社からのコメント
著者について
登録情報
- 出版社 : 木楽舎 (2011/8/3)
- 発売日 : 2011/8/3
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 256ページ
- ISBN-10 : 4863240406
- ISBN-13 : 978-4863240407
- 寸法 : 21 x 14.8 x 2.5 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 57,869位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,904位エッセー・随筆 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
ふくおかしんいち
1959年東京生まれ。京都大学卒。
米国ハーバード大学研究員、京都大学助教授などを経て、現在、青山学院大学総合文化政策学部教授。分子生物学専攻。専門分野で論文を発表するかたわら、一般向け著作・翻訳も手がける。
2007年に発表した『生物と無生物のあいだ』(講談社現代新書)は、サントリー学芸賞、および中央公論新書大賞を受賞し、67万部を超えるベストセラーとなる。他に『プリオン説はほんとうか?』(講談社ブルーバックス、講談社出版文化賞)、『ロハスの思考』(ソトコト新書)、『生命と食』(岩波ブックレット)、『できそこないの男たち』(光文社新書)、『動的平衡』(木楽舎)、『世界は分けてもわからない』(講談社現代新書)、週刊文春の連載をまとめたエッセイ集『ルリボシカミキリの青』(文藝春秋)など、著書多数。
最新刊は対談集『エッジエフェクト−界面作用−』(朝日新聞出版)。
現在、ヒトがつくりかえた生命の不思議に迫る番組、NHK—BS「いのちドラマチック」に、レギュラーコメンテーターとして出演中。また、生物多様性の大切さを伝えるための環境省の広報組織「地球いきもの応援団」のメンバーもつとめる。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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これはよくある美術解説本ではなく
福岡伸一氏が
「フェルメールの作品が所蔵されている美術館に赴いてその作品を鑑賞する」という
旅の紀行・感想文です。
フェルメールの絵がおかれている地域の風土を感じながら
あるいはその都市の匂いや音の中でフェルメールを見る。
そうすることによって、それまで気づくことのなかった時間の流れや、作品に内包された
光と影の意味が浮かび上がるかもしれない。
そう思いながら世界を回ってきた。(252ページ)
まさに、オランダではオランダの、ドイツではドイツのフェルメール
その国の辿った歴史の中での美術館 その所蔵の絵画
そしてその所蔵美術館による修復フィロソフィーの違い。。
そのようなものを教わりながら、私も長い旅をしたような満たされた読後感。
フェルメール絵画集を望む方はそちらを買えばいいのであって
著者の写真が絵画のそばにあるのが不満とか「混入」とか言っているレビュアーは
的外れだと思う。
アメリカではロックフェラーや野口英雄に思いをはせ
スコットランドではスコッチを含み
ベルリンの壁の残滓に手を当て
「真珠の首飾り」に遠い自分を絵画という写し鏡の上に見て
パリの夜空に「天文学者」の星座を思い・・・
ドナウの流れに「絵画芸術」の月桂冠の青を思う
これは飽くなき探求心と科学するロマン、センチメント
そして共感する優しい心に溢れた福岡伸一氏の旅の本なのです。
「羊たちの沈黙」のレクターとクラリスが
フェルメールの絵をその国で見るために世界一周旅行に旅立ったことを思い出しました。
絵の写真の色彩が正確で、実際に近い。
最初の授業は福岡氏の『ルリボシカマキリの青』だった。
その生物学者が、フェルメール展の監修とは、どの様な関わりなのか、
息子の国語総合に採用されていた著者ということに関心を持ち、
会場のデパート内にある美術館へ足を運んだ。
福岡氏のレクチャーを聴き、著作との距離感がかわり、
教科書の単元内容が瞬時に浸透して行くことを体感。
今回、本書の読後、教科書を再読し、得心。
“私は虫を集めて何がしたかったのだろう。
それは今になるとよく分かる。
フェルメールでさえ作りえない青の由来を、
つまりこの世界のありようをただ記述したかったのだ。”
(『ルリボシカマキリの青』結びより)
本書を読んでみて、
寛ぎと緊張感の均衡と調和の良い文章の中で、
流れている時間のテンポがよく、
写真からは澄んだ空気感が伝わって来た。
フェルメールについては、
私自身が絵の前に立った時に受けた印象や手掛かりとは重なるところが違い、
絵画作品の見方が違うのだと感じた。
勿論、福岡氏は造詣が深く、
素敵な紀行文読後の余韻の中に私はいる。
掲載されたレーウェンフックの自筆やスケッチは、見応えがあった。
ヨハネス・フェルメールJohannes Vermerの誕生日(1632年10月31日)に。
『フェルメールの作品が所蔵されている美術館に赴いてフェルメールの絵が置かれている風土を感じながら、あるいは、その都市の匂いや音の中でフェルメールを見る。そうすることによって、それまで気づくことのなかった時間の流れや、作品に内包された光と影の意味が浮かび上がるかも知れない。・・・。今、あらためて写真を見ると、フェルメールの絵画そのものだけでなく、それぞれの絵をおさめた額縁の起伏や直線、背面の壁のやわらかな文様、いたるところに輝かしく、あるいはひっそりと宿っていることがわかる。・・・。』
『些か贅沢な筆者の構想』(上記に引用)が、見事にも実現された著作です。今現在では本著作にしか見ることができない稀有な構図の写真もあって、永く愛蔵したい著作の仲間に入っています。
非常に残念だった。
繰り返し強調するが、この本のメインにあるのは「フェルメール」でも「福岡伸一」でもなく「旅」だ。
絵画そのものではなく、絵画が現存する環境への言及が大部分である。章ごとの繋がりも煩雑な印象が強い。
美しい絵画と風景の写真、エレンガントな文体で構成された各章は素晴らしいのに、一つの本として見ると煩雑な印象を禁じ得ない、なんとももったいない一冊だった。
これは例えば、「フェルメールを求めて」みたいなタイトルにして、明確に紀行本として発信するべきだったのではないだろうか。
とはいえ、一つ一つのテキストは福岡さんらしい芸術とサイエンスの美に対する愛に溢れたエレガントな文体であり、結局、最終的にはそこに救われている感が強い。