一言で表すなら、レビュータイトルが妥当だろう。
資料の取り扱いも実に粗雑で、著者の望む方向に捩じ曲げて、恣意的な解釈ばかりしている。
逐一あげつらうのも馬鹿馬鹿しいが、例を挙げておこう。
・《ヨハネによるイエスへのバプテスマ》は「マルコ」「マタイ」に記述されているが「ルカ」「ヨハネ」「使徒行伝」に明記されていないので偽りとし、全福音書の記述が一致していないのに《水の上を歩いた》《死人のラザロを甦らせた》などは無批判に受け入れている。
・死海文書に記述される一部内容をイエスやヨハネに同定する説を取り上げて、安易にイエスやヨハネをエッセネ派の出自と断定的に扱っている。
・マンダ教の教典『ギンザー』なるものを「光の教義」と「闇の教義」とに分ち、それぞれの教義成立時期を、「光の教義」はヨハネ教団によるものだから紀元100年頃とし、「闇の教義」は紀元前2000年頃にマンダ族という種族がいたからシュメール・バビロニア時代とする。
・秋田県のマリア像から血と涙が出たという奇跡は、黒い女神が時空を超えてメッセージを送ってきたと考えざるを得ない。
やや内容を端折ってはいるが、大体、上記の感じ。その他諸々、推して知るべし。
お調子者の脳内を覗き見したい方には向いているかもしれないが、読む価値はない。
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