その作風を劇的なまでに変化させてきた建築家だけど、制度や既成概念、形式や自明性など、人間が空間と関わるときに媒体にされる「あらゆる枠」から自由でありたい。そんな思考は一貫していると思う。
むしろ抽象的・観念的なレベルで思考されていた時期よりも、より形態へ直接関わっていくことが可能になってきただけのように思える。それは人やモノの表面・「肌理」への観察眼によって生態を読み解くアフォーダンスのようでもある。科学もデザインも、向かうベクトルには同時代性があるのだろうか。
一方で、建築家をここまで生活感(仕事としての)たっぷりに描き出した著者の観察眼にも同時代性を感じた。イデオロギーのような大文字=アイコン無き時代において、建築家を描く術はこのような生活からではないか。環境を超えて形而上的な態度に出るのではなく、あくまでそこに座って思考すること。そこからはじめようとする態度。
あたかも等身大であることが認知される条件である人付き合い。何重にも演出された人間関係を触媒のようにサーチする表皮。ナイーブ過ぎることが防御であるかのような内面。なんの抽象性もなく窮屈なだけの社会。団塊より上の世代がロマンチシズムに居場所を求める中で、モノ造りをする建築家はヒョウヒョウと移動すことで自分の輪郭を確かめているようだ。
ところでモノ・本として好みな姿をしている。写真の入り方、その大きさ。文字のバランスも読みやすい。読み終わるといつも帯びは捨てちゃうのだが、これはとても色使いがキレイでなくすとバランスが悪くなってしまうそうなのでそのままにした。
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にほんの建築家 伊東豊雄・観察記 単行本 – 2006/2/28
瀧口 範子
(著)
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ジャーナリスト瀧口範子によるトップランナーの解体新書
建築家・伊東豊雄を解体しようと密着取材を敢行したのは、建築界、デザイン界、経済界、IT業界など各界の第一線で活躍する人々を取材してきたジャーナリスト・瀧口範子氏。東京、パリ、シンガポール、チリ、ヴェネツィア……と世界中を飛び回る伊東氏を精力的に追いかけ、その創造力の源がどこにあるのかを探っています。著者の視線は、日常何気なく発せられる言葉やふるまいに向けられ、一見穏やかで静的な印象を与える伊東氏の内面には、意外にも体育会系の闘志がみなぎっていることを解き明かしていきます。
「建築家は少しでも緊張感をなくすと、あっという間に300メートル遅れをとってしまう」
「建築はサバイバル・ゲームだ」
「時間は常にないんだよ。僕らもいつも、もう1日あったらなあと思う」
妥協を許さない建築家からこぼれてくる言葉の数々はその穏やかな口調とは裏腹に熱く、職業のジャンルを超えて、現代社会に生きるすべての人々の胸に深く響いてくるでしょう。
また著者は、伊東氏の修行時代にもさかのぼり、当時をよく知る人々の証言を数多く集めています。今でこそ世界中でプロジェクトを進める建築家にも、建築の仕事にありつけず思索を深めるしか手だてのなかった日々があったこと。その鬱憤を同世代の建築家たちと激しくぶつけ合ったこと……。そこには誰もが経験した覚えのある、悩み、焦り、もがきながらも理想を追い求めた、若者特有の姿が浮かび上がってきます。
本書は、60代半ばを迎えてなお進化し続ける建築家の、等身大の人間像に迫った貴重なドキュメンタリーです。同時に、分野を問わず、日々悩みを抱えながらも自分の仕事の中で何かを成し遂げようとしているすべての人々に、大いなる活力を与えるものでもあります。「走りつづけていれば、必ず何が問題か見えてくる」と語るトップランナーの熱い思いを、ぜひ受け取っていただきたい一冊です。
