プロローグの冒頭から、在特会による排外デモで叫ばれるおぞましい罵倒の数々が現れ、身が縮むような怖さを味わわされますが、それを全身に浴びる李さんの筆致は、当事者がプロのライターだった為でしょう、恐怖を感じる自分、傷つく自分、怒る自分を冷静に見つめ、その上で「この社会を作った大人としての自分の責任」「自分は大人としての責任を果たしているのか」と絶えず心に刻みます。
在特会でもてはやされ、その後恐喝で逮捕されたS少年を著者は心配し、彼と遭遇したら何と言葉を掛けようと自問し、自分なら「おなか減ってない?」と言うであろうなど、主題の重さに反して暖かみが文章に溢れるのは「大人としての責任を果たせているか」という著者の意識が貫かれているためでしょう。
責任ある大人としてヘイトと戦うために何をなすべきか、著者の模索も丁寧に書かれています。アンチ・ヘイトには知識も必要との認識で、著者自身が受けた、あるいは朝鮮学校襲撃事件の法廷で在特会側がした筋の通らない理屈を分析し、既に用語として存在する「沈黙効果」「複合差別」などと結びつけ理解しようとしていきます。この部分は秀逸で、読むうちに、私自身の経験の中から、差別者がよく使う理屈が差別という枠に収まらず、学校で、職場で、相手を黙らせ我意を通そうとするやり口として何度も起こっていた事に気づかされました。いくら知識として知っていても、日常起こっている事例に活かすこともなく見逃してしまっては、それらに味方していたのと同じです。私もこの本で社会が今まで積み上げてきた理論を現実に活かせる様に勉強したいと思います。
差別と戦おうと決意した著者の周りには、同じく差別と戦おうとする人々が何人も現れます。在特会側の人間を心配したりする李さんと同じような暖かみと柔らかさをもった人達です。何故このように赦せるのか。どうしてこんなに他人との違いを当たり前の様に受け止められるのか、類は友を呼ぶということなのかと不思議でした。しかしそれは差別と戦うには、あるいは差別から身を守るには、差別の根本と正反対の、寛容や公平さ、知識と理論、相手に対する想像力などを身につけざるを得ないからだと思い至りました。好むと好まざるとに関わらず。
著者は外国人児童の支援学級にボランティアとして参加しているのですが、そこで母親がフィリピン籍の女の子と、著者がかわした会話は象徴的です。お互いの違いを認めていればこそ同じ部分を発見した時に嬉しいし楽しい。同じ事が前提になっている社会なら、違いは指弾されるだけ。発見も親近感も楽しさも、起こりようがありません。
京都朝鮮学校襲撃事件の法廷で、民族教育に触れた部分では、私自身の日本語に対する愛着に気づかされました。日本に住んで日本語を使う日本人の私ですが、この言葉や文字が、私の曾祖父母やそのまた曾祖父母も使っていて、代々受け継がれ、私の血や骨の中に刻み込まれているようないとおしさを私は初めて感じました。日本語はすごいとか、日本文化は素晴らしいとか日々聞かされているにも関わらず、文化や言葉を身近な、自分の中に流れるものの様に感じることが出来たのがこの本でだったのは、皮肉と言えます。
最終章では李さんのご両親はじめ様々な在日韓国朝鮮人の半生が綴られています。どの人生も一つきり、みな違います。しかし同化圧力の元で、同化した人と、自分らしくと考えた人の間に亀裂も走りました。私達も同じです。日本人だからといって皆同じ訳ではありません。当たり前ですが一人一人皆違うのです。しかし違う事を声高に言えないことが多々あります。社会がマイノリティにあからさまに押しつけていることを、マジョリティもまた自分自身に知らずに押しつけているのではないでしょうか。
違う文化を認め違う民族の人々と共生する為には、どこの国でもそうですが歴史の清算は避けて通れない問題です。私は今までそういう行為は身を切るように辛い大変なものだと思っていました。しかし清算した後の社会がこの本の端々に現れるような暖かいものになるのなら、それほど厳しく辛いものではないのかもしれないと思いました。ドイツ偉いなどと思っていましたが、結局自国をより快適にするための近道だと知って行っていたのなら、なんかずるい(著者の真似)。
今の社会に息苦しさ、窮屈さを感じている方に是非読んで頂きたい本です。そして読後、このアマゾンのレビュー欄をもう一度見て下さい。ここには著者が指摘した差別者レトリックの生きた見本があります。そして見えにくい差別への荷担も存在していることにお気が付かれるでしょう。この社会をどうすれば良いのか、この本で著者の李信恵さんと一緒に考えてみませんか。
【2月9日追記】
コメントが付いておりました。
