天才チェリストのデュ・プレの姉と弟が思い出を綴った本書は、いやが応にも人間の深みを読者の心に知らしめます。姉と弟は自分達の心の整理を行う為に、愛し憎みやはり最も愛したデュ・プレとの思い出を包み隠さず本書で語り自分の子供達に捧げました。
村上春樹のノルウェイの森のセックス描写が小説の真に大切なものを表している訳ではないのと同様、以下の衝撃的な事実の奥にある何か、著者達が自分の子供たちに伝えようとした人間の醜くしかし崇高な深みのようなものをぜひご自身で読んで感じて頂ければと思います。
・8歳の時、大人になったら歩くことも体を動かすこともできなくなると姉に教えた
・10代後半にピアニストと不倫していた
・21歳の時、ロシアへ音楽留学中にレイプされたが、天才ピアニストであり指揮者だったダニエル・バレンボイムと出会って結婚しユダヤ教に改宗した
・結婚後恐らく性的に夫に答えられないことが原因で、別居し激しい鬱病に苦しんだ
・その間、姉の家族と同居し、姉は夫が極度の鬱病に苦しむデュ・プレと寝室を共にするのを認めた
・終生父と母を独り占めしようと争った
・その父は戦争中にMI5(イギリスの諜報機関)に所属し、大胆だった性格が一転し、心を病むようになった
・死ぬまで病気のデュ・プレに尽くした夫のバレンボイムは実はパリでロシア人のピアニストと2重生活を行っていて二人の子供を儲けていた
・28歳で多発性硬化症の為に引退を余儀なくされ、42歳でその短い生涯に幕を閉じた
私はヴァイオリニストの千住真理子さんが著書で「デュ・プレが演奏したCDを聴いた時に、体が震えるほど感動し、弦楽器のよさがその時はじめて分かったようなショックを受けました。彼女が最後に録音したCDの、特に一番最初の重音の弾き方が、まるで血を吐くような演奏だと思うのです」と語っていたので、デュ・プレのCD(EMIの全集等々)、DVDを拝聴した上で、本書を読みました。その辺の直木賞や芥川賞小説より余程深みのあるこの著書に出会えた意義は自分の人生でとても大きなことだと感じています。
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風のジャクリーヌ〜ある真実の物語〜 単行本 – 2000/1/1
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その他
- 本の長さ554ページ
- 言語日本語
- 出版社ショパン
- 発売日2000/1/1
- ISBN-104883641325
- ISBN-13978-4883641321
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商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
英国の伝説的・国民的英雄、天才チェリスト、ジャクリーヌ・デュ・プレ。その巨大な才能と家族愛、社会的モラルとのはげしい相剋、解決できない愛と苦悩の葛藤を描く。
登録情報
- 出版社 : ショパン (2000/1/1)
- 発売日 : 2000/1/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 554ページ
- ISBN-10 : 4883641325
- ISBN-13 : 978-4883641321
- Amazon 売れ筋ランキング: - 595,101位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 179位演奏家・指揮者・楽器の本
- - 636位音楽史
- カスタマーレビュー:
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2008年9月25日に日本でレビュー済み
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2019年5月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
天才を持った家族の悲しい物語。デュプレの音楽の秘密を知りたいと思う人には、全く役に立たない。
2010年1月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この本は、イギリス出身のチェロリストのジャクリーヌ・デュ・プレの実生活の断片を、姉弟による回想の形式で綴った本です。この本が書かれた経緯については分かりませんが、この本よりも先に出版された、女性ジャーナリストによるデュ・プレの伝記に事実と異なる点が散見された為に、デュ・プレの姉弟が敢えて本書を著したものらしいです。
他の方がレビューされているように、確かに、本書はショッキングな内容が多々描かれてはいますが、この本もまた、芸術的な視点ではなく、あくまでも商業ベースで出版されたものの一冊であり、かつ、本書の内容を基にした商業ベースの公開映画が製作されたことをも考慮すると、全て「真実」であるか否かは分からず、興味本位に誇張された箇所も少なからず有るように感じられました。
