この本は、日本における「ロック」を扱った雑誌に関する年代史を書いた本だ。
「舶来の音楽」でありながら、旧来のジャズや黒人音楽、シャンソンでもなく、ラテンなど中南米の音楽でもない…、それを、どのように「ジャーナリズム」に乗せるか…。
「ロック雑誌」の歴史的変遷をインタビューを交えて克明に追っている。
星加ルミ子さんをはじめとするミーハー路線の「ミュージックライフ」。中村とうようさんの音楽評論先駆け的雑誌「ニューミュージックマガジン(現「ミュージックマガジン」)」。渋谷陽一さんらが創始した、エンターテインメントを意識しつつ、文芸批評や思想的アプローチを重視した「ロッキング・オン」。サブカル路線の「宝島」やマニア・コレクター向けの「ロック・マガジン」……。
私がロックにはまったのは、「ロッキング・オン」が創刊された頃だった。当時は、それこそ、有象無象の雑誌があり、「評論」とも言えないような「言説」が百出している状況だった。
それでも、「ニューミュージックマガジン」や「ロッキング・オン」は欠かさず購読していた。まったく違うアプローチで時事のロックを批評、評論していたが、それぞれ独自の味があって面白かった。
そこから、良い意味でも悪い意味でも、哲学や思想をはじめ政治や経済、世情に対して、複眼的で重層的なものの見方をしようという姿勢を学んだように思う。
だから、「ロック」と「ロック雑誌」は、私にとっては、人生において大きな意味を持った「教師」であると思っている。
もしかすると、私は、今までの人生の大部分を「ロック」を入り口として、さまざまな分野につながり学びつつ、自分なりの「道」を模索しつつ、何とか生きてこれたのかもしれない…。
思い入れ深く、同時代を生きた世代にしかわからない部分は多々あるとは思うが、「資料」としても面白く、役立つと思うので、若い世代にも、ぜひ手にとって目を通して欲しいと思う。
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
日本ロック雑誌クロニクル 単行本 – 2004/12/1
篠原 章
(著)
僕たちにとって、ロックは聴きながら“読む”ものだった――。『ミュージックライフ』『ニューミュージックマガジン』『フォークリポート』『ロッキングオン』『宝島』『ロックマガジン』……。日本ロック雑誌の変遷を辿りながら、日本ロックの歴史をも描く、壮大なロック史。
- 本の長さ292ページ
- 言語日本語
- 出版社太田出版
- 発売日2004/12/1
- ISBN-104872338979
- ISBN-13978-4872338973
登録情報
- 出版社 : 太田出版 (2004/12/1)
- 発売日 : 2004/12/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 292ページ
- ISBN-10 : 4872338979
- ISBN-13 : 978-4872338973
- Amazon 売れ筋ランキング: - 709,881位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,254位エンターテイメント音楽のJ-POP
- - 31,473位楽譜・スコア・音楽書 (本)
- - 184,645位文学・評論 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2007年3月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2013年5月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
だいたいのメジャーなロック雑誌の必然的な歴史の流れがわかります。
著者はミュージック・マガジンに思い入れが強く、ロッキング・オンにはいささか冷やかな視点を持っておられます。
ぼくは、ロッキング・オンの章を楽しみにしてたので、渋谷陽一さんへのインタヴユーの欠落は非常に残念でありました。
ロック・ジャーナリズムの世界に飛び込もうと思っておられる方々は読んどいて損はないと思います。
何故、日本のロック雑誌が衰退したか??のヒントにもなるかも!!
四十代以降の方が読めば懐かしさ満点です!
著者はミュージック・マガジンに思い入れが強く、ロッキング・オンにはいささか冷やかな視点を持っておられます。
ぼくは、ロッキング・オンの章を楽しみにしてたので、渋谷陽一さんへのインタヴユーの欠落は非常に残念でありました。
ロック・ジャーナリズムの世界に飛び込もうと思っておられる方々は読んどいて損はないと思います。
何故、日本のロック雑誌が衰退したか??のヒントにもなるかも!!
四十代以降の方が読めば懐かしさ満点です!
