今まで2巻分が「ユーロマンガ」というバンド・デシネ専門のMOOKで連載されていましたが、待望の単行本化です。
フランス本国では1巻〜3巻まで分冊で発行されていますが、コンパクトに一冊にまとまって、かなりお得なものになっています。
しかしながらフランス版の上品な表紙のデザインと異なり、ケバケバしい赤の表紙が、何ゆえそのデザインにしたのか意図が不明。
タイトルの書体も本国のものと違って、あえてキッチュな外国絵本風の書体にしているのがとても気になります。
悪い意味で日本人向けのデザインというか・・・ いかにも「これは外国の漫画ですよ!!」と主張したかったんだろうなあ、と思いました。
フランス版の本を大切に大切に持っている私からいうと、表紙がとても残念です。
そして漫画の中身は、というと、日本人には理解不能な意味不明さ(笑)
しかしナンセンスな中にとても哲学的な要素が織り交ぜられていて、手探りで意味の分からないブヨブヨしたものを探りながら、時々「あっ、理解できそう」と思う物質に触れる感覚です。
漫画の中に愛嬌のある悪魔が登場するのですが、自分は全世界の悪の世界を支配する悪魔だと信じて疑いません。
犬たちに、「あなたは人間が恐れる悪魔であって、我々が恐れる対象ではない」と言われても信じないのです。
しかし悪魔もひょんなことで視界が広がり、自分以外にも魑魅魍魎の悪魔がいることを知ってしまいます。
人間以外の動物や、キリスト教徒以外の民族が恐れる悪魔・・・ 井の中の蛙大海を知らず。
すべての解釈の尺度を人間において考えるからこの世は不幸でいっぱいなのだ、
一次元的なものの見方しかできないことはなんて愚かしいことだろう。
悪魔も、逆に言うと神でさえ、絶対のものは存在しないのだ、
と私はそう感じました。
この漫画の大好きなところは、他にも絵作りの凄みにあります。
様々な画材を駆使して物質的に描き込まれている画面は、ド・クレシーの脅威の色彩感覚とマチエールの面白みを存分に見せてくれます。
1巻2巻はカラーインクやガッシュ、パステルなど多彩なアナログ画材で描かれ、3巻目はデジタル彩色され、ありとあらゆる彩色方法を試してみた、という具合です。
作家本人がどこまで漫画表現で描けるか、実験を行ったと語っています。
絵を描くのが好きな人には、彩色表現のお手本サンプル集にもなり得るのではないでしょうか。
じっくり絵の美しさを楽しみ、難解なのか、ただのナンセンスなのか分からないストーリーに思う存分首をかしげて味わっていただきたい一冊です。
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天空のビバンドム 単行本 – 2010/11/12
ニコラ・ド・クレシー
(著)
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- 本の長さ200ページ
- 言語日本語
- 出版社飛鳥新社
- 発売日2010/11/12
- 寸法18.7 x 1.7 x 24.6 cm
- ISBN-104864100446
- ISBN-13978-4864100441
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登録情報
- 出版社 : 飛鳥新社 (2010/11/12)
- 発売日 : 2010/11/12
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 200ページ
- ISBN-10 : 4864100446
- ISBN-13 : 978-4864100441
- 寸法 : 18.7 x 1.7 x 24.6 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 398,541位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 217,664位コミック
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2010年11月28日に日本でレビュー済み
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2014年10月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
誰のために有って、どう変わらざるをえないか、がちょっと変わった視点で楽しめた。背景の描写は勿論、登場人物?の感情によって変わるタッチも良かった
2011年10月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
先程目を通し始めたところなのですが、驚きをだれかに伝えたい。例え中途半端なレビューでも今すぐ書かないではいられない気持ちになってしまいました。
