著者の妄想を1冊の本にまとめた事がすごいです。
のっけから突っ込みどころ満載で、メモをとり、一人でツッコミながら一気に読んでしまいました。
この業界に深く関わり、教育学というものを専攻している立場からすれば、これは論証というものを心得ず、社会学にもうとく、ある側面だけを見て盛大に妄想をぶちまけている著者の独り言に過ぎないと思わざるを得ません。
すべてのページで何かしらやらかしていますが、以下ちょっとだけ批判をば。
>P.3 「総合的に見て、少年犯罪は増えているしその質は悪化しています。」
増えてませんし、質の悪化とは言えないのです。少年犯罪データベースによると、未成年の殺人はピーク時である1960年代の6分の1以下です。質の悪化は、最近だからそう感じるだけで、未成年の殺人等はいつの時代も衝撃的です。1970年代なんて、ざっと目を通すだけでも、かなりの悪辣さで、目を覆わんばかりですよ?
>P.42 「偏差値50台前半かそれ以下の志望校の場合、中学受験用の勉強をする必要は全くありません。」
本気で言ってるのかな…。たぶん耳目を引きたいだけなんだと思いますが、偏差値50台前半の私立をなめすぎです。そのレベルなら、算数なんて一行問題(問題の導入無く、基本レベルで出される文章小問題)で6割くらい出されるのが普通なのに、中学受験カリキュラムをやってない子が「学校の知識の応用」だけで、習ってもいない相似や還元算、相当算などをどう解くのかぜひ教えてほしい。
>P.86 「進学塾はそこに通う大部分の子どもの学力を低下させています。(中略)偏差値60の学校に合格できる子供でおよそ15〜16パーセントです。」
一見データらしく振舞っていますが、何のことはない。母集団が大きく、学力が正規分布に従うと仮定した場合、学力偏差値は60を超えるのが15.866%ってだけの話です。それを最もらしく言っているだけで、こんなトリックは「数学C」の知識でカンタンに見破れる。
>P.94 「公教育は(中略)そして、下位数%も『養護学校』で救っています」
養護学校を何だと思っているんだろう…。そして、もしこれが「学力の最下位層は障がいを持った子ども」という認識で書いたとしたら、公教育と障がいに関して、あまりにも無知すぎる。これには大分腹立たしさを感じました。
>P.117 「ここに書かれているように、アノミーとは連帯が破壊され、モラル・良心を喪失させ、精神的に全く健全な人が、いかなる狂者よりも狂的になり、重症な精神病患者よりも精神病的にふるまうようになることです」
おいおいおい!!(笑) アノミーって「社会状態」の事なんですけど! って言うか、引用文まで載せてるのに(笑)
ただ、先を読むと、どうやら筆者は一応理解しているっぽい。塾が精神病の原因になるってどうしても言いたかったから、うまく論理をすりかえているんですね。
これをフリーターに結びつけるあたりが最高でした。京都に塾構えてるのに、原清治先生の「使い捨てられる若者たち」はお読みにならなかったようですね。
>P.118 「農耕民族である日本人にとって、自然は人知を超越した存在でした」
この下りでは、父権の喪失について述べているんですが、ちょっとおかしい事が…。そもそも絶対的な者による「赦し(ゆるし)」への感謝はイスラムやキリスト教に代表される、一神教の考え方です。農耕民族って多神教が生まれやすいのに、この筆者は何を勘違いしているんだろう…。と、疑問に思ったときにある疑惑が生まれました。
・・・この筆者、まさか平成12年度の麻布中学で出題された国語の文章を元ネタにしているんじゃ・・・
さすがにまさかとは思います。参考文献にも林道義の本があるんで。でも、林道義って色々と批判の的になってる人だからなぁ。
巻末の参考文献には笑いましたが、何よりお笑いなのはこれをタイトルだけで読んでしまった自分…。
「新書は学術書ではない」って言っても、何だかなぁ。
結局人は信じたいものを信じる。
そのような人々にとって子どもの未来や真理の追究なんてどうでも良いものなのかもしれません。
ただ単に進学塾や社会を、根拠なし・データなし・自分の経験則のみで批判し、自己の正当化をしたいだけかと思うと、昨今の陰謀論者と同じ種類の寒気を感じました。