2004年12月26日に日本でレビュー済み
ロック雑誌で育った世代なので、非常に楽しく読めました。一番面白かったのは星加ルミ子さんのインタビュー部分。個人的にはロッキング・オンで育ったのですが、渋谷陽一さんがインタビューを断ったのは残念。このところはロッキング・オンは毎月買わなくなり、SIGHTを面白く読んでいる中年の感想です。
2011年9月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
音楽を聞いて物思いにふけるっていうのはJAZZで難しい顔をして聴くというイメージが似合うと思っていたけど、確かにロックを聞きながらいっぱい雑誌を読んでたなあとこの本を見てそう思った。単純なミーハー路線のML誌から突然社会科学的路線っぽいMM(NMM)誌やら、もう勝手なこと好き放題にのたまうだけのRO誌路線やら、さらに実践派向けのT誌やら、はてまた芸術というか耽美的というか僕ちょっとわかんないですって感じのRM誌やら楽しかったですね。「壊滅した」のかどうかはわからないけれど、今も若い人はそれなりの雑誌を読んでいると思うので、まあ当時の若者だった我々がしゃかりきに雑誌を買って読まなくなっただけだと思うのですが。もうそれほど新しい音を必要としていないこともありますけど。個人的には総じてロックっぽい人間には暖かく向かい合ってます。蛇足ながら、ロックにかかわる人はある意味世間の批判を浴びようともROCKっぽい生き方をして欲しいのですよね。その期待を裏切られたらがっくり来ちゃう。篠原さんわかります?
2005年1月21日に日本でレビュー済み
~私見では、日本でサブカルチャーという言葉が適用可能になったのは、連合赤軍の一連の事件が収束したあとではないかと考える。ジャズだけでなくニューロックの紹介においても大きな影響力を持った植草甚一が1973年「宝島」の創刊にかかわり、75年には第1回コミックマーケットが開催、76年の時点では、その後のニューアカブームにつながる「エピステーメー」~~、「遊」、そしていまも生き残っている二つのロック雑誌に飽き足らない層に訴えた「ロックマガジン」といった雑誌がまさに異彩を放っていた。のちには一時的ではあるが、マンガ情報誌の「だっくす」、「ぱふ」と言ったサブカルとしてのマンガを語る雑誌が成立していたのである。これらの雑誌を抜きにしておたくとか文学とやらに限られた範囲で日本のサブカル~~チャーが語れるとは私には思えない。そういう意味で、ロックとかに興味がないものにも日本のサブカルチャーについて考えるならばぜひ一度は目を通していただきたい。~
2008年4月19日に日本でレビュー済み
とある書店のサブカルコーナーで偶然見つけたこの本は
ロックシーンがあった時代へと私を引っ張りこみました。
60ー80年代と、リアルタイムで体験した者にとっては嬉しい資料、読み物です。
音楽シーン、時事と各雑誌についての記述が興味深く、インタビューも貴重です。
特にロックマガジンについて、この様に詳しく書かれているものは他にないでしょう。
70年代中期後期は多数存在した音楽誌の他に、これまたしっかり健在だった
ラジオの、渋谷陽一氏の「ヤングジョッキー」(NHK)、そして阿木譲氏の
「ファズボックスイン」(KBS京都)を聴いているだけでも
十分に最新動向を得られ、ずぼらな私には便利な(?)時代でした。
中でもデュッセルドルフ、リーヒマン、マイケル・ナイマン等々の紹介、
またブライアン・イーノの詳しい情報などは阿木さんの番組ならではだったと思います。
ロッキンオンやロックマガジンといった音楽誌以外にも、ブックレビュー、
サブや、植草甚一のワンダーランド、伊丹十三のモノンクル、ダブレクシィ…等々
ユニークな雑誌が生まれたそんな時代でもありました。
この本はまだ生まれていなかった若い人、ロック関連に興味が無い人には、
つまらないかもしれません。
個人的には(私的過ぎるかもしれませんが)面白い本だと思います。
それにしてもラップやヒップホップの隆盛以降、あまり音楽にはまることは
なくなってしまいました。
ストラングラーズやトーキングヘッズを聴きにあの京大西部講堂に来た人達は
今どこでどんな音をを聴いているのか?
そして、ロッキンオンに先鋭的な投稿をしていた、また阿木さんのマンションに集い、
まさに手仕事で誌面を作っていた沢山の若い人達は今どうしているのか、
ロックと同じ様に行方不明なのでしょうか?
