Youtubeにて、株式会社独立総合研究所の自然科学部長である青山千春水産学博士の、日本海でのメタンハイドレート(以下MH)研究の動画を拝見し、以前からエネルギー安全保障のカギとして注目されているMHに興味が湧き、本書を手に取りました。
著者は日本海のMH研究第一人者、かつ上記博士と共に日本海で研究を続けている方で、石油利権に囚われない稀有な地質学者です。
本書の構成は
1、MHの性質(固体化した天然ガス)、生成と集積の仕方、これまでの研究結果
2、南海トラフや日本海東縁など採掘個所の特徴
3、過去6億年に5回起きた生物の大量絶滅とMHの関係性
4、MH開発に伴う環境的問題点とその対策(MH採取後の海底の不安定化、つまり地滑りの懸念とその対策)
5、今後のエネルギー開発に関する提言(国際協力、機密以外の情報開示)
となっています。
興味深かった主張を箇条書きします。
・世界第6位の広さの日本の排他的経済水域には、約6兆立方メートル(日本の年間天然ガス使用量の100年分以上に相当)ものMHが存在する可能性がある。
・現在日本の天然ガスの供給地は中東や東南アジアなので、輸送費を含むと「世界一高い天然ガス」となり国内需要も13%に留まっているが(石油は49%)、日本の海域にパイプライン網を整備し消費地まで直接送れるようにすれば輸送コストも大幅削減でき、国内利用が促進されるだろう。
・環境面についてはよく指摘されるメタンの温室効果よりも、MH採取で海底が不安定化→海底地滑り発生→津波発生の懸念が問題。
対策としては第1に開発海域の選定、第2にMHを取り出した海底の隙間に二酸化炭素を送り込み「二酸化炭素ハイドレート」を生成して不安定化を防ぐ方法がある。
後者はCO2削減にもつながり一石二鳥である。
・MHの技術は既存の天然ガス輸送にも「天然ガスのハイドレート化」により大きな恩恵をもたらす。
現在天然ガスはマイナス162度に冷却、液化して気体体積の600分の1に圧縮して運んでいるが、中東や東南アジアからの長旅の間この状態の維持するのにコストがかさむ。
そこで天然ガスをハイドレート化する。体積は170分の1になるので一回の輸送量は減るが、マイナス20度に維持すればいいので輸送中の温度管理が楽になり、またタンカーの設備にかかる負担は激減、輸送の安全性は格段に上がる。
要はMH開発が進めば経済的メリットが高い上に日本の利用資源の多様化、自主資源確保につながり、おまけに環境にも優しいということがわかります。
本書の内容はここまでです。
最後にこのレビューを見た方にYoutubeにて以下の動画を見る事をお勧めして終わります。
『田母神塾 メタンハイドレート』
『【青山千春】中国・韓国「海底資源確保」の最新動向』
『【青山繁晴】メタンハイドレート実用化が迫る自主憲法制定』
一連の動画を見ることで
・石油利権がMH開発を阻んでいること
・南海トラフでの採掘作業に比べ日本海沿岸の研究予算が極端に少ない事(なんと年間研究予算は1日の研究費用に満たないそうです。隣国と関係ありそう)
・韓国が日本海表記を東海に改めるよう要請してくる本当の理由、また不法占拠している竹島周辺で国を挙げて研究を進めていること(中国は沖ノ鳥島周辺)
・中国韓国は海軍の高性能ソナーで研究を進めていること(日本は自衛隊協力が得られないので民間漁船の魚群探知機…)
・未来のMH確保を前提とし他国からの強奪を考慮に入れた際の、自国を自国自身で守るための軍事体制の完備、ひいては憲法論議の必要性
など本書では語られないMH開発周辺の事情がわかります。
長文失礼しました。
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エネルギー革命 メタンハイドレート (家族で読める family book series 003) (家族で読めるfamily book series 3) 単行本(ソフトカバー) – 2009/5/28
松本 良
(著)
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30年後、日本で起こるエネルギー革命
悲願の自国資源が実用化される日
石油から天然ガスへ、エネルギーの主役が転換する近未来、日本は沿海のメタンをパイプラインで引いて利用できる。21世紀の人類と地球環境に、大きなインパクトをもたらす「メタンハイドレート」の最新知見を徹底解説!
悲願の自国資源が実用化される日
石油から天然ガスへ、エネルギーの主役が転換する近未来、日本は沿海のメタンをパイプラインで引いて利用できる。21世紀の人類と地球環境に、大きなインパクトをもたらす「メタンハイドレート」の最新知見を徹底解説!