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進学塾不要論-中学受験は自宅でできる 単行本 – 2007/5/31
<進学塾に通った子どもの九割は悪影響を受けている! >
中学受験熱が高まるなか、大手の難関校受験対策を売り物にした塾に通うことによって、多くの子どもが「勉強ができなくなる」「伸びる可能性をつぶしてしまう」「精神を病む」「人間形成を阻害される」など、さまざまな悪影響を受けています。学校の勉強ができていなくても、進学塾に通わせれば難関校に合格できるというのはまったくの幻想です。
17年の指導歴を持ち、進学塾を知り尽くした著者が「進学塾の裏側」から、「家庭で子どもを伸ばす方法」まで、目からウロコの中学受験の真実を伝える一冊です。
中学受験熱が高まるなか、大手の難関校受験対策を売り物にした塾に通うことによって、多くの子どもが「勉強ができなくなる」「伸びる可能性をつぶしてしまう」「精神を病む」「人間形成を阻害される」など、さまざまな悪影響を受けています。学校の勉強ができていなくても、進学塾に通わせれば難関校に合格できるというのはまったくの幻想です。
17年の指導歴を持ち、進学塾を知り尽くした著者が「進学塾の裏側」から、「家庭で子どもを伸ばす方法」まで、目からウロコの中学受験の真実を伝える一冊です。
- 本の長さ242ページ
- 言語日本語
- 出版社ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 発売日2007/5/31
- 寸法12.8 x 1.9 x 18.2 cm
- ISBN-104887595565
- ISBN-13978-4887595569
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商品の説明
著者からのコメント
進学塾は、いわば劇薬のようなものです。
どんな薬にも必ず副作用があります。
使い方を誤れば、とんでもないことになってしまいます。
効能のみに目を奪われ、あるいはウソの効能を信じて、子供を進学塾に通わせて
いる親御さんがたくさんいらっしゃいます。
親御さんには、どうかこの真実を正面から見据えていただきたいと希望します。
それが進学塾による負の影響に苦しむ子どもを一人でも減らすことになるからで
す。
(まえがきより)
どんな薬にも必ず副作用があります。
使い方を誤れば、とんでもないことになってしまいます。
効能のみに目を奪われ、あるいはウソの効能を信じて、子供を進学塾に通わせて
いる親御さんがたくさんいらっしゃいます。
親御さんには、どうかこの真実を正面から見据えていただきたいと希望します。
それが進学塾による負の影響に苦しむ子どもを一人でも減らすことになるからで
す。
(まえがきより)
出版社からのコメント
進学塾では学力があがらないばかりか、学力、精神面でマイナ
ス影響が大きく、子どもの将来の可能性を摘み取ってしまっている。まさかと思
うような事態が現実となっていることを、実際に長年多くの子どもを見てきた
経験から説得力充分に教えられました。そして「ではどうすればよいのか?」の
具体的な方法が詳細に語られています。今、進学塾にお子さんを預けている
方、中学受験を考えている方に今すぐお読みいただきたい1冊です。
ス影響が大きく、子どもの将来の可能性を摘み取ってしまっている。まさかと思
うような事態が現実となっていることを、実際に長年多くの子どもを見てきた
経験から説得力充分に教えられました。そして「ではどうすればよいのか?」の
具体的な方法が詳細に語られています。今、進学塾にお子さんを預けている
方、中学受験を考えている方に今すぐお読みいただきたい1冊です。
著者について
(株)認知工学/エム・アクセス
1989年、京都の中心部、四条烏丸で教室開校。大手進学塾の狭間で難関中学・高校受験指導を行う。その中で、学習スタイルのみならず精神にも問題をもつ多くの子供を目の当たりにし、それが進学塾の過剰な詰め込みによって起こっている事実を解明。以来、子供が将来にわたってよりよく伸びるための学習指導を研究し続け、独自の問題集を開発している。「考えること」に重点を置いた作りは指導者の間でも高い評価を受け、現在、小学校や大手個別指導塾などでも採用されている。
