高齢化社会により母と娘の関係も抜き差しならないものになる可能性が高い事を本書を読んで痛感しました。関係のいい親子ばかりではありませんから、介護の疲れから老親に暴力を振るってしまう、橋から突き落としそうになる、他人事とは思えません。母親が孤独(未熟)だったように娘も孤独(未熟)で、母親の介護をする事により状況の変化についていけません。そして生活の不安から愛してもいない男性から愛情と経済的援助を得ようとしますがうまくいきません。母親が小さな子供を抱えてフルタイムで余裕なく働いて子供を虐待するという、家族だけで問題を処理しようとしたように娘もひとりで問題を抱え込んで、余裕がなく周囲の人とうまくコミュニケーションを取ったり助けを求める事が出来ません。母の生きてきた歴史を娘も繰り返すのか?、と言う所で物語は反転して、かろうじてギリギリの所で娘は母親とは違う道を歩く、と言う所で話は終わりますが、そこに行き着くのは理想であって、介護の必要な親を心の中で切り捨てたり境界線を引いたり、問題を解決する意志や気持ちを持たないままにしている方も多いし、それを責める事が出来る人は世の中にはいません。
自分の不幸は自分が選択した結果であって、例え自分が生んだ子供でも自分が選んだと言う責任(不幸)を転嫁すべきではないし、自分の未熟さや至らない部分を子供にぶつける、と言う事はあってはならない事なのですが、でもそういう理不尽な事をしてしまう女性、母親はとてもとても多い。そしてそういう母親(妻)を娘とともに遺棄する男性も。外聞は良くても中身は未熟な親に育てられた子はどうすればいいの?と言うひとつの答えですがこの主人公のような心境になれる人って私は現実にはいない、大変少ないと思います。
あとがきで著者の近藤よう子さんは漫画だから書ける事がある、漫画家自身の救いのために書いたとおっしゃっていますから現実と理想のとても大きな距離と言うのはきちんと認識されて書かれた作品だと思います。
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アカシアの道 コミック – 2000/7/1
近藤 ようこ
(著)
- 本の長さ200ページ
- 言語日本語
- 出版社青林工藝舎
- 発売日2000/7/1
- ISBN-104883790630
- ISBN-13978-4883790630
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登録情報
- 出版社 : 青林工藝舎 (2000/7/1)
- 発売日 : 2000/7/1
- 言語 : 日本語
- コミック : 200ページ
- ISBN-10 : 4883790630
- ISBN-13 : 978-4883790630
- Amazon 売れ筋ランキング: - 366,376位コミック
- カスタマーレビュー:
著者について
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カスタマーレビュー
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2008年12月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
これが現実である、とこの作品は静かに語りかける。アルツハイマーを通して母を、ひいては自分を見つめ直す物語であるが、その全てが正しく美しいわけではない。醜く、人間臭い葛藤の中で母との距離を取り戻す主人公の女性には感情移入できる。
社会問題のようなともすれば責任転嫁できる言葉にすり替えることなく、粛々と物語は進んでいく。それが現実なのだ、とシンプルな紙面からの静かで強烈なメッセージ。それを聞こえる人が一人でも多くいる事を望みます。
社会問題のようなともすれば責任転嫁できる言葉にすり替えることなく、粛々と物語は進んでいく。それが現実なのだ、とシンプルな紙面からの静かで強烈なメッセージ。それを聞こえる人が一人でも多くいる事を望みます。
2007年12月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本の内容は他のレビュアーの方が書いているとおり、暗いものですが私の心に響くものでした。気になった方は実際に手にとって読んでみてください。
