当時(1970年前後)は大学進学率が現代の半分以下で、学生の学力レベル、
意識も高かったと思われる。
彼らは、マルクス、レーニン、毛沢東などの書籍を精読し、アメリカのベトナム
侵略戦争とそれに加担する日本国政府に反旗を翻し、資本主義社会を憎み、
壮烈な階級闘争を展開した。
なかでも筆者の属する非合法極左派は、共産主義化と銃による殲滅戦を目指し、
山奥に建設したアジトに集結した。
そこでは、革命戦士になるための総括の名のもとに、壮絶な同志殺害が行われ、
最後は警察の包囲網により組織は壊滅してしまう。
連赤事件は、関係者の詳細な手記がいくつも出版され、ほぼその全容が公開され
ている点で他の凶悪重大事件とは異なり、いろいろな角度からの検証が可能である。
本書は、組織の中枢に居ながら、内情は一歩退いたスタンスをとっていた筆者が、
各種資料や手記をもとに、事件の環となる主義・思想にも丁寧な解説・分析を加え
て理解しやすく、大変貴重な記録である。
警察の対応が遅れていたら、著者が次の総括対象になっていたとの話もあるだけ
に、筆舌に尽くしがたい壮絶な内容である。
一連の闘争により、思想云々を別とすれば日本のリーダとなり得た優秀な若者が、
数多く失われてしまったと思い、残念でならない。
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あさま山荘1972 上 単行本 – 1993/4/1
坂口 弘
(著)
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- 本の長さ350ページ
- 言語日本語
- 出版社彩流社
- 発売日1993/4/1
- ISBN-104882022524
- ISBN-13978-4882022527
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登録情報
- 出版社 : 彩流社 (1993/4/1)
- 発売日 : 1993/4/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 350ページ
- ISBN-10 : 4882022524
- ISBN-13 : 978-4882022527
- Amazon 売れ筋ランキング: - 272,247位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 110位その他の事件・犯罪関連書籍
- - 202位事件一般関連書籍
- - 5,195位社会学概論
- カスタマーレビュー:
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上位レビュー、対象国: 日本
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2019年10月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
当事者の残した連赤物を手に取るのは3作目だが、『兵士たちの連合赤軍』(植垣康博著)・『十六の墓標』(永田洋子著)に比べて格段に読み易い。敢えて時系列の構成を避けているが、不自然なところはなく、文章表現も平易だからだ。(印旛沼事件までが描かれた)上巻は、スムーズに読み進めることができた。
しかし、読後感は前述の2作とほととんど変わらない。外側から綴られた『「あさま山荘」籠城-無期懲役囚・吉野雅邦ノート』(大泉康雄著)も合わせ、そこに記された吉野氏・植垣氏・永田氏の人物像を、一通りなぞってきたつもりだが、著者の坂口弘という人物に対しても、やはりどこにでも居る良識人という印象しか残らない。
心理描写の少ない、或いは拙い『兵士たちの~』・『十六の~』に比べれば、たとえば(下巻の後半に配された)山岳ベース事件における暴力的総括に対する煩悶や、犠牲者に対する贖罪の念などの内面が、この上巻にも滲み出てはいる。だが、高揚した学生運動が終息に向かう中、何が彼らを駆り立て、1本道を突き進むように、行き着くところまで堕ちていってしまったのか、説得力のある答えが提示されているとは言い難く、逆にもどかしさが募るばかりだ。革命左派にしろ赤軍派にしろ、活動家への転身の契機は、川島豪や塩見孝也の存在抜きに語れないのだろうが、両氏の魅力やカリスマ的な求心力は、何を以てしても伝わってこない。
