この作品は、架空戦記ものに『萌え』を持ち込んだ作品である。このような紹介をすると、『ああ、いろものか』と、敬遠しがちな方も出てくるであろうが、読み終わってみればそれが間違いだったと分かるはずだ。
架空戦記は、文字通り『架空』の出来事を扱ったものであるが、だからといって何でもかんでも『架空の設定』を詰め込みすぎると、それはご都合主義になってしまう。架空戦記における『もし～だったら？』の出発点は、ひとつだけにとどめ、そこから物語を膨らませたほうがリアリティが増しておもしろい。
そしてこの『スカーレット・ストーム 第二海軍物語』における『もし～だったら？』は何かというと、『明治４１年以後、全世界で突然、男性の出生比率が２０％前後に落ち込み、その状態が固定された』ということにつきる。これは何とも大きな嘘設定だが、それに続く派生設定は思わず納得するものばかりである。
兵士となるべき若者達の男女比が１対４になったその世界における日米戦争はどのような形になるのか？ いやおうなしに戦争にかり出される女性達。読んで涙した架空戦記ものは久しぶりでした。萌えと架空戦記が両立するなんて……。新たな地平が見えた気がします。
ちなみに星が４つしかない理由、それは２００４年９月の段階では、まだ続編が企画されていないらしいということにつきます。めくるページが無くなったとき、あなたはきっと、続きが無いことに対する欲求不満を感じるでしょうから。
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