SHANDYMAMAさん、コメントありがとうございます。
もう一つの投稿者さん(敢えて名前は書きません)からのコメントにはお返事できません。その理由をかいつまんでご説明します。
>>だけで、テレビとかであの場面ばかり繰り返して放送しているから
>>常にやっているように見えるが、実際に行ったのは、最初だけだよ
この本にはデモの行われた日付が書かれています。そして在特会は自分達のデモを動画としてアップしているので、どんなデモなのか簡単に確認出来ます。
2010年 1月14日 朝鮮学校による侵略を許さないぞ 京都デモ、2013年 2月24日 有名な鶴橋大虐殺と叫ばれたデモ、2014年1月19日の埼玉川口市デモ、本タイトルの元となった「鶴橋安寧」を生み出した2014年5月の鶴橋デモなど長期にわたるデモの様子が語られており、動画で確認すると「ゴミはゴミ箱へ 朝鮮人は朝鮮半島へ」という幟旗や「在日韓国朝鮮人よ、お前達は敵国人だ」と書かれたプラカード等々憎悪に満ちた罵詈雑言が溢れています。本書に記述のないデモ動画も観るとひどいものでした。投稿者はなにをもって最初(最初って何時?)だけだと書かれたのか理解に苦しみます。日付が読めない方なのでしょうか。それともこれが普通のデモだとでもおっしゃりたいのでしょうか。
>>それ以外は、警察の許可も得ているし、法的には何ら問題もないしな
深刻な害悪を起こして後法規制に至る例は多々あるので、今法的に問題ないことと害悪ではないことは関係ありません。昨年法規制された脱法ドラッグもご存じないのでしょうか。
>>まあ、明らかに戦術の失敗だな
>>朝鮮学校への抗議活動も、金正日の洗脳から子供を守れとか
この記述もおどろきです。本書の裁判傍聴録には在特会が朝鮮学校での教育内容を問題にしている事がはっきりと書かれています。そして学校側は反論の資料を提出し、高裁判決では民族教育権にまで踏み込んで認められ、最高裁でその判決が確定したのです。本書にネットでも学校側の資料が読めるとサイト名と資料名が記載されていたので、私はレビューを書く前に読みました。カリキュラムについて詳細な記述がありました。また裁判所サイトに判決文がありましたのでざっと目を通したところ(90頁以上あるので精読はしかねましたが)、本の記述に沿ったものでした。本書には在特会側が提出した証拠については開いた口がふさがらなくなるほど馬鹿げたもの一点以外には何も書かれていません。何をもってカリキュラムについて争えばよかったなどと考えられたのか、これでは皆目わかりません。
最後になりましたが、冒頭、
>>しばき隊からは三十人を超える逮捕者を出している。
>>在特会などへの暴力行為からだ。
>>在特会側からの逮捕者は十人程度であることを考えれば、どちらが暴力を主導しているか明らかだ
とあるのですが、ロート製薬強要事件、徳島教組襲撃事件、朝鮮学校襲撃事件等引き起こし有罪が確定している人を含んだ逮捕者数と、不起訴も起訴猶予が大多数の逮捕者数を一律に比べて何の意味があるのでしょう。比較の体をなしていません。
百歩譲ってこの数を比べても、カウンター側の方が逮捕されても起訴に至らない人の割合が多いとしか言えません。つまり、警察はほんの些細な事でカウンター側をより多く逮捕していることになり、これは「警察が排外主義者のデモを守っている様にみえる」という人種差別撤廃委員会の懸念の傍証にしかならず、仰りたい意図とは正反対になります。にもかかわらず、この文章を冒頭にもって来る文章感覚が信じられません。
一番わからないのが本書を読めば容易にわかる事実誤認をしながら、なぜレビューコメントをつけられるのか、です。読んだ人間からその事実誤認をどう受け止められるか、日付も読めない人と思われたり、知っていながら嘘を書く人間だと思われる危険に考えが及ばないのでしょうか。このように書籍レビューへのコメントとしてはあまりに無残なので、コメント投稿者がこのレベルである限り無視したいと思います。
【2月14日 再追記】
このレビューとコメント欄をご覧の方には追記に私が『書籍レビューへのコメントとしてはあまりに無残なので、コメント投稿者がこのレベルである限り無視した いと思います』と書かいたにも関わらず、投稿者さんが何故更にもっと低いレベルのコメントを投稿されるのか、いぶかしく思われる方も多いと思います。レベルがもっと低いと申しますのは、この投稿者が推定無罪の原則をスルーし、刑事裁判と民事裁判の違いもわからず混同し、更に条約委員会を国連の下部とかなんとか意味不明な事を書いている点などです。賢明な読者諸氏は既にご存じでしょうがこの委員会は日本が人種差別撤廃条約を批准し、条約に定められたとおり(第二部8条以下)委員会から査察と勧告が来たというだけの話でしかありません。批准した条約の遵守が嫌なら条約を破棄すればよいだけの事です(その時日本の評判は地に落ちるでしょうが)。あまりにひどいので途中で一度読むのをギブアップし、思い直して読み直すまで少し時間がかかる位でした。
