昔っから東映映画が好きな人にはもってこいの教科書みたいなもの。時代劇、任侠もの、実録もの、お色気もの、集団抗争時代劇、極妻…。
東映スター、東映映画のヒットシリーズなど、東映映画の基本データを抑えるにはわかりやすくて最高です。
東映映画を観た後に読むのもよし、観る前の手引書として読むのもよし。
監督俳優さんの対談もあり、内容は濃密です。
本書を買った当初は、知らないことだらけということもあり、ヒット映画の裏話、スターのキャスティング時の秘話が面白くむさぼるように読みました。以来面白いところは何度も読み返しています。
なによりも岡田茂さんの辣腕ぶりがわかります。この方なくして東映映画は何一つ語れずといってもいい。本書が出版されたときは社長ですが、それまで撮影所長やプロデューサーとしても東映で八面六臂の活躍をされておりました。とりわけ映画のタイトルのネーミングセンスは最強といえるものでしょう。面白すぎます。
とくに、「便所の中で『県警対組織暴力』というタイトルが浮かんだ」というエピソードは大好きです（笑）。
かつてほどヒットしなくなった時代劇をすっぱり終焉させ、任侠ものシリーズに舵を切り、その着流し任侠ものもまた下火になると、即座に真逆の義理人情のへったくれもない裏切りが蔓延する実録物に転換させる。
完全に女性客を切り落としエログロナンセンス映画を立て続けに製作したり、とにかくヒットさせるための手腕、考えに考え抜いたアイデアの数々、奇抜なやり口は、決して他を寄せつけない方だったということが手に取るようにわかります。
東映映画が好きな方には絶対にお勧めです。
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