ギドン・クレーメル(Gidon Kremer)は、1947年、ソ連占領下のラトヴィアで生まれた。(彼の祖国ラトヴィアの悲劇については、小野寺百合子著『バルト海のほとりにて』と鈴木徹著『バルト三国史』の二冊を是非お読み頂きたい。)彼のアイデンティティーは極めて複雑であるが、そうした複雑なアイデンティティーを持って育ったからこそであろう。クレーメルは、言葉の真の意味でのコスモポリタンである。
この本は、そのクレーメルが、主に自分の40歳以前の体験を回想した本であるが、その中には、師オイストラフの思ひ出の他、尊敬するメニューインを始めとする多くの音楽家のついての回想、恋愛と結婚、政治的な出来事など、実に様々な事柄が述べられて居る。(日本についての回想も興味深い。)又、本の終はり近くで、アメリカの或る面について、クレーメルが批判的な事を述べて居る事も興味深かった。この本は、クレーメル個人の自伝であると同時に、一人のヴァイオリニストが見た冷戦の一断面の記録と呼ぶ事が出来る。私は、昔からクレーメルが好きだったが、この本を読んで、彼が、思って居た通りの人物であると感じた。
私事であるが、306ページから308ページに書かれたポリャンスキー駐日ソ連大使(当時)を囲んだ東京の一夜の回想は最高に面白かった。私は、この時、この場に居てクレーメル氏の表情を見て居たからである。クレーメルの記憶は正確である。そして、この本の回想に書かれたあの夜の彼の心の中は、あの夜、私が、彼の表情から想像した通りであった。(笑)
(西岡昌紀・内科医)
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
クレーメル青春譜 単行本 – 2008/1/15
ギドン クレーメル
(著)
世界最高のヴァイオリニストの自伝
東西冷戦下のソ連音楽界で何があったのか。巨匠オイストラフとの確執、奔放な女性関係、共産党、官僚機構との駆け引き・・・・。
そのすべてを赤裸々につづった衝撃の書。
- 本の長さ399ページ
- 言語日本語
- 出版社アルファベータ
- 発売日2008/1/15
- ISBN-104871985520
- ISBN-13978-4871985529
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
登録情報
- 出版社 : アルファベータ (2008/1/15)
- 発売日 : 2008/1/15
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 399ページ
- ISBN-10 : 4871985520
- ISBN-13 : 978-4871985529
- Amazon 売れ筋ランキング: - 669,570位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 208位演奏家・指揮者・楽器の本
- - 1,170位ワールドミュージック
- - 1,259位ワールド楽譜・スコア・音楽書
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2012年4月9日に日本でレビュー済み
内容はピカイチで、ソ連崩壊前の当地の音楽事情、かなり面白く読めました。
ただ惜しむらくは後半以降、文意をつかむのに困難な箇所、表記の不適切さが、わりとありました。
ほんの数例。
260ページ 私の意思表示を彼が気に入った
261ページ 私にとって、もろもろの騒ぎは、ついでに関心があったに過ぎない。
同ページ エレナは、そしてそもそも我々はどうなるのかという問いのほうがずっと大切に思えたからである。
289ページ ルードヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
341ページ 天井の音楽
373ページ 示導動機
あともう少し推敲していたらと悔やまれます。
ただ惜しむらくは後半以降、文意をつかむのに困難な箇所、表記の不適切さが、わりとありました。
ほんの数例。
260ページ 私の意思表示を彼が気に入った
261ページ 私にとって、もろもろの騒ぎは、ついでに関心があったに過ぎない。
同ページ エレナは、そしてそもそも我々はどうなるのかという問いのほうがずっと大切に思えたからである。
289ページ ルードヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
341ページ 天井の音楽
373ページ 示導動機
あともう少し推敲していたらと悔やまれます。
2008年1月24日に日本でレビュー済み
クレーメルについてはあることをきっかけに興味を持ち音楽を聴いてしか知らなかったが、この本を読んで時代背景が人物にいかに影響するかが改めて思い知らされた。生まれた国、育った国は、その人の運命や生き方を決定付ける大きな要因になるということを認識することは、平和な日本に生まれ育ったものとして本当の意味で理解することは難しいのかもしれない。この本に触れて、初めて思うところであった。これが一つ目の発見。
もうひとつの発見は、個人的な意見だが、クレーメとリストが音楽家として似ている点が多くあるような気がする点である。以前リストの伝記を読んだことがあり、彼の家庭環境、音楽に対する考え、プライベートな付き合い、女性関係も含めて、行動パターンが似ているなあと感じた。どちらも、女性にとっては放っておけないタイプということも!似ている。私もファン!
もうひとつの発見は、個人的な意見だが、クレーメとリストが音楽家として似ている点が多くあるような気がする点である。以前リストの伝記を読んだことがあり、彼の家庭環境、音楽に対する考え、プライベートな付き合い、女性関係も含めて、行動パターンが似ているなあと感じた。どちらも、女性にとっては放っておけないタイプということも!似ている。私もファン!