「歩くことの精神史」という副題の通り、人文学者や作家などが、歩くという行為の中で、どれだけ考えを深め、時速3マイル(約5km)という速度で動く風景がどれだけ人々を慰めてきたかを膨大な引用で綴ります。
それを人類史的に、直立二足歩行によってヒトは、直射日光を受ける量を最小化して太陽による体温上昇を抑えて森から離れる長距離移動が可能になった、みたいなとこから始まるのは、センス・オブ・ワンダー(p.73)。さらに、サル科では体格差の大きいと一夫多妻が普通で、一夫一婦制はテナガザルなど体格差がない種に限られる、という議論はなるほど、と思うけど初めて読んだ感じ(p.69)。
近代以降のヨーロッパの都市は、当初、不潔で夜は危険であまり散歩に適した状態ではなかったが、工場労働者たちが週末に自然に触れるために積極的に郊外に進出いていく、みたいな流れが描かれていきます。
個人的に印象に残ったのは、第二次大戦後の米英の郊外の住宅地は、再開発のために退屈なものとなり《歩いて行くような場所はほとんどなかった》というあたり(p.423)。たまたま生まれ育った広尾の地は、実家の貧しさを忘れさせてくれるような様々なな国の大使館がいっぱいあってして散歩は本当に楽しかったんです。根津美術館、骨董通り、有栖川公園、渋谷の映画街、恵比寿のダウンタウン、お嬢様学校の生徒さんの歩く姿など退屈知らずだったな、とか思い出しながら読んでました。
ただ純粋に山に登って高みからの眺望を楽しんだ初めての人物であるペトラルカが登ったのは、フランスのモン・ヴァントゥなのか、というのも個人的には驚きでした(p.222)。ツールドフランスで何回もゴールに設定されたモン・ヴァントゥにこんな歴史があったとは…毎回空撮が綺麗なのは、ちゃんと理由があるんだ、とか。
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ウォークス 歩くことの精神史 単行本 – 2017/7/7
レベッカ ソルニット
(著),
東辻 賢治郎
(翻訳)
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現代アメリカでもっとも魅力的な書き手のひとり、
レベッカ・ソルニットの代表作、ついに邦訳!
広大な人類史のあらゆるジャンルをフィールドに、
〈歩くこと〉が思考と文化に深く結びつき、
創造力の源泉であることを解き明かす。
アリストテレスは歩きながら哲学し、彼の弟子たちは逍遥学派と呼ばれた。
活動家たちはワシントンを行進し、不正と抑圧を告発した。
彼岸への祈りを込めて、聖地を目指した歩みが、世界各地で連綿と続く巡礼となった。
歴史上の出来事に、科学や文学などの文化に、なによりもわたしたち自身の自己認識に、
歩くことがどのように影を落しているのか、自在な語り口でソルニットは語る。
人類学、宗教、哲学、文学、芸術、政治、社会、
レジャー、エコロジー、フェミニズム、アメリカ、都市へ。
歩くことがもたらしたものを語った歴史的傑作。
歩きながら『人間不平等起源論』を書いたルソー。
被害妄想になりながらも街歩きだけはやめないキェルケゴール。
病と闘う知人のためにミュンヘンからパリまで歩き通したヘルツォーク。
ロマン主義的な山歩きの始祖・ワーズワース。
釈放されるとその足でベリー摘みに向かったソロー。
インク瓶付きの杖を持っていたトマス・ホッブス。
ラッセルの部屋を動物園の虎のように歩くウィトゲンシュタイン。
刑務所のなかで空想の世界旅行をした建築家アルベルト・シュペーア。
ヒロインに決然とひとり歩きさせたジェーン・オースティン。
その小説同様に大都市ロンドン中を歩きまわったディケンズ。
故郷ベルリンを描きながらも筆はいつもパリへとさまようベンヤミン。
パリを歩くことをエロチックな体験とみなしたレチフ・ド・ラ・ブルトンヌ。
歩行を芸術にしたアーティスト、リチャード・ロング。
…
歩くことはいつだって決然とした勇気の表明であり、
不安な心をなぐさめる癒しだった。
レベッカ・ソルニットの代表作、ついに邦訳!
