取材・調査に基づいて可能な限り実名を表に出して事実を述べる。そういう態度で書かれた本。著者が非常によく勉強している。そういう本だから読んで勉強になる。
前半はかなり突っ込んだ日米の内部告発の事例集。事実と意見の区別に読解力が要求されるとか長文が下手だとか新聞記者にありがちな読みにくさはあるものの、それでも詳しく取材された非常に質の高いものだといえる。特筆すべきは告発者が行った情報収集や告発の手順および告発される側(された側)が行った報復の手順が具体的に述べられていること。非常に刺激的である。多くの報道や書籍では「自浄能力が無かった」で済まされる内容が「自浄能力を排除しようと努力してきた」という点まで突っ込んで書かれているのが非常に素晴らしい。組織の体制整備のマニュアルとしても、それを直接の題材とした大抵の本よりは役に立つだろう(読む人にやましい点がなければ)。
後半は関連する法律、法律の運用、法律や世論が内部告発という行為に与える影響の説明。こちらも非常に詳しい内容。こういう点においてはアメリカが極めて先進的な国であり日本が先進国らしからぬ状況であることを改めて実感できるし、日本の公益通報者保護法がいかにダメかという点に関しても、施行後の今になってこの後半を読むと改めて実感できる。
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内部告発の力: 公益通報者保護法は何を守るのか 単行本 – 2004/4/1
奥山 俊宏
(著)
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日米英の多くの事例・制度を報告。公益通報者保護法案がようやく国会に提出された日本。内部告発者保護の思想と文化はどのように根付いていくのか。
- 本の長さ270ページ
- 言語日本語
- 出版社現代人文社
- 発売日2004/4/1
- ISBN-104877982019
- ISBN-13978-4877982010
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商品の説明
著者からのコメント
組織はなぜ内部告発への対応に失敗してしまったのか。三菱自動車、東京電力、社会保険庁、エンロン、ワールドコム、テロと戦う米国などをケース・スタディーしました。私たちは内部告発をどう受け止めたらいいのか。その手がかりを探しました。内部告発を抱きとめ、生かすための工夫を模索する米国、英国、日本を取材しました。日本でも、公益通報者保護法が制定され、2006年4月に施行される予定です。できたばかりのこの法律を解説しました。あらゆる組織は、待ったなしの対応を迫られています。その対応の参考になる内容が盛り込まれています。
内容(「MARC」データベースより)
内部告発が不祥事の拡大を防ぎ、組織と社会が変わる時代が到来した。かつて内部告発により、ひとは何につまづき、何を得たのか。三菱自工、東京電力、エンロン、ワールドコムなど日米英の事例・制度からその答えをひもとく。
抜粋
二〇〇四年に入っても内部告発者は成果を上げ続けている。防衛庁に代金を水増し請求した航空機メーカーが内部告発で事実を暴かれ、政府に一二三億円を返した。京都府丹波町の養鶏場で発生した鳥インフルエンザは、匿名の通報により行政の把握するところとなり、それ以上の放置を免れた。記者会見での元警視長の告白がきっかけとなって、警察は組織的な不正経理をついに一部で認め、是正を約束した。 【まえがきより】
著者について
朝日新聞社社会部記者
登録情報
- 出版社 : 現代人文社 (2004/4/1)
- 発売日 : 2004/4/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 270ページ
- ISBN-10 : 4877982019
- ISBN-13 : 978-4877982010
- Amazon 売れ筋ランキング: - 629,768位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 11,619位社会学概論
- - 35,445位投資・金融・会社経営 (本)
