本書の主人公、徳川宗春に関する資料は将軍・徳川吉宗に逆らったことによりかなり少ないと書かれていますが、にも関わらずこの上巻では宗春の部屋住み時代のみを扱っています。これによって宗春の思想やなぜ後に吉宗に逆らったのかがよくわかる作りになっています。
本書における宗春の性格は何よりも粋なことを重視するということです。武士や大名である以前に人間であり、彩りのある生活を営むことが最も重要、その上で思想や庶民の救済があるという考え方です。上巻ではそういった宗春の爽やかさが何度も強調されます。荻生徂徠の思想や国家経営論、経済論なども少し出てきますが、それらの根底にある考え方も生きた学問として自然と理解できます。
今日的な観点から見ると宗春=リフレ派=安倍首相、吉宗=増税派=野田前首相みたいに見ると面白いと思います。
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尾張春風伝 上 単行本 – 1997/11/1
清水 義範
(著)
- 本の長さ381ページ
- 言語日本語
- 出版社幻冬舎
- 発売日1997/11/1
- ISBN-104877281908
- ISBN-13978-4877281908
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商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
春、という名の男がいた。若い時は通春といい、後に宗春となった。思考が明晰で、楽しげなことが大好き。やることが派手で、どこか常識の枠を突き抜けている男・徳川宗春の生涯。
登録情報
- 出版社 : 幻冬舎 (1997/11/1)
- 発売日 : 1997/11/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 381ページ
- ISBN-10 : 4877281908
- ISBN-13 : 978-4877281908
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,338,400位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 356,207位文学・評論 (本)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2011年12月1日に日本でレビュー済み
私は歴史小説はほとんど読まないのだけれど、清水義範氏の小説は読み易くて好きなのと、地元名古屋が舞台になっているので読んでみた。
宗春こと我らが春様は確かに魅力的な人物として描かれていて、生まれて来た時代が違ったのかなと思えてきた。
そして、名古屋城はもちろん、建中寺、東照宮、大須観音、若宮八幡宮などなじみのある場所が出てきてとても親近感が持てた。特に宗春が愛し、晩年を過ごした御下屋敷
があった所は私が生まれ育ち、今も住んでいるあたりであり、近所の景色を見てこの辺におられたのかと思うと感慨深いものがある。
ちなみに平和公園にあり、戦争中の焼夷弾によって右肩が欠けていたという宗春の墓碑は2010年に有志らによって修復されている。そして地元には「NPO法人宗春ロマン隊」なる会があり、「宗春」を大河ドラマに、という署名運動まで行われている。
詳しくはHPでご覧いただけます。 NPO法人宗春ロマン隊 [...]
宗春こと我らが春様は確かに魅力的な人物として描かれていて、生まれて来た時代が違ったのかなと思えてきた。
そして、名古屋城はもちろん、建中寺、東照宮、大須観音、若宮八幡宮などなじみのある場所が出てきてとても親近感が持てた。特に宗春が愛し、晩年を過ごした御下屋敷
があった所は私が生まれ育ち、今も住んでいるあたりであり、近所の景色を見てこの辺におられたのかと思うと感慨深いものがある。
ちなみに平和公園にあり、戦争中の焼夷弾によって右肩が欠けていたという宗春の墓碑は2010年に有志らによって修復されている。そして地元には「NPO法人宗春ロマン隊」なる会があり、「宗春」を大河ドラマに、という署名運動まで行われている。
詳しくはHPでご覧いただけます。 NPO法人宗春ロマン隊 [...]
