明治10年代初頭から昭和20年代初頭まで、大阪と東京で、仏教書や旅行書、文芸書などを刊行した金尾文淵堂。特に明治30年代以降に活動の中心となる種次郎の生涯と彼が関わった書籍、その著者、装丁や挿絵を担当した画家などについてまとめられたもの。
本書で明らかになるのは、経営者としての出版人であるより、より文化的な側面に深く力を入れた出版人としての種次郎の姿勢である。文学好きという自らの趣向に合わせ、文学書の出版に手を広げていくが、新進の画家などの協力を得ながら、造本に凝り、美しい本を多数手がけている。冒頭のカラー口絵に、その幾つかが掲載されており、また関わりのあった画家たちについては、かなり詳細に紹介されている。
さらには、当時の人気作家・徳富蘆花の原稿を得るために、20年にわたって蘆花に尽くし続ける様子ややがては『源氏物語』の現代語訳という形で結実する与謝野晶子との深い信頼関係などが、丁寧に描かれている。
ほかにも、平民社に接近し社会主義的な作品を刊行したことや元来の得意分野・仏教書では、資金繰りから挫折するものの先進的で優れた『仏教大辞典』を企画したことなど、その多面的な活動に触れられている。
そして、このような種次郎の生涯を顧みることで、改めて“出版者”とは何かを、問いかけている。
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金尾文淵堂をめぐる人びと 単行本 – 2005/3/1
石塚 純一
(著)
- 本の長さ300ページ
- 言語日本語
- 出版社新宿書房
- 発売日2005/3/1
- ISBN-10488008333X
- ISBN-13978-4880083339
登録情報
- 出版社 : 新宿書房 (2005/3/1)
- 発売日 : 2005/3/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 300ページ
- ISBN-10 : 488008333X
- ISBN-13 : 978-4880083339
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,108,075位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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