組織が急進的に先鋭化していく状況下で、抗えない時代のうねりに身を委ね、武装闘争に傾れ込むようになった件までは、わかったとしよう。しかし、いつの間にか狂信的な集団に変貌し、悪魔に操られたマリオネットのように、政治的主張とは相容れない同志殺人にまで手を染めていくプロセスは、どうしても理解できない。この意味で、下巻には淡い期待を持っているが、おそらく裏切られるだろうとも思う。
ただ、あわよくば、一連の惨劇の首謀者とも言える森恒夫・永田洋子に、最も近い位置で接した者として、この二人が何かに憑り付かれたように狂気に支配され、社会常識から遊離していく様子や、絶対的存在と化した彼らの荒唐無稽な仕打ちに疑問を抱きながらも、結果としてむしろ積極的に手を貸すことになってしまった異常な集団心理に、少しでも迫ってほしい。
なお、形式的とはいえ夫婦関係にあった坂口氏のこの上巻での叙述から、永田氏のイメージがこれまでとは随分変わった(一般的な評価に近付いた)ことを付け加えておく。何が原因なのか、先天的なものなのか後天的なものなのか、後者だとすると、一体何が作用しているのか、皆目見当も付かないが、肉体的なハンディキャップだけでなく、精神的にも救い難い欠陥を抱えていたことは否定できない気がする。
しかし、読後感は前述の2作とほととんど変わらない。外側から綴られた『「あさま山荘」籠城-無期懲役囚・吉野雅邦ノート』(大泉康雄著)も合わせ、そこに記された吉野氏・植垣氏・永田氏の人物像を、一通りなぞってきたつもりだが、著者の坂口弘という人物に対しても、やはりどこにでも居る良識人という印象しか残らない。
心理描写の少ない、或いは拙い『兵士たちの~』・『十六の~』に比べれば、たとえば(下巻の後半に配された)山岳ベース事件における暴力的総括に対する煩悶や、犠牲者に対する贖罪の念などの内面が、この上巻にも滲み出てはいる。だが、高揚した学生運動が終息に向かう中、何が彼らを駆り立て、1本道を突き進むように、行き着くところまで堕ちていってしまったのか、説得力のある答えが提示されているとは言い難く、逆にもどかしさが募るばかりだ。革命左派にしろ赤軍派にしろ、活動家への転身の契機は、川島豪や塩見孝也の存在抜きに語れないのだろうが、両氏の魅力やカリスマ的な求心力は、何を以てしても伝わってこない。
組織が急進的に先鋭化していく状況下で、抗えない時代のうねりに身を委ね、武装闘争に傾れ込むようになった件までは、わかったとしよう。しかし、いつの間にか狂信的な集団に変貌し、悪魔に操られたマリオネットのように、政治的主張とは相容れない同志殺人にまで手を染めていくプロセスは、どうしても理解できない。この意味で、下巻には淡い期待を持っているが、おそらく裏切られるだろうとも思う。
ただ、あわよくば、一連の惨劇の首謀者とも言える森恒夫・永田洋子に、最も近い位置で接した者として、この二人が何かに憑り付かれたように狂気に支配され、社会常識から遊離していく様子や、絶対的存在と化した彼らの荒唐無稽な仕打ちに疑問を抱きながらも、結果としてむしろ積極的に手を貸すことになってしまった異常な集団心理に、少しでも迫ってほしい。
なお、形式的とはいえ夫婦関係にあった坂口氏のこの上巻での叙述から、永田氏のイメージがこれまでとは随分変わった(一般的な評価に近付いた)ことを付け加えておく。何が原因なのか、先天的なものなのか後天的なものなのか、後者だとすると、一体何が作用しているのか、皆目見当も付かないが、肉体的なハンディキャップだけでなく、精神的にも救い難い欠陥を抱えていたことは否定できない気がする。
2017年6月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
罪深い集団であった。
「総括」
の名の下に次々と同志たちをリンチ殺人して行った、世にも名高い浅間山荘事件。
しかし、見方によっては日本における唯一の
「人民による人民の為の人民の軍隊による武装蜂起」
として銃撃戦を国家権力を敵に回して戦った最初で最後の階級闘争だったとも言えないことはない。
だからと言って連合赤軍の罪と罰が消えるものではないが・・・
とにかく本書は衝撃的なリポートだった。