水島醉 You Mizushima
数年間、民間企業に勤務の後、平成2年よりエム・アクセスの講師となり、以来17年間、学習指導にあたる。多くの進学塾の「問題を解かせる→解説をする」という授業は国語力の向上にはつながらないと考え、小学生には「読書と考えること」を中心とした国語指導を展開。また大学受験の小論文指導は「書かせない小論文指導」で知られる。編著書に「名作ドリルシリーズ」(ディスカヴァー)「国語読解の特訓シリーズ」「聞いて覚えるCDシリーズ」(認知工学)などがある。
1989年、京都の中心部、四条烏丸で教室開校。大手進学塾の狭間で難関中学・高校受験指導を行う。その中で、学習スタイルのみならず精神にも問題をもつ多くの子供を目の当たりにし、それが進学塾の過剰な詰め込みによって起こっている事実を解明。以来、子供が将来にわたってよりよく伸びるための学習指導を研究し続け、独自の問題集を開発している。「考えること」に重点を置いた作りは指導者の間でも高い評価を受け、現在、小学校や大手個別指導塾などでも採用されている。
水島醉 You Mizushima
数年間、民間企業に勤務の後、平成2年よりエム・アクセスの講師となり、以来17年間、学習指導にあたる。多くの進学塾の「問題を解かせる→解説をする」という授業は国語力の向上にはつながらないと考え、小学生には「読書と考えること」を中心とした国語指導を展開。また大学受験の小論文指導は「書かせない小論文指導」で知られる。編著書に「名作ドリルシリーズ」(ディスカヴァー)「国語読解の特訓シリーズ」「聞いて覚えるCDシリーズ」(認知工学)などがある。
登録情報
- 出版社 : ディスカヴァー・トゥエンティワン (2007/5/31)
- 発売日 : 2007/5/31
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 242ページ
- ISBN-10 : 4887595565
- ISBN-13 : 978-4887595569
- 寸法 : 12.8 x 1.9 x 18.2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 982,598位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 3,593位教育学 (本)
- - 70,732位教育・学参・受験 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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平成2年より M.access 講師として、主に小学生、中学生の学習指導、受験指導、学習相談、カウンセリングに携わる。
大手進学塾の、学習効果のない、理解を伴わない詰め込み指導が、学力を上げないばかりか、かえって子どもの伸びる力を阻害する事に気付き、独自の学習指導方針を考案し、現在も工夫、改善し続けている。
知恵と心を育む M.access 代表
株式会社認知工学 取締役
水島企画代表
http://dogmatism.exblog.jp/
http://twitter.com/#!/MizushimaYou
http://maccess.sch.jp/
カスタマーレビュー
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トップレビュー
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2020年3月29日に日本でレビュー済み
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各学年で、反復練習でのみ習得できる(最低限しないといけない)学習項目があります
これが秀逸です(類書よみましたが、これは無かった!)
ここだけ切りとって、都度確認するようにしています
これが秀逸です(類書よみましたが、これは無かった!)