そういえば彼等の1人が心療内科の医師になったことを書店に置かれた
新刊の著者名で知り、びっくりしたことがありました。
ともかく感慨にふける1冊でした。
ロックシーンがあった時代へと私を引っ張りこみました。
60ー80年代と、リアルタイムで体験した者にとっては嬉しい資料、読み物です。
音楽シーン、時事と各雑誌についての記述が興味深く、インタビューも貴重です。
特にロックマガジンについて、この様に詳しく書かれているものは他にないでしょう。
70年代中期後期は多数存在した音楽誌の他に、これまたしっかり健在だった
ラジオの、渋谷陽一氏の「ヤングジョッキー」(NHK)、そして阿木譲氏の
「ファズボックスイン」(KBS京都)を聴いているだけでも
十分に最新動向を得られ、ずぼらな私には便利な(?)時代でした。
中でもデュッセルドルフ、リーヒマン、マイケル・ナイマン等々の紹介、
またブライアン・イーノの詳しい情報などは阿木さんの番組ならではだったと思います。
ロッキンオンやロックマガジンといった音楽誌以外にも、ブックレビュー、
サブや、植草甚一のワンダーランド、伊丹十三のモノンクル、ダブレクシィ…等々
ユニークな雑誌が生まれたそんな時代でもありました。
この本はまだ生まれていなかった若い人、ロック関連に興味が無い人には、
つまらないかもしれません。
個人的には(私的過ぎるかもしれませんが)面白い本だと思います。
それにしてもラップやヒップホップの隆盛以降、あまり音楽にはまることは
なくなってしまいました。
ストラングラーズやトーキングヘッズを聴きにあの京大西部講堂に来た人達は
今どこでどんな音をを聴いているのか?
そして、ロッキンオンに先鋭的な投稿をしていた、また阿木さんのマンションに集い、
まさに手仕事で誌面を作っていた沢山の若い人達は今どうしているのか、
ロックと同じ様に行方不明なのでしょうか?
そういえば彼等の1人が心療内科の医師になったことを書店に置かれた
新刊の著者名で知り、びっくりしたことがありました。
ともかく感慨にふける1冊でした。
2004年12月17日に日本でレビュー済み
日本音楽史のサイド・ストーリーとしても読めるし、出版史としても読める。
主に扱われるのはビートルズ全盛の頃から10年余りに創刊された(または
全盛だった)ロック雑誌で、「ミュージックライフ」「ニューミュージック
マガジン」「ロッキンオン」など。
どの雑誌も個性的で、他に変えがたい美点(と欠点)を持っていたことがわ
かり、また、この頃の音楽シーンがいかに若くはじけていたかが感じ取れる。
音楽がそれぞれの人生に深くしみこんだ時代を生きた人々の歴史である。
個人的には、中村とうようと渋谷陽一という、激しく対立した二人の共通項に
「吉本隆明」があったことを指摘したくだりに感心した。
確かに、吉本は遠藤ミチロウのスターリンを評価していた。音楽業界にも
無縁ではなかったわけだ。
主に扱われるのはビートルズ全盛の頃から10年余りに創刊された(または
全盛だった)ロック雑誌で、「ミュージックライフ」「ニューミュージック
マガジン」「ロッキンオン」など。
どの雑誌も個性的で、他に変えがたい美点(と欠点)を持っていたことがわ
かり、また、この頃の音楽シーンがいかに若くはじけていたかが感じ取れる。
音楽がそれぞれの人生に深くしみこんだ時代を生きた人々の歴史である。
個人的には、中村とうようと渋谷陽一という、激しく対立した二人の共通項に
「吉本隆明」があったことを指摘したくだりに感心した。
確かに、吉本は遠藤ミチロウのスターリンを評価していた。音楽業界にも
無縁ではなかったわけだ。
2004年12月17日に日本でレビュー済み
本書はクイックジャパンにおける篠原氏の同名の連載を加筆修正して纏めたものである。日本におけるロック.ジャーナリズムにおける極めて重要な動向が、当事者へのインタビューを交えつつきわめて冷静かつ客観的にまとめられている。この「冷静かつ客観的」という姿勢は、音楽評論の世界ではまず見られない姿勢であるのだが、経済学者でもある氏の、丹念な調査を伴った冷徹な学究的アプローチが光っていると思う。個人的にはロックマガジンと阿木譲氏の仕事がきちんと紹介、評価された最初の本であると思われることが嬉しい。日本におけるロックを軸とした音楽史を俯瞰するための必携の書だと思います。音楽を愛する全ての方にお勧めします。