2013年1月10日に日本でレビュー済み
実は近所の図書館で借りて、役に立ちそうだったら購入しようと思ったのだが、正直、迷っている。
ゆるい感じが作者の持ち味のひとつなのだということは知っている。
しかしながら、もう少し人物造型をしっかりすれば、もっとストーリーが起伏に富み、締まったものになっただろう。
細部までよく調べられてはいる。
ただし、たとえば、日枝山王祭のシーンなど、現代の東京の祭の様子から類推して描写していると思われる。
江戸時代の山王祭が果たしてそのようなものだったのか、大きな疑問として残る。
(現代日本には、「伝統、伝統」といいながら、たかだか戦後からはじまっている「伝統」が多い)
そのほか、誤りとまでは言えないものの、残念なシーンが多々あった。
痛快な活劇にするのか、爆笑の喜劇にするのか、本格的な歴史小説にするのかはっきりして欲しかった。
著者はパスティーシュで名をなしたが、オリジナリティはすごく弱い。
そんな残念な印象である。
海音寺潮五郎に『吉宗と宗春』という中編がある。
七十年も昔の作品である。
戦前という時代の制約から考証の誤りも多い。
しかしながら、宗春を善玉として描いている作品としては、こちらの方がぐっと胸に迫った。
買ってもいないのに、生意気言って済みません。
ゆるい感じが作者の持ち味のひとつなのだということは知っている。
しかしながら、もう少し人物造型をしっかりすれば、もっとストーリーが起伏に富み、締まったものになっただろう。
細部までよく調べられてはいる。
ただし、たとえば、日枝山王祭のシーンなど、現代の東京の祭の様子から類推して描写していると思われる。
江戸時代の山王祭が果たしてそのようなものだったのか、大きな疑問として残る。
(現代日本には、「伝統、伝統」といいながら、たかだか戦後からはじまっている「伝統」が多い)
そのほか、誤りとまでは言えないものの、残念なシーンが多々あった。
痛快な活劇にするのか、爆笑の喜劇にするのか、本格的な歴史小説にするのかはっきりして欲しかった。
著者はパスティーシュで名をなしたが、オリジナリティはすごく弱い。
そんな残念な印象である。
海音寺潮五郎に『吉宗と宗春』という中編がある。
七十年も昔の作品である。
戦前という時代の制約から考証の誤りも多い。
しかしながら、宗春を善玉として描いている作品としては、こちらの方がぐっと胸に迫った。
買ってもいないのに、生意気言って済みません。
2002年1月24日に日本でレビュー済み
以前大河ドラマ「八代将軍吉宗」で中井貴一が演じて以来、気になっていた徳川宗春。
彼の伝記小説が出たというので早速買いました。ハードカバーの上下2巻と
いうのが、途中で飽きてしまわないかと心配でしたが、それは杞憂と
いうものでした。
筆者特有の肩のこらない文章と主人公宗春の痛快さの相乗効果で、
最後まで読者を飽きさせません。
名は体を表すという言葉どおり、春風のような爽やかさと明るさで生きた
宗春。彼には、同時代人が見えなかった先の先まで見えていたのかも
しれません。いつか読んだ本にあった「あなたの不幸はその見えすぎる目だ」
(もちろん視力という意味ではなく!)というセリフに納得しながら
読みました。先の見えない不景気にあえぎ、漠然とした不!!安に悩む
この時代にこそ、彼のような政治家がいてくれたらいいのにと思います。
歴史小説が好きな方は、ちょっとテイストが違って「?」と思われるかも
しれませんが、今まで苦手だった方には、歴史小説への第一歩として
おすすめできます。
彼の伝記小説が出たというので早速買いました。ハードカバーの上下2巻と
いうのが、途中で飽きてしまわないかと心配でしたが、それは杞憂と
いうものでした。
筆者特有の肩のこらない文章と主人公宗春の痛快さの相乗効果で、
最後まで読者を飽きさせません。
名は体を表すという言葉どおり、春風のような爽やかさと明るさで生きた
宗春。彼には、同時代人が見えなかった先の先まで見えていたのかも
しれません。いつか読んだ本にあった「あなたの不幸はその見えすぎる目だ」
(もちろん視力という意味ではなく!)というセリフに納得しながら
読みました。先の見えない不景気にあえぎ、漠然とした不!!安に悩む
この時代にこそ、彼のような政治家がいてくれたらいいのにと思います。
歴史小説が好きな方は、ちょっとテイストが違って「?」と思われるかも
しれませんが、今まで苦手だった方には、歴史小説への第一歩として
おすすめできます。