著者が繰り返し指摘するとおり、太平洋戦争は膨張主義に基づく「侵略」だったのは史実である。
しかし、先進列強国と同じく、日本も明治の富国強兵策以来、軍事力を主とした膨張・侵略・搾取により近代化して来ることが出来たことも否定できない史実である。この史実に一切言及することなく、太平洋戦争時の日本の膨張主義を抽出し検証し、善悪を判定し、単に非難したところで、空虚・不毛である。
明治以来の軍事力による膨張・侵略・搾取で伸し上がり、敗戦したとはいえ現在も先進諸国の一員として、膨張主義からもたらされた多大な恩恵を貪り享受しているという自覚(私にとっては"うしろめたさ")が著者には一切感じられない。また、「戦争」を克服するための「歴史認識」を提示することにも失敗しており残念である。
小林秀雄が云う"歴史とは人間の本性"と理解し、福田恆存が云う"歴史と付き合う"ためにも、我々読者と共に著者も更なる努力が必要であろう。

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歴史修正主義の克服: ゆがめられた戦争論を問う 単行本 – 2001/12/1
山田 朗
(著)
- 本の長さ235ページ
- 言語日本語
- 出版社高文研
- 発売日2001/12/1
- ISBN-104874982719
- ISBN-13978-4874982716
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商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
自由主義史観、司馬史観、小林よしのり「戦争論」、「つくる会」教科書…。90年代後半から台頭してきた歴史修正主義の思想的特質を総括し、「戦争」を克服するための「歴史認識」を提示する。
登録情報
- 出版社 : 高文研 (2001/12/1)
- 発売日 : 2001/12/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 235ページ
- ISBN-10 : 4874982719
- ISBN-13 : 978-4874982716
- Amazon 売れ筋ランキング: - 922,011位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 13,172位日本史一般の本
- カスタマーレビュー:
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2015年1月17日に日本でレビュー済み
厳然たる事実にどう向き合おうか??ある界隈からは度し難い事実であっても、歴史に立ち向かい、よりよい世界のためには何をすればいい??歴史修正主義は褒められることではない。
2009年4月21日に日本でレビュー済み
著者は歴史学の観点から、以下の歴史修正主義者の主張に対して論理的に反論しています。大変分かり易いです。
(1)侵略したり、植民地支配をしたのは「日本だけではない」
(2)戦争や植民地支配は「良いこともした面もある」
(3)「大東亜戦争」は「アジアの独立に役だった」
(4)日本は英米にたいして「やむにやまれず立ち上がった」
(5)戦争はおこなったけれども「領土的野心はなかった」
(6)「侵略戦争」などと言ったら、「戦没した人は犬死になのか」
(7)昭和の戦争は悪かったかもしれないが、明治時代の戦争は良かった
(8)「現在の価値観で過去を見るな」
(9)戦前・戦中の出来事に「戦後生まれには関係ない」
後半では、小林よしのり著「戦争論」や「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書についても批判されてます。
(1)侵略したり、植民地支配をしたのは「日本だけではない」
(2)戦争や植民地支配は「良いこともした面もある」
(3)「大東亜戦争」は「アジアの独立に役だった」
(4)日本は英米にたいして「やむにやまれず立ち上がった」
(5)戦争はおこなったけれども「領土的野心はなかった」
(6)「侵略戦争」などと言ったら、「戦没した人は犬死になのか」
(7)昭和の戦争は悪かったかもしれないが、明治時代の戦争は良かった
(8)「現在の価値観で過去を見るな」
(9)戦前・戦中の出来事に「戦後生まれには関係ない」
後半では、小林よしのり著「戦争論」や「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書についても批判されてます。