これら一連のコメントは本書106頁から始まる章で著者が分析している心理が作用しているのだと思います。このような心理が昂じると周りの状況が見えなくなり、159頁で描 写されているような行動に至るのでしょう。実際、投稿者のコメントはこの頁で主張され(そして呆れられた)レトリックとうり二つです。
レビューを書きコメントを付けられたことにより、本書に書かれた内容の現実味が増し、改めて著者、李信恵さんの観察眼と分析の鋭さに敬服した次第です。 大変良い本ですので、皆様是非お読み下さい。
【10月31日再々追記】
その後またコメントが付けられており、最初の一行でコメント投稿者が私の想像以上に民事と刑事裁判の違いを理解できていない事が判明したので、その事を今までの投稿者のコメントを引用してコメントで指摘したところ、日を置かずにコメントが付いたようです。私は完全に呆れていたので読みもしませんでしたが、先日何気なく確認してみたところ、二つ付いたコメントはどちらも、投稿後にアマゾンによって削除されていました。
もう読めないので誰が何を書いたのかはわかりませんが、もし件のコメント投稿者だったとしたら、己の無知を指摘され削除されるようなコメント(アマゾンの削除コードは決して厳しいとはいえない)をつけ、削除されてももう一度コメントするというかなり破廉恥な顛末だった事になります。削除コメントを抜きにしてもこの一連のやり取りで低評価レビューを書いていたこの人物(このコメント投稿者は書いています、読みもしないで星一つレビューを)の正体見たりの感を強くしています。こんな人が書いたレビューに大勢の賛意が寄せられる社会はまともと言えるでしょうか。これは我々マジョリティが真剣に考えなければならない問題だと思います。
【2016年 3月6日 笑える追記】
ちょっと用事があってここへ来てみたら新たなコメントがついていました。
5秒ほどかけてコメントを読んだところ、韓国・朝鮮籍の人の犯罪率は高い!!!!という、
過去に何度もデータで否定されているデマの信奉者からのものでした。
しかも数日後に投稿されている5つめ(こんな無内容コメントさえ一つにまとめられず4つもコメント)
はアマゾンから削除されてます。削除されているので誰のコメントかは判りませんが。
刑事裁判と民事裁判の区別がつかない人の次はこれですかっていう・・・(笑)
全日本人に韓国での日本と同じ特別永住権を寄こせとも主張しているみたいですが、
それが日本の特別永住資格と同じものであるならば、与えられた時点で皆滞在資格を喪失せざるを得ないでしょう。
日本の特別永住資格は日本に定住している事が条件ですから、場所を韓国に当てはめると韓国に定住している実態が必要になります。
基本的な知識もないのに堂々と書いて己が無知を晒す、大変お気の毒な方です。
ちなみに特別永住資格についての法律・入管特例法の正式名称は
「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法」といい、
国連自由権規約委員会から日本政府への勧告の中で、自由の剥奪として苦言を呈されている代物です。
以上、ついているコメント数が増えていたので(12から17へ)、
ここに来られた方が人並みのコメントと勘違いされないように、追記致しました。
観察して呆れたい人以外には読む価値のないコメントです。私は読むのに使った5秒が勿体ないと感じました。
2017年2月16日追記
また私のレビューにコメントがついていました。
今までと同じ轍を踏むのは願い下げだったので、投稿者の履歴をチェックしたところ、
高史明さんの「レイシズムを解剖する」にレビューを寄せていました。
その短いレビューでさえ、対象の定義を全くせずに比較と称するものを掲げたり
(韓国は十数年前に強姦の範囲を広げ被害者が男性の場合もセクハラも強姦罪に問えることにし、
被害者のワンストップサービスを充実させました。確か親告罪でもなくなったはずです。
いまだ親告罪のままで、この犯罪に対して警察の理解不足も指摘されている日本と数だけで比較できるつもりなのでしょうか。
きっと「暗数」という言葉も概念もご存じないのでしょうね)
ネットのデマをそのまま書いたり(またか)していたので、もう読まずにスルーしていいですよね?
