原子力発電所での過酷すぎる被爆労働者の日常をルポした冒頭の2品のインパクトは、淡々とした筆致で表現されているが故に余計に凄まじい。今でこそ注目を浴びることとなった「3・11」以前の作品だが、非常に重いテーマを背景にしている。
また勝又作品には人語を話す河童や狸が頻繁に登場する。本作品集では、温泉地で「のぞき」や「かっぱらい」をしながら、セコく洞窟で暮らす狸一家を描いた「わら草紙」が秀逸である。村の不良少年(ぶん)に酔っぱらって偉そうに説教を垂れる気弱な狸の主人(八文字)の哀れな姿に、挫折した地方インテリのイメージが折り重なる。
全般に辺境の厳しい自然環境の中、理不尽にも蔑視されながら寄る辺なく、孤独に生きざる(往々にして非人道的な過酷労働を伴う)を得ないアウトサイダー達に向けられた、勝又氏の寛容さとあるがままの生命肯定、そして慈しむような優しいまなざしを感じた。
、
つげ義春作品集とは似て異なる強烈な訴求力のある、印象に残る作品集である。多くに人におすすめしたい。
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深海魚 コミック – 2011/10/30
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「テレビがなくたって、洗濯機がなくたって、人間は充分幸福な生活が送れるんです※」──勝又進 「被曝労働をする者がいなければ、原発を回して行けないのなら、本来彼らはたとえ“フクシマ・フィフティ”でなくとも、もっと優遇され尊敬されてもいいはずではないのか」阿部幸弘(解説より) 郷里東北の土俗的な生活と人々を描き、2006年に日本漫画家協会賞・大賞を受賞した勝又進が、綿密な取材のもと、原発ジプシーの実態を捉えた異色短編二編を巻頭収録。 大学院で原子核物理を学び、早くから原発の危険性を認識して福島第一、第二原発をはじめとする各地の原発を取材。「原発はなぜこわいか」「脱原発のエネルギー計画」(いずれも高文研)の挿絵を担当するなど、地味ながら一貫した活動を続けていた著者の作品の中から、短編9編をセレクト。土俗的作品、私マンガ的作品とそれぞれ異なる作品傾向の中から浮かび上がる勝又進の精神の軌跡を追う。 ※『「COMICばく」とつげ義春』夜久弘・福武書店・89年より
- 本の長さ224ページ
- 言語日本語
- 出版社青林工藝舎
- 発売日2011/10/30
- 寸法1.8 x 12.8 x 18.2 cm
- ISBN-104883793532
- ISBN-13978-4883793532
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商品の説明
著者について
著者より: だいぶ前から原発には興味があって、資料なんかは集めていたし、実際に原発労働者の現場を取材したりしている。 原発は、建設中は、原子炉格納容器まで見ることができるし、運転中は、作業員が服を着替える所くらいまではいけるんですよ。これまで、五回行ったかな。どこの原発だったかな、コントロールセンターに鈴木義司の色紙が、飾ってありましたよ。カメラを向けたら、係の人に止められましたがね。 原発を見た印象というのはね、僕の場合、否定的だから、少し先入観で見ているところもあるけど、外見は、キレイなんですが、中は、普通の工場のような感じがします。乱雑というのか、配線や配管が剥き出しで、ケーブルがのた打ち回っていたり、決して美しいとも思わないし、機能美があるとも感じられない。最先端技術の現場という気はしないですね。 原発の地元の人に話を聞くと、ガンになったり、無脳児が生まれたりしている話を聞きます。だけど、そういうことは、あまり広くは伝わってはいない。病院などでもみ消したりしているらしいんですよね。 僕は、「リトル・ボーイ」でそうした原発労働の現場の実情を描きたかったんですが、半分も表現できてないですね。僕は、マンガを通して被曝の怖さを描きたいんですよ。 でもね、原発は、マンガとしてはそんなに面白いと思うテーマではないんですよ。そんなに面白いものじゃないですから。ただ、無視している訳にはいかないでしょう。だから、こういうのは、気長にやっていくのが一番だと思っています。 「コミックボックス」1990年1月号(まんがと放射能特集)
登録情報
- 出版社 : 青林工藝舎 (2011/10/30)
- 発売日 : 2011/10/30
- 言語 : 日本語
- コミック : 224ページ
- ISBN-10 : 4883793532
- ISBN-13 : 978-4883793532
- 寸法 : 1.8 x 12.8 x 18.2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 309,159位コミック
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2015年3月7日に日本でレビュー済み
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2013年11月28日に日本でレビュー済み
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私も福島県民です。
もう何十年も前から、問題は山積みなのに・・・。
ハイテクを支えているのは、現場のたくさんの人の手。
もう何十年も前から、問題は山積みなのに・・・。
ハイテクを支えているのは、現場のたくさんの人の手。
2022年3月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
売りになっている原発労働者をテーマにしたマンガは表題作含め2本。
残り7本は河童やタヌキの出てくる土俗的なものや私小説風の抒情的な作品で、こちらのほうが良い。
特に孤独な青年の正月休みを描いた「冬の虫」は絶品である。
社会派か、と思って手を出さないのならもったいない。
残り7本は河童やタヌキの出てくる土俗的なものや私小説風の抒情的な作品で、こちらのほうが良い。
特に孤独な青年の正月休みを描いた「冬の虫」は絶品である。
社会派か、と思って手を出さないのならもったいない。