ちなみに浅間山荘事件の前年に僕は生まれている。
「総括」
の名の下に次々と同志たちをリンチ殺人して行った、世にも名高い浅間山荘事件。
しかし、見方によっては日本における唯一の
「人民による人民の為の人民の軍隊による武装蜂起」
として銃撃戦を国家権力を敵に回して戦った最初で最後の階級闘争だったとも言えないことはない。
だからと言って連合赤軍の罪と罰が消えるものではないが・・・
とにかく本書は衝撃的なリポートだった。
ちなみに浅間山荘事件の前年に僕は生まれている。
2008年5月28日に日本でレビュー済み
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善と悪はさておいて、アメリカの言いなりになっていた日本を変える為、立ち上がった彼らには、感銘を受ける。
彼らが闘争を起こすきっかけは、この国そのものにあったと思う。
ここまで情熱を持って事を成しえるには、並々ならぬ覚悟が必要だったと思う。
多数の人を殺めた事に対する罪は消え去る事はないが、なぜ彼らが権力に対し立上がらなければならなかったのかを考えると、自ら修羅の道を選んだ彼らも被害者だとも言えると思う。著者の坂口氏は今でも孤独な戦い(一生をかけて自分の過去を総括している)を続けているだろうと思う。
ただし罪は罪、そこを大前提に考えられると全て否定となってしまうが.......。
彼らが闘争を起こすきっかけは、この国そのものにあったと思う。
ここまで情熱を持って事を成しえるには、並々ならぬ覚悟が必要だったと思う。
多数の人を殺めた事に対する罪は消え去る事はないが、なぜ彼らが権力に対し立上がらなければならなかったのかを考えると、自ら修羅の道を選んだ彼らも被害者だとも言えると思う。著者の坂口氏は今でも孤独な戦い(一生をかけて自分の過去を総括している)を続けているだろうと思う。
ただし罪は罪、そこを大前提に考えられると全て否定となってしまうが.......。
2022年2月3日に日本でレビュー済み
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日本赤軍など、アホの集まり。
2020年5月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
内容については他のレビューに譲り、電子書籍版の体裁についてのみ。
ようやくKindle対応されたということで購入しましたが、(下)(続)ともに坂東國男『永田洋子さんへの手紙』同様、紙書籍をそのままスキャニングした、画質の粗い画像ファイルです。書誌紹介にその旨が書かれていないため、リフロー版を期待して購入される方がいるかもしれませんので、一応レビューで注意喚起しておきます。画質に加えて字の小ささもあり、スマートフォンでの判読は不可、タブレットであっても小さな字が苦手な方には厳しいかもしれません。
リフロー版を出していただけるに越したことはないですが、電子で読めるだけでありがたいので個人的には満足しております。
ようやくKindle対応されたということで購入しましたが、(下)(続)ともに坂東國男『永田洋子さんへの手紙』同様、紙書籍をそのままスキャニングした、画質の粗い画像ファイルです。書誌紹介にその旨が書かれていないため、リフロー版を期待して購入される方がいるかもしれませんので、一応レビューで注意喚起しておきます。画質に加えて字の小ささもあり、スマートフォンでの判読は不可、タブレットであっても小さな字が苦手な方には厳しいかもしれません。
リフロー版を出していただけるに越したことはないですが、電子で読めるだけでありがたいので個人的には満足しております。
2022年2月11日に日本でレビュー済み
私が以前勤めていた某メーカー企業で、ある人物が組織長として君臨していたことがありましたが、彼がよく直属の部下に命令していたのが「総括せよ」で、命令を受けた人は、自分がいかに至らなかったか考え、パワーポイントに整理して周りの人々の前で説明させられていました。周りの人々も下手に口出しすると、いつ自分に「総括」命令が下されるかわからず、中には気に入られるように一緒になって批判する光景がありました。まとめ方が悪いと「総括になっていない」と批判され、再び総括のやり直しです。