実際のところ、ジャクリーヌ・デュ・プレに関心のある方は、彼女の残したアルバムや、「ジャクリーヌ・デュ・プレの想い出」・「ジャクリーヌ・デュ・プレ・イン・ポートレート」のドキュメンタリー映像作品を揃えれば良いと思います。
ジャクリーヌ・デュ・プレの真の姿は、彼女の芸術の中にのみ遺されていると思いました。
他の方がレビューされているように、確かに、本書はショッキングな内容が多々描かれてはいますが、この本もまた、芸術的な視点ではなく、あくまでも商業ベースで出版されたものの一冊であり、かつ、本書の内容を基にした商業ベースの公開映画が製作されたことをも考慮すると、全て「真実」であるか否かは分からず、興味本位に誇張された箇所も少なからず有るように感じられました。
実際のところ、ジャクリーヌ・デュ・プレに関心のある方は、彼女の残したアルバムや、「ジャクリーヌ・デュ・プレの想い出」・「ジャクリーヌ・デュ・プレ・イン・ポートレート」のドキュメンタリー映像作品を揃えれば良いと思います。
ジャクリーヌ・デュ・プレの真の姿は、彼女の芸術の中にのみ遺されていると思いました。
2010年11月29日に日本でレビュー済み
天才チェリストの生涯という肩書き以前に、
これはどんな文芸書にも勝る、真に迫った人間物語である。
デュ・プレの演奏の裏にはこんなドラマがあったのかと思うと、
エルガーやドヴォルザークがより魅力的に聴こえてくる。
ヒラリーの苦悩、ピアスのコンプレックス、バレンボイムとて、
美しい旋律を奏でるデュ・プレの裏で、こんなにも傷ついていた
のかと思うと、芸術の残酷さも垣間見えてくる。
だが、それはデュ・プレ自身も同じである。
彼女は自分の中に潜む魔物を、うまくコントロールできなかった。
演奏によって浄化され、救われた面もあっただろうが、28歳という
若さで病気を理由に引退を余儀なくされたことを思うと、彼女もまた
犠牲者だったのかもしれない。
映画も素晴らしいが、途中で失速してしまっているきらいがある。
本書は最後までとても内容が濃い。
デュ・プレのことを知らなくとも、文芸書としても十分に読める、
オススメの一冊です。
これはどんな文芸書にも勝る、真に迫った人間物語である。
デュ・プレの演奏の裏にはこんなドラマがあったのかと思うと、
エルガーやドヴォルザークがより魅力的に聴こえてくる。
ヒラリーの苦悩、ピアスのコンプレックス、バレンボイムとて、
美しい旋律を奏でるデュ・プレの裏で、こんなにも傷ついていた
のかと思うと、芸術の残酷さも垣間見えてくる。
だが、それはデュ・プレ自身も同じである。
彼女は自分の中に潜む魔物を、うまくコントロールできなかった。
演奏によって浄化され、救われた面もあっただろうが、28歳という
若さで病気を理由に引退を余儀なくされたことを思うと、彼女もまた
犠牲者だったのかもしれない。
映画も素晴らしいが、途中で失速してしまっているきらいがある。
本書は最後までとても内容が濃い。
デュ・プレのことを知らなくとも、文芸書としても十分に読める、
オススメの一冊です。
2003年7月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
不世出の天才チェリスト ジャクリーヌ・デュ・プレをその姉と弟が描いた作品。
幼い頃からチェリストとして活躍し、病気のため28才で引退。42才で亡くなった。
天才を姉妹に持つ大変さが伝わってくる。
ちょっと才能があっても天才の前にはかすんでしまう。
家族の中心は天才になる。
すべてが天才のためになってしまう。
家族はそれに嫉妬するのではなく率先して巻き込まれることになる。
それが神から選ばれた天才と言うもの。
しかし、私が読みたかったのは彼女の病気についてだ。
病名は多発性硬化症。
彼女は私の病気の先輩だ。
だんだんと病気が進行し体の自由が利かなくなっていく。
楽器が弾けなくなっていく。
まわりには才能の枯渇と陰口を言われる。
症状が進行する中、病名がわかるまでの不安。
追い打ちをかけるような、精神的なものとの誤診。
診断が出てからも、引退してから死ぬまでの14年間はどんな思いだったか。
姉弟ではなく、本人に聞かないと分からない。
幼い頃からチェリストとして活躍し、病気のため28才で引退。42才で亡くなった。
天才を姉妹に持つ大変さが伝わってくる。
ちょっと才能があっても天才の前にはかすんでしまう。
家族の中心は天才になる。
すべてが天才のためになってしまう。
家族はそれに嫉妬するのではなく率先して巻き込まれることになる。
それが神から選ばれた天才と言うもの。
しかし、私が読みたかったのは彼女の病気についてだ。
病名は多発性硬化症。
彼女は私の病気の先輩だ。
だんだんと病気が進行し体の自由が利かなくなっていく。
楽器が弾けなくなっていく。
まわりには才能の枯渇と陰口を言われる。
症状が進行する中、病名がわかるまでの不安。