建築家・伊東豊雄を解体しようと密着取材を敢行したのは、建築界、デザイン界、経済界、IT業界など各界の第一線で活躍する人々を取材してきたジャーナリスト・瀧口範子氏。東京、パリ、シンガポール、チリ、ヴェネツィア……と世界中を飛び回る伊東氏を精力的に追いかけ、その創造力の源がどこにあるのかを探っています。著者の視線は、日常何気なく発せられる言葉やふるまいに向けられ、一見穏やかで静的な印象を与える伊東氏の内面には、意外にも体育会系の闘志がみなぎっていることを解き明かしていきます。
「建築家は少しでも緊張感をなくすと、あっという間に300メートル遅れをとってしまう」
「建築はサバイバル・ゲームだ」
「時間は常にないんだよ。僕らもいつも、もう1日あったらなあと思う」
妥協を許さない建築家からこぼれてくる言葉の数々はその穏やかな口調とは裏腹に熱く、職業のジャンルを超えて、現代社会に生きるすべての人々の胸に深く響いてくるでしょう。
また著者は、伊東氏の修行時代にもさかのぼり、当時をよく知る人々の証言を数多く集めています。今でこそ世界中でプロジェクトを進める建築家にも、建築の仕事にありつけず思索を深めるしか手だてのなかった日々があったこと。その鬱憤を同世代の建築家たちと激しくぶつけ合ったこと……。そこには誰もが経験した覚えのある、悩み、焦り、もがきながらも理想を追い求めた、若者特有の姿が浮かび上がってきます。
本書は、60代半ばを迎えてなお進化し続ける建築家の、等身大の人間像に迫った貴重なドキュメンタリーです。同時に、分野を問わず、日々悩みを抱えながらも自分の仕事の中で何かを成し遂げようとしているすべての人々に、大いなる活力を与えるものでもあります。「走りつづけていれば、必ず何が問題か見えてくる」と語るトップランナーの熱い思いを、ぜひ受け取っていただきたい一冊です。
- 本の長さ431ページ
- 言語日本語
- 出版社TOTO出版
- 発売日2006/2/28
- ISBN-104887062648
- ISBN-13978-4887062641
商品の説明
著者について
伊東豊雄 略歴 Toyo Ito
建築家。1941年京城市(現ソウル市)で生まれた後、父親の郷里の長野県へ戻る。65年東京大学工学部建築学科卒業後、66-69年菊竹清訓建築設計事務所勤務。71年アーバンロボット(URBOT)設立。79年事務所名を伊東豊雄建築設計事務所に改称。主な作品に、八代市立博物館、大館樹海ドーム、せんだいメディアテーク、サーペンタイン・ギャラリー・パビリオン2002、まつもと市民芸術館、TOD’S表参道ビル、アイランドシティ中央公園・中核施設「ぐりんぐりん」などがある。日本建築学会作品賞、毎日芸術賞、芸術選奨文部大臣賞、日本芸術院賞、グッドデザイン大賞、ヴェネツィア・ビエンナーレ「金獅子賞」、王立英国建築家協会(RIBA)ゴールドメダルなど受賞。主な著書に『風の変様体―建築クロニクル』『透層する建築』(ともに青土社)など。
瀧口範子 Noriko Takiguchi
ジャーナリスト、編集者。テクノロジー、ビジネス、建築・デザイン、文化一般に関する原稿執筆を行ない、またテレビ番組制作、展覧会、会議などのコーディネーションに携わる。上智大学外国語学部卒業。1996-98年フルブライト奨学生として(ジャーナリスト・プログラム)、スタンフォード大学工学部コンピュータ・サイエンス学科にて客員研究員。現在、シリコンバレーと日本を往復して活動する。著書に『行動主義 レム・コールハース ドキュメント』(TOTO出版)、『ピーター・ライス自伝-あるエンジニアの夢見たこと-』(鹿島出版会、共訳)、『ソフトウェアの達人たち』(ピアソン・エデュケーション)がある。
