エクゾティズム(異国趣味)という病に罹ったフランス海軍将校の館は、エステティック・インテリアの見本である。ロシュホールにあるピエル・ロティの館は、日本、トルコ、モスク、ゴシック、中国、ルネサンスの、それぞれの間に彩られ、さながらエステティック・インテリアのサンプル展示場の感がある。なかでも「トルコの間」にはイスタンブールで生き別れになり死別した最愛のアジャデの本当の墓碑が据えられている。そこに身を横たえるロティは、なにか後年のシュールリアリズムの大画家サルバトーレ・ダリとそのポーズを想起させるかなり角張ったものである。
この人物が書いたタヒチでの島民の女性との自らの結婚を描いた小説「ロティの結婚」が後期印象派のゴーギャンに大いに刺激し、彼地に行き、ロティと同じように島民の女性と同棲させる原動力を与えたとは驚きである。
そのような西欧の男性は皆自らの女性たちと上手くつき合えなかった人たちなのである。因みに、ロティは、長崎でも一夏同じことをしようと試みたが、金で買ったお兼は、彼に心を開かず、大いに不満足を味わった。その経験が、彼の小説「お菊さん」となって登場した。なかなか面白い本である。「お菊さん」ではありませんよ。くれぐれもお間違いないように。
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