追い打ちをかけるような、精神的なものとの誤診。
診断が出てからも、引退してから死ぬまでの14年間はどんな思いだったか。
姉弟ではなく、本人に聞かないと分からない。
2009年6月30日に日本でレビュー済み
イギリス出身の国民的英雄だった天才チェリストを、家族の側から見るとどうだったのか。そこに描かれている光景は、ある意味、恐怖ですらある、非日常的な姿だった。
チェロ演奏が超人的にうまい妹と、かなり上手いが天才とは言われなかったフルート奏者の姉。あるとき、ホームパーティーで、この二人にほかの演奏者を加えて、室内楽を演奏した。場を楽しませるはずの演奏は、その中に加わっていた、一人のチェロの超人的演奏に引きちぎられてゆく。
天才のチェロに匹敵する演奏など、だれもできるわけがない。チェロ以外の楽器は、ひとつづつ演奏から離脱してしまい、彼女だけが自己陶酔状態で演奏を続ける狂気。僕は怖いと思った。このような演奏の場には臨みたくはない。
抜群の才能の持ち主は、ときとして平凡に生きる家族を苛むことがある。この著作から、その戦慄を伝えられた。
では、ジャクリーヌ・デュ・プレの演奏の価値は、どうなのか。この著作を読んだ後でも減じることはない。いささかも。
周囲の人も、家族も、そしてチェロを弾けなくなった彼女自身も、大変な人生を送ったことだろう。
人を惹きつけてやまない彼女の演奏。彼女と互角の力に満ちた、強い音楽家と競演したときに、彼女の真の力が発揮される。
だから、彼女にとっての最強の演奏は、夫と演奏したエルガーでも、サン・サーンスでもなく、セルジュ・チェリビダッケと競演した、 ドボルザークのチェロ協奏曲(録音:1967年11月ストックホルム) (録音:1967年11月ストックホルム)だと、僕は信じている。強者・デュプレと強者・チェリビダッケが火花を散らした演奏が、たった1枚残っているなんて、それは奇跡だ。
チェロ演奏が超人的にうまい妹と、かなり上手いが天才とは言われなかったフルート奏者の姉。あるとき、ホームパーティーで、この二人にほかの演奏者を加えて、室内楽を演奏した。場を楽しませるはずの演奏は、その中に加わっていた、一人のチェロの超人的演奏に引きちぎられてゆく。
天才のチェロに匹敵する演奏など、だれもできるわけがない。チェロ以外の楽器は、ひとつづつ演奏から離脱してしまい、彼女だけが自己陶酔状態で演奏を続ける狂気。僕は怖いと思った。このような演奏の場には臨みたくはない。
抜群の才能の持ち主は、ときとして平凡に生きる家族を苛むことがある。この著作から、その戦慄を伝えられた。
では、ジャクリーヌ・デュ・プレの演奏の価値は、どうなのか。この著作を読んだ後でも減じることはない。いささかも。
周囲の人も、家族も、そしてチェロを弾けなくなった彼女自身も、大変な人生を送ったことだろう。
人を惹きつけてやまない彼女の演奏。彼女と互角の力に満ちた、強い音楽家と競演したときに、彼女の真の力が発揮される。
だから、彼女にとっての最強の演奏は、夫と演奏したエルガーでも、サン・サーンスでもなく、セルジュ・チェリビダッケと競演した、 ドボルザークのチェロ協奏曲(録音:1967年11月ストックホルム) (録音:1967年11月ストックホルム)だと、僕は信じている。強者・デュプレと強者・チェリビダッケが火花を散らした演奏が、たった1枚残っているなんて、それは奇跡だ。
2010年3月17日に日本でレビュー済み
悲痛で熱い実話です。
才能は、持てる本人は勿論、周囲の人間まで巻き込んで振り回します。
それを夢中になって育ててしまった母親は、モンスター・ペアレントだったのかもしれません。
果たして次女の才能はモンスター並に育ちきり、そして人間性もそうなりました。
幸不幸と才能は無関係であることを、彼らは身を以て教えてくれたのです。
才能は、持てる本人は勿論、周囲の人間まで巻き込んで振り回します。
それを夢中になって育ててしまった母親は、モンスター・ペアレントだったのかもしれません。
果たして次女の才能はモンスター並に育ちきり、そして人間性もそうなりました。
幸不幸と才能は無関係であることを、彼らは身を以て教えてくれたのです。
2002年7月21日に日本でレビュー済み
本当のジャクリーヌ デュ プレを見た人には絶対読んで欲しい一冊。
”ジャクリーヌ デュ プレ”という希有のチェリストとしての姿ではなく人間ジャクリーヌの姿を家族としてみてきた姉と弟が演奏家ではない一人の人間としてのジャクリーヌの姿を知ってほしいと書いた本です。クラシック音楽を元々好きでデュ プレを知っていた曲を聴いていた人には複雑な気持ちになってしまう映画の原作本なのですが・・。
”ジャクリーヌ デュ プレ”という希有のチェリストとしての姿ではなく人間ジャクリーヌの姿を家族としてみてきた姉と弟が演奏家ではない一人の人間としてのジャクリーヌの姿を知ってほしいと書いた本です。クラシック音楽を元々好きでデュ プレを知っていた曲を聴いていた人には複雑な気持ちになってしまう映画の原作本なのですが・・。