建築家。1941年京城市(現ソウル市)で生まれた後、父親の郷里の長野県へ戻る。65年東京大学工学部建築学科卒業後、66-69年菊竹清訓建築設計事務所勤務。71年アーバンロボット(URBOT)設立。79年事務所名を伊東豊雄建築設計事務所に改称。主な作品に、八代市立博物館、大館樹海ドーム、せんだいメディアテーク、サーペンタイン・ギャラリー・パビリオン2002、まつもと市民芸術館、TOD’S表参道ビル、アイランドシティ中央公園・中核施設「ぐりんぐりん」などがある。日本建築学会作品賞、毎日芸術賞、芸術選奨文部大臣賞、日本芸術院賞、グッドデザイン大賞、ヴェネツィア・ビエンナーレ「金獅子賞」、王立英国建築家協会(RIBA)ゴールドメダルなど受賞。主な著書に『風の変様体―建築クロニクル』『透層する建築』(ともに青土社)など。
瀧口範子 Noriko Takiguchi
ジャーナリスト、編集者。テクノロジー、ビジネス、建築・デザイン、文化一般に関する原稿執筆を行ない、またテレビ番組制作、展覧会、会議などのコーディネーションに携わる。上智大学外国語学部卒業。1996-98年フルブライト奨学生として(ジャーナリスト・プログラム)、スタンフォード大学工学部コンピュータ・サイエンス学科にて客員研究員。現在、シリコンバレーと日本を往復して活動する。著書に『行動主義 レム・コールハース ドキュメント』(TOTO出版)、『ピーター・ライス自伝-あるエンジニアの夢見たこと-』(鹿島出版会、共訳)、『ソフトウェアの達人たち』(ピアソン・エデュケーション)がある。
登録情報
- 出版社 : TOTO出版 (2006/2/28)
- 発売日 : 2006/2/28
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 431ページ
- ISBN-10 : 4887062648
- ISBN-13 : 978-4887062641
- Amazon 売れ筋ランキング: - 796,598位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2020年10月13日に日本でレビュー済み
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伊東豊雄さんについて知りたくて手に取りました。密着取材と関係者のインタヴューをもとに構成されていますが、伊東豊雄さんのお仕事を通して、建築家という仕事に求められること、伊東豊雄さんが型を作らずに挑戦し続けていることや、こだわり、感性、日本の近代建築業史など様々なことを知ることができました。とても興味深いです。文庫版は、東日本大震災を経験して、「みんなの家」を作った経緯や伊東さんの考え方の変化などが大幅に加筆されているようです。
2012年9月21日に日本でレビュー済み
世界的な建築家、伊藤豊雄の世界を駆け巡る忙しい日々を追ったルポルタージュ。
70才に達しながら、”今がこれまでで一番忙しい”と語る伊藤のバイタリティに圧倒される。
”世界中のコンペに参加する建築家は、格闘技のK1ファイターのような存在”とも伊藤は語る。
瀧口は、各地を飛び回る伊藤を紹介しながら、その生涯についても、コンパクトに紹介している。
建築事務所に置ける伊藤の振る舞いが、所員へのインタビューなどから浮き彫りにされ、興味深い。
東日本大震災に対する、伊藤の積極的な取組も紹介され、
このトピックが、この本に、より厚みを持たせることになった。
70才に達しながら、”今がこれまでで一番忙しい”と語る伊藤のバイタリティに圧倒される。
”世界中のコンペに参加する建築家は、格闘技のK1ファイターのような存在”とも伊藤は語る。
瀧口は、各地を飛び回る伊藤を紹介しながら、その生涯についても、コンパクトに紹介している。
建築事務所に置ける伊藤の振る舞いが、所員へのインタビューなどから浮き彫りにされ、興味深い。
東日本大震災に対する、伊藤の積極的な取組も紹介され、