博論をまとめた本にこんなレビューを書く人でも、コメントすれば赤の他人に時間を使わせて相手をしてもらえるとか、
そんな風潮がまかり通ったらこまりますもの。
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#鶴橋安寧―アンチ・ヘイト・クロニクル 単行本(ソフトカバー) – 2015/1/16
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連日ツイッターでネトウヨから集中砲火を浴び、
リアルでも「在特会」会長らの標的となって深刻な被害を受け続けてきた著者。
執拗なヘイトスピーチに深く傷付きながらも、ネットでリアルで応戦しつつ、
カウンターに裁判にと疾駆する著者の活動と「在日の歴史」とを重ね綴る、著者初の単行本!
■主な目次■
カウンター
差別はネットの娯楽なのか
ひまわりと菜の花―福島朝鮮学校の除染作業へ
京都朝鮮学校襲撃事件 裁判傍聴記
在日の街と人と
リアルでも「在特会」会長らの標的となって深刻な被害を受け続けてきた著者。
執拗なヘイトスピーチに深く傷付きながらも、ネットでリアルで応戦しつつ、
カウンターに裁判にと疾駆する著者の活動と「在日の歴史」とを重ね綴る、著者初の単行本!
■主な目次■
カウンター
差別はネットの娯楽なのか
ひまわりと菜の花―福島朝鮮学校の除染作業へ
京都朝鮮学校襲撃事件 裁判傍聴記
在日の街と人と
- 本の長さ262ページ
- 言語日本語
- 出版社影書房
- 発売日2015/1/16
- 寸法13 x 1.6 x 18.8 cm
- ISBN-104877144536
- ISBN-13978-4877144531
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商品の説明
出版社からのコメント
ネット上に蔓延し、路上に溢れ出したヘイトスピーチ。
法規制の議論が進む中、被害当事者の声は届いているだろうか?
在日コリアン2.5世の著者は、ネット媒体などで活躍するフリーライター。
ネットに書いた記事が発端となり、在日コリアンであり女性であるという理由から
次第にネトウヨのターゲットに、そしてツイッターで連日集中砲火を浴びせられるように。
さらにはリアル世界でも「在特会」会長ほか「行動する保守」のメンバーらの標的となり、
深刻な被害を受けてきた。
本書は、憎悪をむき出しにする差別扇動者たちに応戦しつつ、
カウンター活動に、京都朝鮮学校襲撃事件の裁判傍聴に、
そして「在特会」会長や「保守速報」を訴える民事裁判提訴へと駆け抜けてきた
著者自らの、およそ2年わたる活動記録に、
家族や人、街にまつわる「在日の歴史」を重ね綴った初の単行本。
法規制の議論が進む中、被害当事者の声は届いているだろうか?