絵が、一コマ、一コマの絵が、動いています。飛び出て私の方に向かってきます。こんな体験は初めてです。ちょっと落ち着いて、「コマ割」のせいか? とも思ったのですが・・・違います。それだけではないようです。他を手で覆って一コマだけ見ても、静止画の域を超えています。それがまとまると、相乗効果で一ページまるごとドドーッと押し寄せて来ます。
もう少し落ち着いて・・・なんでだろう? すごく抽象的な表現ですが、絵のなかに空気がしっかり描かれているのです。(画材、タッチ、色彩へのこだわりの成果なのでしょうか。)
数ページに渡るセリフの無い何コマかのあと、「体から切り離された頭」のモノローグからミステリアスに始まりますが、一コマに見入ってしまい、なかなか読み進まないのです(笑)。「文芸作品のような漫画」ということだそうですね♪
面白い本を手に入れました。ゆっくり楽しめそうです。
絵が、一コマ、一コマの絵が、動いています。飛び出て私の方に向かってきます。こんな体験は初めてです。ちょっと落ち着いて、「コマ割」のせいか? とも思ったのですが・・・違います。それだけではないようです。他を手で覆って一コマだけ見ても、静止画の域を超えています。それがまとまると、相乗効果で一ページまるごとドドーッと押し寄せて来ます。
もう少し落ち着いて・・・なんでだろう? すごく抽象的な表現ですが、絵のなかに空気がしっかり描かれているのです。(画材、タッチ、色彩へのこだわりの成果なのでしょうか。)
数ページに渡るセリフの無い何コマかのあと、「体から切り離された頭」のモノローグからミステリアスに始まりますが、一コマに見入ってしまい、なかなか読み進まないのです(笑)。「文芸作品のような漫画」ということだそうですね♪
面白い本を手に入れました。ゆっくり楽しめそうです。
2011年8月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
このBDはストーリーにも増して、配色が見事です。赤色系を意識した見開き、くすんだ青が支配する見開き…。見ていて飽きません。線はデフォルメされていることで、ユーモアを醸し出しています。作者のニコラ・ド・クレシーは赤や青を意識的に使い分けていると思います。絵のタッチも油彩、水彩、クレパス等、自由自在に操り、ストーリーを盛り上げる効果として的確に使い分けていると思います。必ず1ページに1枚はハッとするような絵にめぐり会えると思います。色の魔術を楽しみたい方にお勧めします。
2011年3月1日に日本でレビュー済み
日本の感覚からすると「これが漫画!?」とびっくりするぐらい雰囲気が違います。
私はユーロ漫画やBD(フランスやベルギーの漫画)には詳しくないのですが・・・・・
・絵が絵画やグラフィックアート並みに凝っている
→水彩・アクリル・絵の具・クレパスなどざまざまなタッチで書かれており、
1コマ1コマが「作品」レベル。
・オールカラーという豪華さ
・サイズが大きいので(ノート並み)絵に迫力がある。
という絵の持つパワーがスゴイです。
まるでアニメーションや映画を見ている感覚に近いかも知れません。
絵画・映画・写真の歴史があるフランスの作品だなと感じました。
そしてストーリーもフランスらしく哲学的で実験的です。
純真でお人よしのアザラシのディエゴを利用して、政治家(人間)、悪魔、犬、鶏
が自分たちに都合のいい物語(歴史)をつくろうと抗争を繰り広げるという内容です。
意外と弱気でキュートな悪魔
顔はカワイイのに腹黒い犬
ルー大柴のような英語を話す鶏
グロテスクな人間
というキャラクターも秀逸。
わけがわからない部分もありますが、独自の世界観を楽しめる一冊です。
私はユーロ漫画やBD(フランスやベルギーの漫画)には詳しくないのですが・・・・・
・絵が絵画やグラフィックアート並みに凝っている
→水彩・アクリル・絵の具・クレパスなどざまざまなタッチで書かれており、
1コマ1コマが「作品」レベル。
・オールカラーという豪華さ
・サイズが大きいので(ノート並み)絵に迫力がある。
という絵の持つパワーがスゴイです。
まるでアニメーションや映画を見ている感覚に近いかも知れません。
絵画・映画・写真の歴史があるフランスの作品だなと感じました。
そしてストーリーもフランスらしく哲学的で実験的です。
純真でお人よしのアザラシのディエゴを利用して、政治家(人間)、悪魔、犬、鶏
が自分たちに都合のいい物語(歴史)をつくろうと抗争を繰り広げるという内容です。
意外と弱気でキュートな悪魔
顔はカワイイのに腹黒い犬
ルー大柴のような英語を話す鶏
グロテスクな人間
というキャラクターも秀逸。
わけがわからない部分もありますが、独自の世界観を楽しめる一冊です。
2013年8月30日に日本でレビュー済み
様々な画材を駆使した実験的グラフィックは興味深いが、それ自体が目的のようでもありストーリーにおける一貫性までは感じられない。
物語はメタフィクション的な捻れ、含みに奇怪なキャラクターが絡み合って掴み切れず、全体を理解し、自分なりに解釈するには再々読
が必要であった。
物語はメタフィクション的な捻れ、含みに奇怪なキャラクターが絡み合って掴み切れず、全体を理解し、自分なりに解釈するには再々読
が必要であった。