広大な人類史のあらゆるジャンルをフィールドに、
〈歩くこと〉が思考と文化に深く結びつき、
創造力の源泉であることを解き明かす。
アリストテレスは歩きながら哲学し、彼の弟子たちは逍遥学派と呼ばれた。
活動家たちはワシントンを行進し、不正と抑圧を告発した。
彼岸への祈りを込めて、聖地を目指した歩みが、世界各地で連綿と続く巡礼となった。
歴史上の出来事に、科学や文学などの文化に、なによりもわたしたち自身の自己認識に、
歩くことがどのように影を落しているのか、自在な語り口でソルニットは語る。
人類学、宗教、哲学、文学、芸術、政治、社会、
レジャー、エコロジー、フェミニズム、アメリカ、都市へ。
歩くことがもたらしたものを語った歴史的傑作。
歩きながら『人間不平等起源論』を書いたルソー。
被害妄想になりながらも街歩きだけはやめないキェルケゴール。
病と闘う知人のためにミュンヘンからパリまで歩き通したヘルツォーク。
ロマン主義的な山歩きの始祖・ワーズワース。
釈放されるとその足でベリー摘みに向かったソロー。
インク瓶付きの杖を持っていたトマス・ホッブス。
ラッセルの部屋を動物園の虎のように歩くウィトゲンシュタイン。
刑務所のなかで空想の世界旅行をした建築家アルベルト・シュペーア。
ヒロインに決然とひとり歩きさせたジェーン・オースティン。
その小説同様に大都市ロンドン中を歩きまわったディケンズ。
故郷ベルリンを描きながらも筆はいつもパリへとさまようベンヤミン。
パリを歩くことをエロチックな体験とみなしたレチフ・ド・ラ・ブルトンヌ。
歩行を芸術にしたアーティスト、リチャード・ロング。
…
歩くことはいつだって決然とした勇気の表明であり、
不安な心をなぐさめる癒しだった。
- 本の長さ520ページ
- 言語日本語
- 出版社左右社
- 発売日2017/7/7
- 寸法13.5 x 3.6 x 19.5 cm
- ISBN-10486528138X
- ISBN-13978-4865281385
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商品の説明
著者について
レベッカ・ソルニット(Rebecca Solnit)
1961年生まれ。作家、歴史家、アクティヴィスト。
カリフォルニアに育ち、環境問題・人権・反戦などの政治運動に参加。
1988年より作家活動を始め、環境、土地、芸術、アメリカ史など多分野に20を越す著作がある。
代表作にエドワード・マイブリッジ伝 River of Shadows(2004、全米批評家協会賞)、
旅や移動をめぐる思索 A Field Guide to Getting Lost(2005)、
ハリケーン・カトリーナを取材した A Paradise Built in Hell(2009、邦訳『災害ユートピア』)、
新語「マンスプレイニング」とともに話題を呼んだ Men Explain Things To Me(2014)など。
美術展カタログや雑誌への寄稿も多数。
1961年生まれ。作家、歴史家、アクティヴィスト。
カリフォルニアに育ち、環境問題・人権・反戦などの政治運動に参加。
1988年より作家活動を始め、環境、土地、芸術、アメリカ史など多分野に20を越す著作がある。
代表作にエドワード・マイブリッジ伝 River of Shadows(2004、全米批評家協会賞)、
旅や移動をめぐる思索 A Field Guide to Getting Lost(2005)、
ハリケーン・カトリーナを取材した A Paradise Built in Hell(2009、邦訳『災害ユートピア』)、
新語「マンスプレイニング」とともに話題を呼んだ Men Explain Things To Me(2014)など。
美術展カタログや雑誌への寄稿も多数。
登録情報
- 出版社 : 左右社 (2017/7/7)
- 発売日 : 2017/7/7
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 520ページ
- ISBN-10 : 486528138X
- ISBN-13 : 978-4865281385