在日コリアン2.5世の著者は、ネット媒体などで活躍するフリーライター。
ネットに書いた記事が発端となり、在日コリアンであり女性であるという理由から
次第にネトウヨのターゲットに、そしてツイッターで連日集中砲火を浴びせられるように。
さらにはリアル世界でも「在特会」会長ほか「行動する保守」のメンバーらの標的となり、
深刻な被害を受けてきた。
本書は、憎悪をむき出しにする差別扇動者たちに応戦しつつ、
カウンター活動に、京都朝鮮学校襲撃事件の裁判傍聴に、
そして「在特会」会長や「保守速報」を訴える民事裁判提訴へと駆け抜けてきた
著者自らの、およそ2年わたる活動記録に、
家族や人、街にまつわる「在日の歴史」を重ね綴った初の単行本。
著者について
1971年生まれ。大阪府東大阪市出身の在日コリアン2.5世。フリーライター。
大学在学中から記者としての活動を始め、女性誌や地域情報誌で記事を執筆。
現在はインターネットのニュースサイト(アジアプレス、ガジェット通信)をはじめ、
新聞(日刊ゲンダイ)や月刊誌(部落解放、ヒューマンライツ、イオ)、
ラジオ(ラジオフォーラム)など各種媒体でライター、取材記者として活動。
日本国内の差別問題、従軍慰安婦問題、教育問題等に取り組んでいる。
また、韓国のニュースサイト(JPNEWS)やテレビ局(KBS、MBC)などとも提携し、
日韓や在日、ヘイトスピーチなどの問題についての記事や番組を制作し、発信している。
「2014年やよりジャーナリスト賞」受賞。
日本人の夫、息子、愛犬のキムチ♀と暮らす。
大学在学中から記者としての活動を始め、女性誌や地域情報誌で記事を執筆。
現在はインターネットのニュースサイト(アジアプレス、ガジェット通信)をはじめ、
新聞(日刊ゲンダイ)や月刊誌(部落解放、ヒューマンライツ、イオ)、
ラジオ(ラジオフォーラム)など各種媒体でライター、取材記者として活動。
日本国内の差別問題、従軍慰安婦問題、教育問題等に取り組んでいる。
また、韓国のニュースサイト(JPNEWS)やテレビ局(KBS、MBC)などとも提携し、
日韓や在日、ヘイトスピーチなどの問題についての記事や番組を制作し、発信している。
「2014年やよりジャーナリスト賞」受賞。
日本人の夫、息子、愛犬のキムチ♀と暮らす。
登録情報
- 出版社 : 影書房 (2015/1/16)
- 発売日 : 2015/1/16
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 262ページ
- ISBN-10 : 4877144536
- ISBN-13 : 978-4877144531
- 寸法 : 13 x 1.6 x 18.8 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 865,450位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 108,476位ノンフィクション (本)
- カスタマーレビュー:
イメージ付きのレビュー
5 星
涙なしには読めない
ヘイトスピーチが暴力そのものであることが分かりました。等身大の著者の様子が分かります。読み手の立場で感じ方が違うかもしれませんが、在日で、女性で、母親でもある著者の心が書かれています。ヘイトスピーチをする少年少女たちへの暖かな目線に心を打たれました…。ヘイトスピーチやカウンター活動を追っかけていなかった方には、時系列が少し分かりにくいかもしれません。裁判傍聴記の部分は、「ルポ 京都朝鮮学校襲撃事件――〈ヘイトクライム〉に抗して」も合わせて読むと良いと思いました。
フィードバックをお寄せいただきありがとうございます
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申し訳ありませんが、レビューを読み込めませんでした
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2015年2月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