このトピックが、この本に、より厚みを持たせることになった。
2006年5月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
建築家「伊東豊雄」を現在、過去を織り交ぜながら観察記として纏めている。
伊東のもって生まれた優雅さ、変化のきっかけとなった仙台メディアテークに関する思いが甘く書かれている。
が、表題を観察記とするなら、観察した事実と著者の思いをしっかり区別した方が読みやすく、そして伊東の本来の姿が表現できたのではなかったかと思う。それが残念でならない。
これなら、伊東が自伝を書いた方が良いのでは? それと何か変わるのか? という疑問が出てきてしまった。
しかし、著者の文筆力は確かなものであり、他の本も読んでみたい気にさせる。
伊東のもって生まれた優雅さ、変化のきっかけとなった仙台メディアテークに関する思いが甘く書かれている。
が、表題を観察記とするなら、観察した事実と著者の思いをしっかり区別した方が読みやすく、そして伊東の本来の姿が表現できたのではなかったかと思う。それが残念でならない。
これなら、伊東が自伝を書いた方が良いのでは? それと何か変わるのか? という疑問が出てきてしまった。
しかし、著者の文筆力は確かなものであり、他の本も読んでみたい気にさせる。
2010年12月22日に日本でレビュー済み
伊東豊雄やレムコールハースびいきで、他の建築をあまりよく思っていなさそうなのが読んでいて不快。
2007年8月8日に日本でレビュー済み
伊東豊雄の作品に初めて出会ったのはTOD'S表参道ビル。
名立たる建築家の作品が林立する表参道に、ひと際際立つ完璧なまでに静謐さ。
オーケストラが調音を止め、指揮者がタクトを上げる一瞬前のような、期待感を持たせる緊張感。
雑踏の中たたずむケヤキ並木のモチーフがそのまま伸び、空に解けていくようなイメージに心を奪われた。
同じガラス張りの建築でも、ヘルツォーク&ド ムーロンのプラダビルの、黒いラバーコスチュームに身を包み、唇を舐めて見下ろすような挑発的な官能性とは一線を画す。
ナニガチガウノダロウ?
ナニヲツイキュウシテイルノダロウ?
1つの建築が一冊の本を選ばせた。
日本の建築家伊東豊雄を追い、東京から仙台、松本、シンガポール、パリ、バルセロナ。
「ぼくは自分のスタイルをつくりたくないんですね。(中略)スタイルをかたくなに守ることは、ぼくには無理だと思います。今でも自分のつくったものがいつも次第に嫌になってくるんですね。それを叩き台にして、別のものに置き換えていくというやり方をしてきたんです。(中略)道を究めたということは、いちばんやりたくないことです。」
変身する建築家。軽くて透明、無機質でニュートラルな建築を追及していたのかと思ったら、逆に建築の持つ生命力、強さに目覚めていく。
現在の個人の生活、肉体、とりまく空間。イデオロギーではなく、即物的な部分から帰納的に見出していくイメージ。
イメージを形にする、と言葉にすると簡単でカッコいい。出来上がった作品も挑戦し続ける斬新さと、疑いのない美しさを見せる。
ただそこに存在する1人の建築家は、異次元でもがき苦しみ、そしてそれを楽しんでいた。
建築用語や基礎知識がなくても十分に伊東豊雄の鼓動と、彼を愛する人の思いに共振できる。
名立たる建築家の作品が林立する表参道に、ひと際際立つ完璧なまでに静謐さ。
オーケストラが調音を止め、指揮者がタクトを上げる一瞬前のような、期待感を持たせる緊張感。
雑踏の中たたずむケヤキ並木のモチーフがそのまま伸び、空に解けていくようなイメージに心を奪われた。
同じガラス張りの建築でも、ヘルツォーク&ド ムーロンのプラダビルの、黒いラバーコスチュームに身を包み、唇を舐めて見下ろすような挑発的な官能性とは一線を画す。
ナニガチガウノダロウ?
ナニヲツイキュウシテイルノダロウ?
