まず始めに、著者のやおい小説に対する愛着が伝わってくる本でした。
やおい小説をあらすじ、<受><攻>の要素(身体的特徴等)、恋愛形態、エロス表現に至るまで、主たる部分を分析した本というのはこれが初めてなのではないでしょうか。小説からの引用も多く、うっかりすると気になる本を見つけて萌えてしまうかもしれません。ただ、今日では膨大な量のやおい漫画が出版されている訳で、研究対象になった本には多少なりとも著者の好みによる偏りがあるような気がします。しかし、その辺を差し置いても、何となく読んでいる小説を思い出して「なるほどー」と思ってしまう部分が多々見付かるであろうことも事実です。
この本に書かれていることが全てであるということは勿論無いですが、<やおい小説>の根底に流れるものについての分析は、的を得たものになっています。<やおい小説>における一番大きなテンプレの分析本ということになっているのでしょう。
趣味としてやおい小説を読んでいる人にとっては、この研究・分析結果を読んだ後では、これからはそれらがちょっと詰まらなく感じるかもしれません。が、現代の一部の女性の間の不思議カルチャー<やおい>において、何となく感じていたそのシステム性についての解説書としての面白さは備えています。
最後に一つ気になったのは、<ボーイズラブ>という言葉については触れられていなかったことですかね。
私個人としては中々楽しめた本でしたので、これからも著者の永久保さんにはやおいの研究を頑張って貰いたいと思います。
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
やおい小説論: 女性のためのエロス表現 単行本 – 2005/3/1
永久保 陽子
(著)
「やおい小説」分析において、等閑視されがちだったテクストそのものに光をあてる。詳細な分析を通し、「やおい小説」に底流する女性の性的欲望の様態と、制度化された性への抵抗を浮き彫りにする。
- 本の長さ349ページ
- 言語日本語
- 出版社専修大学出版局
- 発売日2005/3/1
- ISBN-104881251546
- ISBN-13978-4881251546
商品の説明
著者について
永久保陽子(ながくぼ・ようこ)1993年、藤女子大学文学部国文科卒業。1996年、専修大学大学院文学研究科修士課程修了。2004年、専修大学大学院文学研究科博士後期課程修了(文学博士)。現在、〈やおい小説〉研究を中心に、現代小説、女性をめぐるメディアについて批評活動を行っている。
登録情報
- 出版社 : 専修大学出版局 (2005/3/1)
- 発売日 : 2005/3/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 349ページ
- ISBN-10 : 4881251546
- ISBN-13 : 978-4881251546
- Amazon 売れ筋ランキング: - 916,567位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 236,286位文学・評論 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
カスタマーレビュー
星5つ中3.7つ
5つのうち3.7つ
3グローバルレーティング
評価はどのように計算されますか?
全体的な星の評価と星ごとの割合の内訳を計算するために、単純な平均は使用されません。その代わり、レビューの日時がどれだけ新しいかや、レビューアーがAmazonで商品を購入したかどうかなどが考慮されます。また、レビューを分析して信頼性が検証されます。
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2005年7月24日に日本でレビュー済み
2011年9月19日に日本でレビュー済み
やおい小説が、男性の同性愛ボーイズラブを扱っているのは知っていたが、なぜ女性がそこに興味を持つのか理由が知りたかった。
男性から見れば、韓ドラですらおよそ理解できないわけで、この分野は想像の範囲を超える。
先にいえば、この本を読んでも理由はわからない。少し、切り口が文学部的に過ぎるように思う。
物語の構図や表現も大事とは思うが、読者は、むしろ、それが、何の欲望、抑圧から来ているか、社会現象として、どう位置付けるかに興味があるのではなかろうか。
なお、男性読者にお勧めしないのは、通常の男性は男性同性愛への潜在的な嫌悪感があると思うが、そこに露骨に抵触する内容であるからである。
端的にいえば、本書でのセックスとは男性同士のそれである。
「 薔薇の名前1 オッドアイ (講談社X文庫―ホワイトハート) 」という小説が頻出するが、これは、「薔薇」には意味はあるのだろうが、エーコの作品とは何の関係もなさそうだ(おそらく)。
男性から見れば、韓ドラですらおよそ理解できないわけで、この分野は想像の範囲を超える。
先にいえば、この本を読んでも理由はわからない。少し、切り口が文学部的に過ぎるように思う。
物語の構図や表現も大事とは思うが、読者は、むしろ、それが、何の欲望、抑圧から来ているか、社会現象として、どう位置付けるかに興味があるのではなかろうか。
なお、男性読者にお勧めしないのは、通常の男性は男性同性愛への潜在的な嫌悪感があると思うが、そこに露骨に抵触する内容であるからである。
端的にいえば、本書でのセックスとは男性同士のそれである。
「 薔薇の名前1 オッドアイ (講談社X文庫―ホワイトハート) 」という小説が頻出するが、これは、「薔薇」には意味はあるのだろうが、エーコの作品とは何の関係もなさそうだ(おそらく)。