私は予約購入をして手元に届いたのが1月19日であった。不思議なのはそれ以前に悪意あるレビューが並んだことである。
見本品でも手に入れたというのであろうか、また姦しく並ぶ低評価の御仁たちが人権問題1位に持ち上げた結果になった事。
まったく皮肉としかいいようがないが、これもシステム上に置いて「#鶴橋安寧」を正しく評価している実証だったりするのだ。
2015年に何が起きて人として何を考えねばならぬ時かを想う時「#鶴橋安寧」は歴史の一コマを切り取っているのであろう。
私が在日の方々の心の葛藤に出合ったのは辛 淑玉氏の『鬼哭啾啾 「楽園」に帰還した私の家族』を読み衝撃受けたのだ。
幼きころから隣人と接してきた在日の方々の子緒頃の奥底にある慟哭、理不尽な差別への哀しみを知る一書となった。
さて「#鶴橋安寧」…私はカバーを外してから本を読み始める。
赤く想定された表紙に白抜きのロゴが並ぶ、その美しさに息をのんだ。これから読み進めるヘイトへの思い空気を消し去って
私は李 信恵の世界に招かれていった。
「カウンター」の章では数人の登場人物とのかかわりの中で、彼女の目線から描写され読み手に苦痛を与えない配慮がなされ
なおかつヘイトスピーチがいかに相手の心を殺していくのかを力強く訴えていくのには書き手の聡明さを見る思いがした。
そして、それらの登場人物の横にも後ろにも多くのカウンターという群衆が並んでいることが行間から溢れ出ているのだ。
ヘイトスピーチってなに? カウンターってなに? そう思った方には入りやすい手引書ではないだろうか。
福島朝鮮学校への除染作業にも彼女は2回参加している。誰に言われたわけでもなく満身創痍の身体をひきずって
その除染作業でひまわりと菜の花を植えてきた。
『数日後には、福島朝鮮初中級学校が「校庭等土壌緊急改良事業」の対象に入るかもしれないとの話があった。
しかしその補助の金額は、日本の公立学校の2分の1だという。あるアボジが「うちの子どもらの命は日本人の半分か」
と自嘲気味に笑った。 それでも「一歩前進!」と話す参加者たちの姿は、強くてたくましいいと感じた。そうでなきゃ、
在日なんかやってられない。大人たちに出来ることは、子どもが笑って過ごせる社会や場所を作り、守ること。
そんな場所を作ってきた人々と接して、胸がいっぱいになる1日だった』(P125)
「京都朝鮮学校襲撃事件 裁判傍聴記」以降はは醜悪なヘイトスピーチがいかに在日の方々や子どもたちを傷つけたのか
差別の根っ子に切り込んでいく、そしてそれは在日として生きてきたアポジ・オモニたちの鬼哭啾啾の泣き声が木魂する。
本書を一貫して貫いている作者の「人としての有りかた、人権の復権への足場」そこに学ぶべきものがあるのではないだろうか
「人権に国境はない」 「命に国境はない」
私たちが そう胸に叩きこむことこそが2015年2月を意義あるものとするのだと読後の余韻が語りかけてくる。
ぜひ手にとって読んでいただきたい本です。
見本品でも手に入れたというのであろうか、また姦しく並ぶ低評価の御仁たちが人権問題1位に持ち上げた結果になった事。
まったく皮肉としかいいようがないが、これもシステム上に置いて「#鶴橋安寧」を正しく評価している実証だったりするのだ。
2015年に何が起きて人として何を考えねばならぬ時かを想う時「#鶴橋安寧」は歴史の一コマを切り取っているのであろう。
私が在日の方々の心の葛藤に出合ったのは辛 淑玉氏の『鬼哭啾啾 「楽園」に帰還した私の家族』を読み衝撃受けたのだ。
幼きころから隣人と接してきた在日の方々の子緒頃の奥底にある慟哭、理不尽な差別への哀しみを知る一書となった。
さて「#鶴橋安寧」…私はカバーを外してから本を読み始める。
赤く想定された表紙に白抜きのロゴが並ぶ、その美しさに息をのんだ。これから読み進めるヘイトへの思い空気を消し去って
私は李 信恵の世界に招かれていった。
「カウンター」の章では数人の登場人物とのかかわりの中で、彼女の目線から描写され読み手に苦痛を与えない配慮がなされ
なおかつヘイトスピーチがいかに相手の心を殺していくのかを力強く訴えていくのには書き手の聡明さを見る思いがした。
そして、それらの登場人物の横にも後ろにも多くのカウンターという群衆が並んでいることが行間から溢れ出ているのだ。
