もう１５年前の本になるが、以下の理由から今でも読む価値が十分あります。
まず早くもこの本に掲載されているキリンプラザ大阪、フィスティバルゲートといった重要な建築物が既に解体されていることが挙げられます。本書はバブルの残骸がまだあったころの記録として貴重です。
次に１５年たっても関西の状況が大きく変わっていないことが挙げられます。個々の建築物が増えても根本的問題は解決していません。関空はその後神戸空港が開港し、ますます収拾がつかなくなっています。また万博後、大阪経済の沈下は止まらず、万博跡地の活用は極めて低調でした。さらに新大阪駅の路線乗り入れも全く進んでいません。
最後に阪神大震災についてです。本書は震災４年後に出版されています。被害状況や復興住宅、震災の爪痕の保存施設などにかなりのページが割かれており、最近の観光ガイドでは知りえない情報です。
もちろん関西で活躍している建築家の紹介も豊富です。大阪の復権を考える上でも重要な問題提起をしている本です。
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