1つの建築が一冊の本を選ばせた。
日本の建築家伊東豊雄を追い、東京から仙台、松本、シンガポール、パリ、バルセロナ。
「ぼくは自分のスタイルをつくりたくないんですね。(中略)スタイルをかたくなに守ることは、ぼくには無理だと思います。今でも自分のつくったものがいつも次第に嫌になってくるんですね。それを叩き台にして、別のものに置き換えていくというやり方をしてきたんです。(中略)道を究めたということは、いちばんやりたくないことです。」
変身する建築家。軽くて透明、無機質でニュートラルな建築を追及していたのかと思ったら、逆に建築の持つ生命力、強さに目覚めていく。
現在の個人の生活、肉体、とりまく空間。イデオロギーではなく、即物的な部分から帰納的に見出していくイメージ。
イメージを形にする、と言葉にすると簡単でカッコいい。出来上がった作品も挑戦し続ける斬新さと、疑いのない美しさを見せる。
ただそこに存在する1人の建築家は、異次元でもがき苦しみ、そしてそれを楽しんでいた。
建築用語や基礎知識がなくても十分に伊東豊雄の鼓動と、彼を愛する人の思いに共振できる。
2006年11月20日に日本でレビュー済み
著者の瀧口範子さんには、コールハウスを追いかけた前作から注目してきた。本書は、伊藤豊雄を三大陸に追った観察記。あとがきで、瀧口さんは、こう書く「とかくものごとを論理的に抑えようとする私の粗い網目を、伊藤は抜けていく。」だが、瀧口さんの「論理的」頭脳は、ただものではない。目の前で種々雑多にくりひろげられていく伊藤や彼をめぐる人々の行動を瞬時にとらえ、思考や感性など、きわめて抽象的な「意味」を直感的につかむ。観察は、建築に関する知識によってしっかり裏付けされているのだが、誰にでもわかるよう、必要な情報をていねいに教えてくれる。だから、建築にはまったくのしろうとである読者にも、日本の戦後の建築の歴史や、建築家のビジョンと時代との接点などが、あっというまに把握できる。読者に対してとても親切かつ、正直。消化しきれていない頭でっかちの理論に対しては、わからない、とはっきり言い、通を気取って読者を置き去りにするというイケズをしない。論理的骨組のすきまは、しなやかで素直でいながら鋭い感性が、補完する。伊藤をめぐる人々のインタビューも、商店街のおじさんから、先輩の大建築家、熱っぽい施主まで、短い登場時間にもかかわらず、それぞれの人生の軌跡をかいま見せる。大変な質と量のリサーチに裏付けられているに違いないのに、気負いや堅苦しさをまったく感じさせない。ある講演会でのシーン、伊藤はこう語る、「リラックスして、かつ一生懸命にお聞きください」。この本は、まさにそんな姿勢、つまりは「リラックスして、かつ一生懸命に読」んでしまう本。読み進むにつれ、建築を媒介に「自然や世界の一部であるという人間像」を追う伊藤の熱い思いが、じわじわ伝わってきて、おいしい料理を食べているような幸せ感でいっぱいになった。
2006年8月4日に日本でレビュー済み
先日、伊東豊雄さんの講演会へ行ってきました。
馬場章造さんも講演会当日、とても面白い本であったと推薦していました。
近年の講演会内容の多くはこの一冊に含まれているのでは?
と思わせる程の内容でした。
建築に関する考え方だけでなく、伊東さんの人間性にまでスポットを当てた一冊になっています。
建築家の写真はもう見飽きた。
遠い遠い場所から建築家の思想を追うのでは無く、もう少し近い場所から日本を代表する建築家の姿を見たい。
そんな方にはオススメだと思います。
偉大な建築家がほんの少し身近に感じる事ができる一冊。
私には刺激が少し強かったので、☆4つです。
内容としては五つ星です。
馬場章造さんも講演会当日、とても面白い本であったと推薦していました。
近年の講演会内容の多くはこの一冊に含まれているのでは?
と思わせる程の内容でした。
建築に関する考え方だけでなく、伊東さんの人間性にまでスポットを当てた一冊になっています。
建築家の写真はもう見飽きた。
遠い遠い場所から建築家の思想を追うのでは無く、もう少し近い場所から日本を代表する建築家の姿を見たい。
そんな方にはオススメだと思います。
偉大な建築家がほんの少し身近に感じる事ができる一冊。
私には刺激が少し強かったので、☆4つです。
内容としては五つ星です。