ヘイトスピーチってなに? カウンターってなに? そう思った方には入りやすい手引書ではないだろうか。
福島朝鮮学校への除染作業にも彼女は2回参加している。誰に言われたわけでもなく満身創痍の身体をひきずって
その除染作業でひまわりと菜の花を植えてきた。
『数日後には、福島朝鮮初中級学校が「校庭等土壌緊急改良事業」の対象に入るかもしれないとの話があった。
しかしその補助の金額は、日本の公立学校の2分の1だという。あるアボジが「うちの子どもらの命は日本人の半分か」
と自嘲気味に笑った。 それでも「一歩前進!」と話す参加者たちの姿は、強くてたくましいいと感じた。そうでなきゃ、
在日なんかやってられない。大人たちに出来ることは、子どもが笑って過ごせる社会や場所を作り、守ること。
そんな場所を作ってきた人々と接して、胸がいっぱいになる1日だった』(P125)
「京都朝鮮学校襲撃事件 裁判傍聴記」以降はは醜悪なヘイトスピーチがいかに在日の方々や子どもたちを傷つけたのか
差別の根っ子に切り込んでいく、そしてそれは在日として生きてきたアポジ・オモニたちの鬼哭啾啾の泣き声が木魂する。
本書を一貫して貫いている作者の「人としての有りかた、人権の復権への足場」そこに学ぶべきものがあるのではないだろうか
「人権に国境はない」 「命に国境はない」
私たちが そう胸に叩きこむことこそが2015年2月を意義あるものとするのだと読後の余韻が語りかけてくる。
ぜひ手にとって読んでいただきたい本です。
2015年1月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
読み始めて、しばらくは正直、失敗作ではないかと感じていた。あまりにも個人的記述が多い。(ギャグも快調にスベっている(笑))
下手をすると仲間内だけに通用するfacebookやブログの文章に堕しかねない危うさを感じた。
しかし、読み進めるうちに考えを改めた。
この本は個人的記述に徹することに意味がある。対象に一定の距離を置いて描くルポのようなものを期待するほうが間違っているのだ。
筆者の個人としてのあり方そのものに、人を考えさせ、人の心を動かす力がある。
ヘイトスピーチの嵐が吹き荒れる今の日本社会で、筆者は、被害者として苦しみながらも、ライターとして取材し、カウンターの活動をしながら、同時に、未来の共生社会に生きる 寛容の心を持った市民のあり方をも体現し、読者に示す。
自らにヘイトを投げかけるレイシストに対してさえ、心の底では 人として気遣っている。
相手は筆者を人として扱っていないというのにね。
そう思うと、グッときた。なんなんだこの人間愛は。
究極のところ、みんなが共生できる社会とは、みんながその人間愛を共有する社会というものに行き着くのではないだろうか。
現在進行中の被害者でありながら、なぜそんなあり方が示せるのだろう。(変態だから?(笑))
風呂につかりながら、一気に読み終え、思わずスタンディングオベーション!
筆者が今していることは、必ず未来の共生社会のために活きる。
みんなで活かさなければならない。そう強く思った。
下手をすると仲間内だけに通用するfacebookやブログの文章に堕しかねない危うさを感じた。
しかし、読み進めるうちに考えを改めた。
この本は個人的記述に徹することに意味がある。対象に一定の距離を置いて描くルポのようなものを期待するほうが間違っているのだ。
筆者の個人としてのあり方そのものに、人を考えさせ、人の心を動かす力がある。
ヘイトスピーチの嵐が吹き荒れる今の日本社会で、筆者は、被害者として苦しみながらも、ライターとして取材し、カウンターの活動をしながら、同時に、未来の共生社会に生きる 寛容の心を持った市民のあり方をも体現し、読者に示す。
自らにヘイトを投げかけるレイシストに対してさえ、心の底では 人として気遣っている。
相手は筆者を人として扱っていないというのにね。
そう思うと、グッときた。なんなんだこの人間愛は。
究極のところ、みんなが共生できる社会とは、みんながその人間愛を共有する社会というものに行き着くのではないだろうか。
現在進行中の被害者でありながら、なぜそんなあり方が示せるのだろう。(変態だから?(笑))
風呂につかりながら、一気に読み終え、思わずスタンディングオベーション!
