ここ十年に読んだ本で、これほど凄い本はなかった.
梨木香歩の「ここに物語が」で知ったのだが、出会えてよかった.
圧倒される勁い文章、死にゆく子への哀切、けなげな雌の地鶏へのまなざし...
もっと世に知られて、読まれてほしい本.
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洟をたらした神 (大活字本シリーズ) 単行本 – 2001/1/1
吉野 せい
(著)
- 本の長さ387ページ
- 言語日本語
- 出版社埼玉福祉会
- 発売日2001/1/1
- ISBN-104884190572
- ISBN-13978-4884190576
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登録情報
- 出版社 : 埼玉福祉会 (2001/1/1)
- 発売日 : 2001/1/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 387ページ
- ISBN-10 : 4884190572
- ISBN-13 : 978-4884190576
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2024年4月5日に日本でレビュー済み
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人、自然、作者の思いが痛い程伝わってきます。
2021年11月21日に日本でレビュー済み
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久々に気合いが入った読書でした。吉野せいと言う作家を秋吉久美子さんの講演で知りました。文章力の強さ上手さ、心に響く素晴らしい作家です。もっと広く皆んなに ぜひ読んで欲しい一冊です。
2021年11月13日に日本でレビュー済み
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16話とも心に染みる文章で、ノンフィクションならではの感動と衝撃の連続でした。この本は一生手元に置いておきたい本の一冊です。巡り会えて本当に良かった!
2018年2月19日に日本でレビュー済み
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創作のための参考にと購入。今まで自分なりに知らない世界のことまで想像を膨らまし小説らしきものを書いてきたが、それらが試験管の中の世界だけでしかなかったのを知らされました。自分が経験した狭い世界でも深く掘り下げればそこには普遍的な何かが眠っているはずであり、それをすくい上げる努力を怠るなを痛感させられました。
2013年3月31日に日本でレビュー済み
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まだ読んでいないが、まず間違いなく面白いと思っています。
日本の小説はあまり読まないが、表題に惹かれると買ってしまう。
田舎育ちのジジイにとっては、郷愁かなにか知らないけど・・・ゆっくり読ませてもらう。
日本の小説はあまり読まないが、表題に惹かれると買ってしまう。
田舎育ちのジジイにとっては、郷愁かなにか知らないけど・・・ゆっくり読ませてもらう。
2023年9月14日に日本でレビュー済み
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時代背景もあるのでしょうが、暗い話が多いです。また、懲りすぎた文学的表現が多く見られ、もう少し素直に書けないものかと、読んでいてうんざりします。ただし、”洟をたらした神”のラストの表現、「・・・厳粛な精魂の怖ろしいおどりであった」は、なかなか書けない文章です。しかし、日本語の文法として、おかしな点があります。”春”の書き出しで、「明るい軽いうす桃色を連想するのは・・・」が、どうして最後の「・・・反射の色です」に結びつくのか?うす桃色は何かの反射の色なのか?だとしたら、「・・・反射の色だからです」とするのが、日本語の文法として、正しいのではないか?とにかく、年配者の回顧録といった感じで、あまり、読者を楽しませようという意図は、この作者にはないようです。
2019年2月19日に日本でレビュー済み
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これはドスンと胸に響く本でした。昭和50年に大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した作品。福島県いわき市の農婦であった吉野せいが76歳の時。受賞の選評で選考委員の白井吉見は「芥川賞がふさわしい」と評し、開高健は「恐るべき老女の出現である」と語ったともいう。
この作品は開拓農民の妻として開墾に明け暮れ、貧しさの中に生きた歳月の記録。若い頃は文学を志すも開拓農民の夫(三野混沌)と結婚。農地改革運動や土着文学の理想に生き家庭を顧みない夫の代わりに家族を支えるために子供を育てながら畑に立ち続ける妻。ものを書く時間の無いまま必死で働く間に歳月は流れる。生活のために書けない自分と理想に生きる夫との間には強い怒りを帯びた相克があった。
詩人である古くからの知人(草野心平)の強い薦めで再びペンを持つのは、50年近く連れ添った夫の死後。その時、吉野せいは70歳を超えていた。書くことで自分自身の50年を見つめ直す。書くことによる夫との和解。孤独の意地から抜け出した。70代で作家デビューした農婦の才能は世間を驚かせ一躍時の人となるも、受賞からわずか2年後の昭和52年に78歳で没する。
その独特の文体は圧倒的。私の貧弱過ぎる語彙では語れません。序文を寄せた串田孫一の言葉を借りると「刃毀れ(はこぼれ)などどこにもない斧で、一度にすぱっと木を割ったような、狂いのない切れ味」と評している。16の短編からなるこの本。読後感に浸りながら本の後書きを読んでいると、「洟をたらした神」「梨花」など収録されていた短編のいくつかの場面が心に浮かび不覚にも涙が落ちた。この先も何度も読む本でしょう。そして、私も年齢を重ねるに従って味わいも変わってくると思う。
「人間ちゃ泣きながら歩いているうちに、ほんとの自分をみつけてくるものだよ」
素晴らしい。
この作品は開拓農民の妻として開墾に明け暮れ、貧しさの中に生きた歳月の記録。若い頃は文学を志すも開拓農民の夫(三野混沌)と結婚。農地改革運動や土着文学の理想に生き家庭を顧みない夫の代わりに家族を支えるために子供を育てながら畑に立ち続ける妻。ものを書く時間の無いまま必死で働く間に歳月は流れる。生活のために書けない自分と理想に生きる夫との間には強い怒りを帯びた相克があった。
詩人である古くからの知人(草野心平)の強い薦めで再びペンを持つのは、50年近く連れ添った夫の死後。その時、吉野せいは70歳を超えていた。書くことで自分自身の50年を見つめ直す。書くことによる夫との和解。孤独の意地から抜け出した。70代で作家デビューした農婦の才能は世間を驚かせ一躍時の人となるも、受賞からわずか2年後の昭和52年に78歳で没する。
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「人間ちゃ泣きながら歩いているうちに、ほんとの自分をみつけてくるものだよ」
素晴らしい。