- 本の長さ96ページ
- 言語日本語
- 出版社飛鳥新社
- 発売日2009/5/28
- 寸法14.9 x 0.6 x 21 cm
- ISBN-104870319284
- ISBN-13978-4870319288
商品の説明
著者について
1947年生。東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻教授。理学博士。日本におけるメタンハイドレート研究の第一人者
登録情報
- 出版社 : 飛鳥新社 (2009/5/28)
- 発売日 : 2009/5/28
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 96ページ
- ISBN-10 : 4870319284
- ISBN-13 : 978-4870319288
- 寸法 : 14.9 x 0.6 x 21 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,340,870位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2010年6月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2012年12月21日に日本でレビュー済み
著者は、東大の先生で、わりと「堅い本」である。ただし、92ページしかないし、パンフレットみたいな本でもある。
曰く・・
メダンハイドレートとは、水分子がつくるカゴの中にメタンなどのガス分子が閉じ込められた氷状の物質。水分子のカゴの中にメタンなどちょうどよい大きさの分子が入ることで安定した結晶構造を維持できる。資源量は天然ガスの2〜10倍と推定される。
密度は氷とほぼ同じで水よりも軽い。海底から放出されると、溶けながら海面まで浮き上がってくる。
メタンハイドレートは(1)微生物分解起源と(2)熱分解起源の2種類。(1)は、動植物の死骸がバクテリアによって酸化分解され、更に、メタン生成菌によって食べられることで生産されるメタンであり、(2)は、地中奥深く埋没した有機物が地熱によって無生物的に分解されるメタンである。(1)は、海底下200〜300メートルに偏在し、(2)は、海底下3000〜4000メートルに局在する。
海域のメタンハイドレートは、大陸縁辺に多く(有機物が流れ込みやすいので)、陸から離れるとほとんどない。低温高圧環境に多い(陸地なら永久凍土地帯に多い)。
二酸化炭素削減のためにも天然ガスの需要は高まる。日本は世界一高い天然ガスを買っている。まず、供給地である中東や東南アジアにまでパイプラインをひけないという地理的不利がある。船で運ばざるをえないが容積を下げるためマイナス162℃にまで液化する必要があるため更にコスト高となる。しかも、中東や東南アジアは気温が高い。日本近郊のメタンハイドレートはその意味でも期待されている。
メタンハイドレートのあるところでは、地震波の伝わる速度が速い地層と遅い地層が接する反射面が多いので、地震探査法でこの反射面(「BSR」という)を探すことで鉱床を探す。とりあえず、日本の天然ガス14年分のメタンハイドレートが南海トラフにあるといわれるが、もっと深いところまで探ればもっと見つかる可能性大。
(1)微生物分解起源よりも(2)熱分解起源のメタンハイドレートの方が、深い地層で圧縮されている分、大量に取れる可能性がある。ちなみに、一般的な天然ガスもほとんどは熱分解起源。しかし、熱分解起源メタンハイドレートは見つけにくい。今後の課題。
なぜか、メタンガスの多いところはカニも多い。カニの漁場はメタンハイドレートを探すヒントになるかもしれない。
日本は、早くからメタンハイドレートの掘削研究に取り組んでいる。計画では、2012年からは商業生産のための技術整備が始まる。2018年の商業化が目標。韓国やインド、台湾も熱心に研究している。特にインドは有望な鉱床を見つけているため2014年からの商業生産を目標にしている。
過去の生物の大量絶滅は、メタンのせいではないか?メタンハイドレートとして固定されているメタンがなんらかの理由で大量放出されると、二酸化炭素濃度が上昇し、酸素が減少することで、生物に致命的ダメージを与える。メタンハイドレートは、温度や圧力の変化に敏感で、簡単に分解しやすいという特性がある。
