「港の感傷」結城昌治…私たちは横浜港の大桟橋から船に乗った。銅鑼が鳴り、汽笛がいかにも別離の感傷を誘うようにひびく。七色のテープがさかんに飛びかい、桟橋の隅っこでは楽隊が「蛍の光」を奏でている。
「港町」飯島耕一…サケ・マス船団120隻は黄色く塗った船隊を組んで、毎年4月30日に釧路港を出漁し、それとともに釧路に春が来るのだが、今年は春は来るかどうか。
「漁港」三木卓…岸壁には二十トンとか、そのぐらいの大きさの魚網をのせた船が一隻、とまっている。オレンジ色のプラスチックの浮きも見える。第八不動丸とかかれた白の船体、赤の船首かざりがついている。
「風待港」森崎和江…富来町福浦の港は、岩山をふかぶかと穿って細長い入江とっている天然の良港である。能登半島の西海岸、唯一の港と言っていい。それほどに半島の西側は山が海に近い。
「香港」野上弥生子…夜が明けると、数時間まへとは大分違つた姿の香港が、池のやうな青い穏やかな港口を少し隔てて、私たちの前に立つてゐました。
「桑港」三島由紀夫…一月六日 船がFarallon島の傍らをすぎると、冬の朝の薄曇りの港内に、桑港が徐々に姿を現はした。左方の山脈は雪をいただいてをり、船のゆくてに金門橋が模糊として見えた。
「ポルトガルの古い港で」…どこの港でも船が桟橋に横付けになると閑そうな連中が三々五々集まってくるものだ。リスボンでも、襟に毛皮のついたジャンパーとかレーンコート姿の連中が、ぼんやり船を眺めている。
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日本の名随筆 (79) 港 単行本 – 1989/5/1
小川 国夫
(編集)
港
- 本の長さ254ページ
- 言語日本語
- 出版社作品社
- 発売日1989/5/1
- ISBN-104878939796
- ISBN-13978-4878939792
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登録情報
- 出版社 : 作品社 (1989/5/1)
- 発売日 : 1989/5/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 254ページ
- ISBN-10 : 4878939796
- ISBN-13 : 978-4878939792
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,464,913位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 20,712位近現代日本のエッセー・随筆
- - 130,379位ビジネス・経済 (本)
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