「進化的アーキテクチャ」とは、テスト駆動開発やリファクタリング、継続的インテグレーションと云ったアジャイル開発周辺のプラクティスを足がかりに、その都度「必要十分な設計」を行いながら、時間の経過と共に設計を洗練させていくことで、ビジネスや技術要素の変化に漸進的に適応していこうというアプローチです。
この考え方は、マーティンファウラーの提唱した「進化的設計」の延長線上にあるものと考えると分かりやすいでしょう。
遺伝的アルゴリズム設計で成功の定義に使われる「適応度関数」という概念を拝借し、漸進的で誘導的な変化を支えていくための技術を紹介しながら、進化可能性を担保するためにはどのようにアーキテクチャ上の結合があるべきなのかが解説されています。また、進化可能性なアーキテクチャを作る上で避けられない「データストア」の問題や、実践する上での落とし穴・アンチパターン、組織的な対応方法などについても具体的に述べられています。
アジャイル開発における長期的な計画の立て方について非常に有用な考え方が得られたと、最後まで読んで感じました。翻訳についても、他のレビュワーが指摘するほどの問題点は見当たらなかったです。よほど英文読解力に自信ある読者で無い限りは、原著にあたるほどの必要性は無いと思います。
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