評価をしたいだけだったので長くは語りません。
星5つです。
評価をしたいだけだったので長くは語りません。
星5つです。
2011年2月13日に日本でレビュー済み
どんな母親にとっても我が子はこの世で一番大切な宝物。どんなに子供を苦しめる母親であっても、それは子供のためを思うがゆえの行為か、愛情をうまく表現できなかっただけ。 そんな「母性という幻想」にどれほど多くの母親が惑わされ、どれほど多くの子供が傷ついてきたか。母性などと言う幻想にとらわれるからこそ、母親に愛されない子供は自分の存在価値が見いだせなくなるのです。
主人公は母親に愛されずに育った娘です。大学入学を機に母から離れ、自分の幸せを見つけるために自活の道を選びます。しかし数年足らずで母がアルツハイマーになり、世間の常識に呼び戻されて介護生活に入ります。幼少時、辛い目にあわされた母を、それでも「母だから」という義務感と、いくばくかの思慕から献身的に介護する主人公ですが、なぜ自分が介護しなければならないのか納得できずに苦しみ、頼りにしていた恋人も失います。
そしてある日、主人公は母親の過去を知り、本心を知ります…。
そこに描かれたものが「母も不幸だったのだ。ほんとうは娘を愛したかったのだ」というありきたりの結末であったら、
私は決して★5をつけることはなかったでしょう。
母親は自分のことを愛しているのか、自分は子供を愛しているのかということに疑問を持ったことがある人にとって、この物語はほんとうに重い…です。
主人公は母親に愛されずに育った娘です。大学入学を機に母から離れ、自分の幸せを見つけるために自活の道を選びます。しかし数年足らずで母がアルツハイマーになり、世間の常識に呼び戻されて介護生活に入ります。幼少時、辛い目にあわされた母を、それでも「母だから」という義務感と、いくばくかの思慕から献身的に介護する主人公ですが、なぜ自分が介護しなければならないのか納得できずに苦しみ、頼りにしていた恋人も失います。
そしてある日、主人公は母親の過去を知り、本心を知ります…。
そこに描かれたものが「母も不幸だったのだ。ほんとうは娘を愛したかったのだ」というありきたりの結末であったら、
私は決して★5をつけることはなかったでしょう。
母親は自分のことを愛しているのか、自分は子供を愛しているのかということに疑問を持ったことがある人にとって、この物語はほんとうに重い…です。
2010年5月10日に日本でレビュー済み
仲の悪かった母娘が母の認知症をきっかけに和解へと向かうんだろうな・・・というところで終わる作品です。
親の介護は誰にでも起こりうること。それにある日直面させられ、だんだんと疲弊していく娘の姿はとてもリアルです。
親子の仲が悪かったのも、母と父がうまくいかなかったのも、みんな誰も悪くないところが悩ましいところですが、現実とはこういうものだと思います。
近藤ようこさんはこのへんのどうしようもない、でも絶対に存在する人生の辛さを押しつけがましくなく、最後はかすかな希望をもって描かれるのが本当にうまいと思います。
30代〜40代の人はぜひ読んでほしい作品です。
親の介護は誰にでも起こりうること。それにある日直面させられ、だんだんと疲弊していく娘の姿はとてもリアルです。
親子の仲が悪かったのも、母と父がうまくいかなかったのも、みんな誰も悪くないところが悩ましいところですが、現実とはこういうものだと思います。
近藤ようこさんはこのへんのどうしようもない、でも絶対に存在する人生の辛さを押しつけがましくなく、最後はかすかな希望をもって描かれるのが本当にうまいと思います。
30代〜40代の人はぜひ読んでほしい作品です。
2003年5月20日に日本でレビュー済み
虐待されて育った娘がやっと母から逃げ出せたと思ったら、その母がアルツハイマーになり、面倒を見なければならなくなる。「母が仕方なく私を育てたように、私も仕方なく母の世話をするのだろうか、いつまで…」母一人娘一人の窒息するような行き場のない関係。重い作品です。でも現実ってこんなふうだなと思わせる。どんな親も子供を愛しているというのは幻想です。それなのに、「親を尊敬できない人は人間失格だ」などという人は間違っていると思う。そういう言葉は、こんな風に苦しんでいる人を追い詰めるだけです。