海底のメタンは漏出してもほとんどは海水に溶ける。しかし、メタンハイドレートを取り出すと地質が崩れやすくなる。地すべりやそれにともなう津波の発生も考えられる。そこでメタンハイドレート鉱床に二酸化炭素を送り込み、二酸化炭素ハイドレートを代わりに挿入するという方法が考えられている。メタンハイドレートよりも二酸化炭素ハイドレートの方が生成条件がゆるい。地盤を安定させ、しかも、二酸化炭素を貯蔵できるので一石二鳥。
天然ガスの液化はコストがかかるので、天然ガスをハイドレート化して運ぶことも検討中。マイナス20℃で安定するので、液化よりは高温で運べる。また、タンカーは往路では空っぽなので二酸化炭素を積んでいく。そして、天然ガスの採掘地に二酸化炭素ハイドレートを貯蔵すればいい。
メタンハイドレートの資源化に成功しても、天然ガスを上回るほどの採取は期待できないのではないか。あくまでもエネルギー多様化の一つ。日本が資源大国になるとは思えない。
などなど。
曰く・・
メダンハイドレートとは、水分子がつくるカゴの中にメタンなどのガス分子が閉じ込められた氷状の物質。水分子のカゴの中にメタンなどちょうどよい大きさの分子が入ることで安定した結晶構造を維持できる。資源量は天然ガスの2〜10倍と推定される。
密度は氷とほぼ同じで水よりも軽い。海底から放出されると、溶けながら海面まで浮き上がってくる。
メタンハイドレートは(1)微生物分解起源と(2)熱分解起源の2種類。(1)は、動植物の死骸がバクテリアによって酸化分解され、更に、メタン生成菌によって食べられることで生産されるメタンであり、(2)は、地中奥深く埋没した有機物が地熱によって無生物的に分解されるメタンである。(1)は、海底下200〜300メートルに偏在し、(2)は、海底下3000〜4000メートルに局在する。
海域のメタンハイドレートは、大陸縁辺に多く(有機物が流れ込みやすいので)、陸から離れるとほとんどない。低温高圧環境に多い(陸地なら永久凍土地帯に多い)。
二酸化炭素削減のためにも天然ガスの需要は高まる。日本は世界一高い天然ガスを買っている。まず、供給地である中東や東南アジアにまでパイプラインをひけないという地理的不利がある。船で運ばざるをえないが容積を下げるためマイナス162℃にまで液化する必要があるため更にコスト高となる。しかも、中東や東南アジアは気温が高い。日本近郊のメタンハイドレートはその意味でも期待されている。
メタンハイドレートのあるところでは、地震波の伝わる速度が速い地層と遅い地層が接する反射面が多いので、地震探査法でこの反射面(「BSR」という)を探すことで鉱床を探す。とりあえず、日本の天然ガス14年分のメタンハイドレートが南海トラフにあるといわれるが、もっと深いところまで探ればもっと見つかる可能性大。
(1)微生物分解起源よりも(2)熱分解起源のメタンハイドレートの方が、深い地層で圧縮されている分、大量に取れる可能性がある。ちなみに、一般的な天然ガスもほとんどは熱分解起源。しかし、熱分解起源メタンハイドレートは見つけにくい。今後の課題。
なぜか、メタンガスの多いところはカニも多い。カニの漁場はメタンハイドレートを探すヒントになるかもしれない。
日本は、早くからメタンハイドレートの掘削研究に取り組んでいる。計画では、2012年からは商業生産のための技術整備が始まる。2018年の商業化が目標。韓国やインド、台湾も熱心に研究している。特にインドは有望な鉱床を見つけているため2014年からの商業生産を目標にしている。
過去の生物の大量絶滅は、メタンのせいではないか?メタンハイドレートとして固定されているメタンがなんらかの理由で大量放出されると、二酸化炭素濃度が上昇し、酸素が減少することで、生物に致命的ダメージを与える。メタンハイドレートは、温度や圧力の変化に敏感で、簡単に分解しやすいという特性がある。
海底のメタンは漏出してもほとんどは海水に溶ける。しかし、メタンハイドレートを取り出すと地質が崩れやすくなる。地すべりやそれにともなう津波の発生も考えられる。そこでメタンハイドレート鉱床に二酸化炭素を送り込み、二酸化炭素ハイドレートを代わりに挿入するという方法が考えられている。メタンハイドレートよりも二酸化炭素ハイドレートの方が生成条件がゆるい。地盤を安定させ、しかも、二酸化炭素を貯蔵できるので一石二鳥。
天然ガスの液化はコストがかかるので、天然ガスをハイドレート化して運ぶことも検討中。マイナス20℃で安定するので、液化よりは高温で運べる。また、タンカーは往路では空っぽなので二酸化炭素を積んでいく。そして、天然ガスの採掘地に二酸化炭素ハイドレートを貯蔵すればいい。
メタンハイドレートの資源化に成功しても、天然ガスを上回るほどの採取は期待できないのではないか。あくまでもエネルギー多様化の一つ。日本が資源大国になるとは思えない。
などなど。