- - 59,478位ビジネス・経済 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1966年、岡山県生まれ。1989年、東京大学工学部卒、朝日新聞入社。水戸支局、福島支局、特別報道部、社会部など。2013年、朝日新聞編集委員。2022年、上智大学教授(文学部新聞学科)。
著書『秘密解除 ロッキード事件 田中角栄はなぜアメリカに嫌われたのか』(岩波書店)が第21回司馬遼太郎賞(2017年度)を受賞。同書に加え、福島第一原発事故やパナマ文書の報道も含め、日本記者クラブ賞(2018年度)を受賞。
カスタマーレビュー
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トップレビュー
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2004年10月1日に日本でレビュー済み
「内部告発」という言葉を聞くと、「裏切り者」という何となくダーティーなイメージを感じる。
しかし、本書で紹介される映画『インサイダー』になった米タパコ事件・エンロン事件・ワールドコム事件などのアメリカの例や、東京電力原子力発電ひび割れ隠し事件などの日本の事例を読むと、内部告発のおかげで社会正義が守られたこと、告発者がいなかったとしたらもっと腐敗が続いていただろう、ということが理解できる。
とはいえ、不正を目にしたとしても自分の立場を考えると告発に踏み切るには勇気が必要だ。ウォーターゲート事件の取材過程を描いた「大統領の陰謀」によると、“ディープスロート”という告発者は、新聞記者にも自らの正体を明かさなかった。それは、権力の頂点に君臨する相手がどんな報復をするか分からないからだ。
これからの社会は、内部告発者を守ることによって告発しやすい環境を作り、組織の健全性を保っていくべきだ。という考え方が本書の底流に流れている。
善意の内部告発者だけを守るのか、利害関係がある告発者をも守るべきなのか。国によって意見は分かれている。
アメリカでは、個人的利益があっても告発をしてもらうべき、という考え方まで進んでいるらしい。具体的に言うと、政府になりかわって損害賠償などの支払いを求める「キイタム訴訟」というものがあり、勝訴した原告には、勝ち取った賠償金のうち15%~30%の報奨金が支払われる。とのこと。日本の住民訴訟や株主代表訴訟の原告は勝訴しても一銭も得ることのない、いわば公のためにだけ尽くす人であるのと対照的である。
最近コンプライアンス(法令遵守)という言葉を目にすることが多くなった。日本でも「公益通報者保護法」が2004年6月18日に公布され、その中に2年以内に施行されることが明記された。本気でコンプライアンス体制を確立したい企業や法人にとって、本書は必読の書になるだろう。
しかし、本書で紹介される映画『インサイダー』になった米タパコ事件・エンロン事件・ワールドコム事件などのアメリカの例や、東京電力原子力発電ひび割れ隠し事件などの日本の事例を読むと、内部告発のおかげで社会正義が守られたこと、告発者がいなかったとしたらもっと腐敗が続いていただろう、ということが理解できる。
とはいえ、不正を目にしたとしても自分の立場を考えると告発に踏み切るには勇気が必要だ。ウォーターゲート事件の取材過程を描いた「大統領の陰謀」によると、“ディープスロート”という告発者は、新聞記者にも自らの正体を明かさなかった。それは、権力の頂点に君臨する相手がどんな報復をするか分からないからだ。
これからの社会は、内部告発者を守ることによって告発しやすい環境を作り、組織の健全性を保っていくべきだ。という考え方が本書の底流に流れている。
善意の内部告発者だけを守るのか、利害関係がある告発者をも守るべきなのか。国によって意見は分かれている。
アメリカでは、個人的利益があっても告発をしてもらうべき、という考え方まで進んでいるらしい。具体的に言うと、政府になりかわって損害賠償などの支払いを求める「キイタム訴訟」というものがあり、勝訴した原告には、勝ち取った賠償金のうち15%~30%の報奨金が支払われる。とのこと。日本の住民訴訟や株主代表訴訟の原告は勝訴しても一銭も得ることのない、いわば公のためにだけ尽くす人であるのと対照的である。
最近コンプライアンス(法令遵守)という言葉を目にすることが多くなった。日本でも「公益通報者保護法」が2004年6月18日に公布され、その中に2年以内に施行されることが明記された。本気でコンプライアンス体制を確立したい企業や法人にとって、本書は必読の書になるだろう。