筆者が今していることは、必ず未来の共生社会のために活きる。
みんなで活かさなければならない。そう強く思った。
2015年2月15日に日本でレビュー済み
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「私は日本が大好きだ。私は在日として、この日本を愛し、この日本で生きていきたい」(p113)
そう語る著者に浴びせられる罵詈雑言の数々。途中から読んでて辛くなったが、そんな暴言の嵐の中でも相手と対話しようとする著者の姿勢に感服した。
そうした姿勢は、相手を対話できない「敵」として他者化してしまうヘイトグループとは対照的だ。罵倒し、論破し、屈服させる対象としてしか相手を見れないとき、普段は礼儀正しく穏やかな人も豹変してしまう。
印象に残ったエピソードのひとつに、在日コリアンの知り合いが多くいながなら在特会のデモに参加している男性の話があった。その男性について、著者は「彼らは本当の意味で『在日』や『外国人』と出会っていないのではないか」と語る。
本当の意味で「出会う」ってどういう意味だろう、と考えさせられた。
たぶん、本当の意味の「出会う」というのは、相手から影響を受ける、または影響を与えることができる関係になることなのではないかと思う。だから、自分の行為を正当化するためにマイノリティーとの関係を利用することは、本当の意味で「出会う」ことではない。
この本を読み終えて、著者はヘイトスピーチをめぐる様々な出来事の中で、多くの人と「出会って」いる。その出会いは、支えてくれる仲間だけじゃなく、罵詈雑言を浴びせてくる相手もそうである。
たぶん、著者は素直で人からの影響を受けやすい人なのだろう。「あいつらの言ってることなんてくだらない」と思ってしまえば、どんな酷い言葉も雑音程度に聞こえるかもしれない。しかし、著者はそれをせず(できず)、浴びせられる言葉を正面から受け止め、悩み、考え、闘っている。それは、「傷つきやすさ」でもあると同時に、ヘイトスピーチに対抗するための著者の「強み」でもあると思う。
この本を読んで著者の人間味を感じ「出会う」ことができるか。それは、読み手次第だと思う。
そう語る著者に浴びせられる罵詈雑言の数々。途中から読んでて辛くなったが、そんな暴言の嵐の中でも相手と対話しようとする著者の姿勢に感服した。
そうした姿勢は、相手を対話できない「敵」として他者化してしまうヘイトグループとは対照的だ。罵倒し、論破し、屈服させる対象としてしか相手を見れないとき、普段は礼儀正しく穏やかな人も豹変してしまう。
印象に残ったエピソードのひとつに、在日コリアンの知り合いが多くいながなら在特会のデモに参加している男性の話があった。その男性について、著者は「彼らは本当の意味で『在日』や『外国人』と出会っていないのではないか」と語る。
本当の意味で「出会う」ってどういう意味だろう、と考えさせられた。
たぶん、本当の意味の「出会う」というのは、相手から影響を受ける、または影響を与えることができる関係になることなのではないかと思う。だから、自分の行為を正当化するためにマイノリティーとの関係を利用することは、本当の意味で「出会う」ことではない。
この本を読み終えて、著者はヘイトスピーチをめぐる様々な出来事の中で、多くの人と「出会って」いる。その出会いは、支えてくれる仲間だけじゃなく、罵詈雑言を浴びせてくる相手もそうである。
たぶん、著者は素直で人からの影響を受けやすい人なのだろう。「あいつらの言ってることなんてくだらない」と思ってしまえば、どんな酷い言葉も雑音程度に聞こえるかもしれない。しかし、著者はそれをせず(できず)、浴びせられる言葉を正面から受け止め、悩み、考え、闘っている。それは、「傷つきやすさ」でもあると同時に、ヘイトスピーチに対抗するための著者の「強み」でもあると思う。
この本を読んで著者の人間味を感じ「出会う」ことができるか。それは、読み手次第だと思う。
2015年1月22日に日本でレビュー済み
う~ん・・・・
客観的視点で読んでみた。
申し訳ないが、被害者在日韓国人・朝鮮人視点過ぎて、理論的な書籍とは言い難い。
私は、歴史認識は文献など学術的視点でみている。そう言う視点が殆ど無いから、この評価となる。
在日韓国人などを排斥しようとする集団と反対する集団は、共に同じ穴の狢であり、目くそはなくそ と私はみている。
この李さんからは、その後者の集団と与しているのか?とも思ってしまう。
これから、読まれる方は、この書籍と対になる書籍の二系統読まれる事で、このいがみ合う両集団の意見が、垣間見れると思います。
客観的視点で読んでみた。
申し訳ないが、被害者在日韓国人・朝鮮人視点過ぎて、理論的な書籍とは言い難い。
私は、歴史認識は文献など学術的視点でみている。そう言う視点が殆ど無いから、この評価となる。
在日韓国人などを排斥しようとする集団と反対する集団は、共に同じ穴の狢であり、目くそはなくそ と私はみている。
この李さんからは、その後者の集団と与しているのか?とも思ってしまう。
これから、読まれる方は、この書籍と対になる書籍の二系統読まれる事で、このいがみ合う両集団の意見が、垣間見れると思います。