本書はテュルク系(トルコ語系)民族を中心としたこの壮大な地域の多くの民族と国家の歴史と現在の姿をこのブックレットの中で描こうとする意欲的な書である。
たまたま仕事でキルギスとカザフスタンを訪問する機会があり、シルクロードの国々として気にはなっていてもよく分からないまま訪問した。そして日本から行くのに便の都合で倍の距離にあるイスタンブール経由で行ったこと、これらの国々に対するトルコの影響力が強いことを実感し、帰国後その由縁を知りたいと思って見つけたのが本書という由縁である。
日本人のルーツに近くモンゴロイドが多く人種的には近いにも関わらず、青い目、黒い目、白い肌、黄色い肌、どんな人達がどんな風に暮らしているか最も知られていない地域の一つと思う。行ってみてロシア系以外は将に日本人と同じ顔、体型をしている。一方イスタンブルのトルコ人はかなり西欧の血が混じっているように見える。そして文化・文明的にも東南アジアに較べて西欧に近く高い。これらのことがこの本を読めば成程と大体は分かる。
我々日本人の特異な特徴として海に囲まれたほぼ単一民族・言語の単一国家という点があり、その中に暮らしていては殆ど想像を絶する世界が世界の殆ど大多数であることである。その中でも本書で扱うトルコからイランに跨る西アジア、コーカサスからロシア平原、そしてアフガンからカザフに至る中央アジア、シルクロードの国々というには余りに広く、しかも外に開け、古代から多くの民族、国家、宗教、言語が様々に入り乱れて歴史が展開されて来ている。その一端を知る意味では貴重な良書といえる。
しかしながら、ブックレットという制約の中でこれらの歴史的状況を概観、俯瞰するには無理があり、次々と出て来る地域名、都市名、民族名などなどぼんやりとした知識だけでは、戸惑い、まごついてしまって、読み進めることがしんどいだけでなく全体像を把握することは難しい。残念乍裏表紙の地図以外イラストは一切ない。その地図を見ても現在の国を示すだけで、本書でよく出て来る例えばコーカサス地方がどこなのか、などは分からない。
中に出て来る地名などだけでどこか分かっている人ならこの本は不要かも知れない。ブックレットとはいえ、なかに出て来る地域名や歴史上の国家などがどこなのか位は分かるようなイラストを入れて戴ければこの本は随分読み易くなったと思われる
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
テュルク族の世界: シベリアからイスタンブールまで (ユーラシア・ブックレット No. 114) 単行本 – 2007/10/1
廣瀬 徹也
(著)
- 本の長さ63ページ
- 言語日本語
- 出版社東洋書店
- 発売日2007/10/1
- ISBN-104885957265
- ISBN-13978-4885957260
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
登録情報
- 出版社 : 東洋書店 (2007/10/1)
- 発売日 : 2007/10/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 63ページ
- ISBN-10 : 4885957265
- ISBN-13 : 978-4885957260
- Amazon 売れ筋ランキング: - 463,668位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 207位その他のアジア史の本
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
カスタマーレビュー
星5つ中4つ
5つのうち4つ
1グローバルレーティング
評価はどのように計算されますか?
全体的な星の評価と星ごとの割合の内訳を計算するために、単純な平均は使用されません。その代わり、レビューの日時がどれだけ新しいかや、レビューアーがAmazonで商品を購入したかどうかなどが考慮されます。また、レビューを分析して信頼性が検証されます。