- 寸法 : 13.5 x 3.6 x 19.5 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 127,503位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2017年11月26日に日本でレビュー済み
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2020年2月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
古今東西の「歩く」ことに対する思想をまとめた書籍。この本からはいろいろな知識を得ることができた。歩くことに興味があるなら一度は読んでおいた方がよい。記述や内容の組み立ては少々難解で、なかなか読みが進まなかった。分厚くて持ち歩くのが大変。
2017年8月12日に日本でレビュー済み
二足歩行に巡礼行、パリのフラヌール、登山、、、、。
〈歩くこと〉という視点から近現代世界を語り直せるのではないか、そこまでは思いつくひとがいてもふしぎではない。
それぞれのトピックスをあつかった本は、すでにたくさん存在する、だろう。
でも、それら全部を束ねて〈歩くことと現代文明〉の全体を語ろうとしたのは、もしかしたらソルニットしかいないのでなかろうか。
特別に突飛なテーマでもないし、出てくる事柄やひと(ルソー、迷宮、イギリス庭園、ウォーキング・クラブ、ベンヤミン、デモ行進、夜鷹・・・)それぞれはまったく未知でもない。むしろ教養の範囲内に収まることにあえて限定しているような雰囲気もある。
にもかかわらず、章が進むたびに、時代も地域もことなる視野がどんどんひらけ、知らない世界を旅した興奮と心地よい疲れすら感じられる。
こんな本ははじめて読んだ。
(彼女は飛行機を使った世界一周旅行などをチクリと揶揄しているけど)旅に出る日、出発ロビーででもページをめくれば最高だと思う。
〈歩くこと〉という視点から近現代世界を語り直せるのではないか、そこまでは思いつくひとがいてもふしぎではない。
それぞれのトピックスをあつかった本は、すでにたくさん存在する、だろう。
でも、それら全部を束ねて〈歩くことと現代文明〉の全体を語ろうとしたのは、もしかしたらソルニットしかいないのでなかろうか。
特別に突飛なテーマでもないし、出てくる事柄やひと(ルソー、迷宮、イギリス庭園、ウォーキング・クラブ、ベンヤミン、デモ行進、夜鷹・・・)それぞれはまったく未知でもない。むしろ教養の範囲内に収まることにあえて限定しているような雰囲気もある。
にもかかわらず、章が進むたびに、時代も地域もことなる視野がどんどんひらけ、知らない世界を旅した興奮と心地よい疲れすら感じられる。
こんな本ははじめて読んだ。
(彼女は飛行機を使った世界一周旅行などをチクリと揶揄しているけど)旅に出る日、出発ロビーででもページをめくれば最高だと思う。
2018年7月7日に日本でレビュー済み
最近トレッキングにがぜん興味が沸き、何故歩きたいのか不思議に思っていたので本書を手に取りました。
本書によると生活のため以外の、歩くこと自体を目的とした歩行の歴史は意外に浅く、中世の巡礼に端を発するそうです。
前半は庭園から原野、高山にいたる歩行の歴史を、後半は都市における歩行の変遷をまとめてあります。
巡礼、革命、デモ、ウォーカソンなど主義主張のための歩行が適所で触れられています。
長距離歩行をする動機①ある場所について自然的または社会的成り立ちを理解する②自分自身を理解する③記録を打ち立てるため
通常はこの3つが混ざっていると著者は分析していますが、納得できるものがあります。
本書によると生活のため以外の、歩くこと自体を目的とした歩行の歴史は意外に浅く、中世の巡礼に端を発するそうです。
前半は庭園から原野、高山にいたる歩行の歴史を、後半は都市における歩行の変遷をまとめてあります。
巡礼、革命、デモ、ウォーカソンなど主義主張のための歩行が適所で触れられています。
長距離歩行をする動機①ある場所について自然的または社会的成り立ちを理解する②自分自身を理解する③記録を打ち立てるため
通常はこの3つが混ざっていると著者は分析していますが、納得できるものがあります。