本書を読んで思い出を振り返り凍えるような気持ちになりました。
改革左派による闘争からつながる浅間山荘事件については著者の坂口弘が他の同志と共に自分達の意志でやった事件とそれに関わる行動ですが、その一連の流れと、下巻後半の「総括」による集団リンチ事件とは、関連性はあるものの、別の事件のように思いました。私にとっては共産主義の闘争の話よりも、集団リンチのほうが恐ろしかったです。
坂口弘も集団リンチ事件については、教祖のように君臨することになった赤軍派の森恒夫に迎合追随するしかなかったと卑怯な書き方をしていますが、恐らくそうだったのでしょう。
「銃の物神化」などという信条を作り上げてメンバーに対して宗教への盲信を強要しており、その強要が「総括」という言葉にすり替わっています。
カルト宗教についてはロバート・J・リフトンの「終末と救済の幻想」でオウム真理教を中心に詳細に分析されていますが、カルト宗教が追い詰められて集団自殺を図る例や、権力者に対して暴力で歯向かう例はあるものの、組織集団の設立まもなく教祖が教徒を巻き込んで教徒に殺人を強いるという例は他になく、極めて異色かと思います。
何か日本人特有の歪みが感じられるようで薄気味悪いです。「終末と救済の幻想」では教徒はグル(教祖)のクローンになることを求められ、クローンになれない者は外されるのが日本の特徴であるといった分析をされていましたが、「和の文化」である日本の裏面である同一性への強要といったものがあるのかも知れません。
一方、坂口弘が意志を持って実行したとされる一連の共産主義の闘争ですが、これについては、時代背景については理解するものの、若さゆえの愚かさを感じないわけにはゆきません。
自分たちの「政治ゲリラ」が国民の多くに支持されて佐藤政権の動きが変わることを意図していたわけですが、空港に火炎瓶を投げ込んだり、交番を襲撃したりしたニュースを見た国民のほとんど全員は犯人である革命左派に対して恐怖を覚えるだけで、活動を支持しようなどとは思わない、ということに何故気づかないのかが不思議な気がします。
これについても宗教のように彼らにとっての神であるマルクスやレーニンの世界を実現する理想に取り憑かれて視野が限りなく狭くなってしまったのでしょうが、精神論で無謀さを覆い隠し、「殲滅戦」などと言葉に酔ってはたからみれば愚かとしか思えない行動を取るところは太平洋戦争の日本軍と似ているようにも見えます。
さらに言うと、彼らの過激な行動の裏にあるはずの理想世界のイメージがよく理解できません。そもそも彼らが理想世界の姿を形づくって共有していたのか疑問に思えます。マルクスは「私はマルクス主義者ではない」と言ったそうですが、社会主義は誰がどのように社会全体を管理するかで永遠の議論があり、それを定めずに反ブルジョア主義だけがスローガンとなり敗戦の悔しさも手伝ってアメリカ寄りの政府に怒りをぶつけていた姿が見えます。その客観的な姿から国民は連合赤軍が何を理想としているのか全く理解できず、危険分子、さらには共産主義そのものが危険な宗教的思想という、完全な逆効果になってしまいました。
また社会主義国家の樹立ではなく、日米安保に関わる闘争には、アジア侵略戦争反対への意志もあり、それは本当にアジア諸国を守りたかったのか、それとも単純に反共のためにベトナムに進出したアメリカ憎しの方向性だったのかが明確でないようにも見えます。
本書を読んで思い出を振り返り凍えるような気持ちになりました。
改革左派による闘争からつながる浅間山荘事件については著者の坂口弘が他の同志と共に自分達の意志でやった事件とそれに関わる行動ですが、その一連の流れと、下巻後半の「総括」による集団リンチ事件とは、関連性はあるものの、別の事件のように思いました。私にとっては共産主義の闘争の話よりも、集団リンチのほうが恐ろしかったです。
坂口弘も集団リンチ事件については、教祖のように君臨することになった赤軍派の森恒夫に迎合追随するしかなかったと卑怯な書き方をしていますが、恐らくそうだったのでしょう。
「銃の物神化」などという信条を作り上げてメンバーに対して宗教への盲信を強要しており、その強要が「総括」という言葉にすり替わっています。
カルト宗教についてはロバート・J・リフトンの「終末と救済の幻想」でオウム真理教を中心に詳細に分析されていますが、カルト宗教が追い詰められて集団自殺を図る例や、権力者に対して暴力で歯向かう例はあるものの、組織集団の設立まもなく教祖が教徒を巻き込んで教徒に殺人を強いるという例は他になく、極めて異色かと思います。
何か日本人特有の歪みが感じられるようで薄気味悪いです。「終末と救済の幻想」では教徒はグル(教祖)のクローンになることを求められ、クローンになれない者は外されるのが日本の特徴であるといった分析をされていましたが、「和の文化」である日本の裏面である同一性への強要といったものがあるのかも知れません。
一方、坂口弘が意志を持って実行したとされる一連の共産主義の闘争ですが、これについては、時代背景については理解するものの、若さゆえの愚かさを感じないわけにはゆきません。
自分たちの「政治ゲリラ」が国民の多くに支持されて佐藤政権の動きが変わることを意図していたわけですが、空港に火炎瓶を投げ込んだり、交番を襲撃したりしたニュースを見た国民のほとんど全員は犯人である革命左派に対して恐怖を覚えるだけで、活動を支持しようなどとは思わない、ということに何故気づかないのかが不思議な気がします。
これについても宗教のように彼らにとっての神であるマルクスやレーニンの世界を実現する理想に取り憑かれて視野が限りなく狭くなってしまったのでしょうが、精神論で無謀さを覆い隠し、「殲滅戦」などと言葉に酔ってはたからみれば愚かとしか思えない行動を取るところは太平洋戦争の日本軍と似ているようにも見えます。
さらに言うと、彼らの過激な行動の裏にあるはずの理想世界のイメージがよく理解できません。そもそも彼らが理想世界の姿を形づくって共有していたのか疑問に思えます。マルクスは「私はマルクス主義者ではない」と言ったそうですが、社会主義は誰がどのように社会全体を管理するかで永遠の議論があり、それを定めずに反ブルジョア主義だけがスローガンとなり敗戦の悔しさも手伝ってアメリカ寄りの政府に怒りをぶつけていた姿が見えます。その客観的な姿から国民は連合赤軍が何を理想としているのか全く理解できず、危険分子、さらには共産主義そのものが危険な宗教的思想という、完全な逆効果になってしまいました。
また社会主義国家の樹立ではなく、日米安保に関わる闘争には、アジア侵略戦争反対への意志もあり、それは本当にアジア諸国を守りたかったのか、それとも単純に反共のためにベトナムに進出したアメリカ憎しの方向性だったのかが明確でないようにも見えます。
2002年7月17日に日本でレビュー済み
連合赤軍の指導者だった坂口弘さんの手記。生い立ちから運動するに至った過程、羽田空港突入、組織との関わり、逃亡した同志の殺害などについて記されている。
羽田空港突入とか同志殺しとか、ふつうの人にはとてもできそうにないことだ。しかし、私には著者が決して特殊な人であるとは思えなかった。私と同じ人間だ。ふつうに社会の中で生き、考えるべきことを考えていたら、自然と運動に参加するようになった。そして何かの間違いで、人を殺すまでになってしまった。それだけのような気がする。
もちろん、彼らがしたことには大きな誤りもあろう。しかし、なぜそういうことをしたのか、が重要であり、彼らに対し「過激派」「凶悪犯」として特異な目を向けることは何の意味もない。
学生運動の歴史を読み解く上でも、「連合赤軍指導者」の人となりを知る上でも、60~70年代がいかなる時代であったのか想像する上でも、そしてこれからの私の人生を考える上でも、本書は重要な示唆を与えてくれると感じた。
羽田空港突入とか同志殺しとか、ふつうの人にはとてもできそうにないことだ。しかし、私には著者が決して特殊な人であるとは思えなかった。私と同じ人間だ。ふつうに社会の中で生き、考えるべきことを考えていたら、自然と運動に参加するようになった。そして何かの間違いで、人を殺すまでになってしまった。それだけのような気がする。
もちろん、彼らがしたことには大きな誤りもあろう。しかし、なぜそういうことをしたのか、が重要であり、彼らに対し「過激派」「凶悪犯」として特異な目を向けることは何の意味もない。
学生運動の歴史を読み解く上でも、「連合赤軍指導者」の人となりを知る上でも、60~70年代がいかなる時代であったのか想像する上でも、そしてこれからの私の人生を考える上でも、本書は重要な示唆を与えてくれると感じた。