ここだけ切りとって、都度確認するようにしています
2008年1月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本職で塾講師をしています。
私は中学受験は専門外ですが、坊主憎けりゃ袈裟まで憎いって感じですね。
確かに一つ一つのポイントは全く間違っていません。
しかし、論理展開が極端で、総論が「中学受験が日本をダメにする!」となると…。
文章の中にも、自己矛盾が生じていますし。
それに「詰め込み」批判ばかりで、その有効性に関しては無視していらっしゃるようで。
これを見て「塾に行かせないで、中学受験しよう!」と完全に感化される方がいないかちょっと心配です。
ただ、塾が生徒の成績を下げる場合があるというのは全く同感です。
後、P174〜P213は素晴らしい内容だと思います。
これだけで元は取れます。
私は中学受験は専門外ですが、坊主憎けりゃ袈裟まで憎いって感じですね。
確かに一つ一つのポイントは全く間違っていません。
しかし、論理展開が極端で、総論が「中学受験が日本をダメにする!」となると…。
文章の中にも、自己矛盾が生じていますし。
それに「詰め込み」批判ばかりで、その有効性に関しては無視していらっしゃるようで。
これを見て「塾に行かせないで、中学受験しよう!」と完全に感化される方がいないかちょっと心配です。
ただ、塾が生徒の成績を下げる場合があるというのは全く同感です。
後、P174〜P213は素晴らしい内容だと思います。
これだけで元は取れます。
2009年2月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
受験に向けて親が行う家庭学習の進め方を具体的に提示してある。
塾を利用するに当たって、塾教育の意味を理解する為に読んでおくべき。
親が子供の発育と学習過程を理解し、責任を持って塾を利用する姿勢が必要と教えられる。
塾を利用するに当たって、塾教育の意味を理解する為に読んでおくべき。
親が子供の発育と学習過程を理解し、責任を持って塾を利用する姿勢が必要と教えられる。
2009年3月8日に日本でレビュー済み
大手塾の塾側の企業としての戦略を理解しておくことの重要性は分かりますが、大手塾に通わせることによって、大半の子どもの精神が蝕まれ、アノミーの原因となっているという考えは飛躍が多すぎてとても納得できるものではありません。大手進学塾でも低学年から無理なく潜在的な学力を伸ばす工夫をかなりされていると思いますし、生徒同士が切磋琢磨するなど良い部分もたくさんあると思います。このような利点を子どもたち自身が一番よく分かっているからこそ、成績が悪くとも一生懸命がんばって通い続けるのではないでしょうか。小規模塾の企業戦略のための書と言っても良いかもしれません。
2011年2月23日に日本でレビュー済み
うちの子どもは小4と小1ですが、中学受験も考えていないし、塾に行かせていもいません。
だからといって勉強しなくてもいいと思っているわけでもないので、この手の本を何冊か読んでみました。
正直なところ、この本がいちばん説得力に欠ける感じです。
(1)進学塾の弊害についての書き方が極端であること、
(2)論拠が小室直樹の本だったり推薦図書に副島隆彦の本があったりして、著者の思想ってちょっと偏ってないか?と感じられること、
が理由です。
本書には、進学塾の弊害があれこれと「実例」を示して書かれています(事実をベースにしたフィクションですなどと書いてあるのもありますけど)。
たとえば、大人の前ではいい子だけど、陰で備品を壊していた子がいて、その現場を大人に見られたら豹変して
奇声を発しながら椅子を壊し続けた、などという話です。
だけど、僕は塾に行っている子におかしい子が多いとは感じたこともないし、わが子に聞いてもそうです。
ちょっと変わった子だなと思っても、塾に行っている子ではなかったりするんですよね。
この本を読もうと思っている方は、そのあたりをご自身のお子さんに聞いてみた方がいいと思います。
どうも本書は、主張を正当化するために、極端な例、それもごく一部の「変な子」ばかり引き合いに出しているのではないかという気がします。
そもそも、異常行動が進学塾のせいかどうか、因果関係なんて詳しく調査しないかぎりわからないでしょう。
進学塾が一般的ではなかった時代にも、意地悪な子は意地悪だったし、変わった子はいました。
ところが、本書ではその異常行動の原因は「アノミー(無連帯)」とやらのせいで、それは受験戦争によるものだそうです。
しかも、アノミーについて本書が依拠しているのが「小室直樹」の本です。
小室直樹という人がどういう学者か、興味のある方はネットで検索されるといいと思います。
それから、学習教材については認知工学がらみのものをさかんに「お薦め」だと書いています。
著者は本当にそう信じているから薦めているのかもしれませんし、著者の学習教室は「営利最優先の有害な大手進学塾」とは
一線を画する教室なのかもしれません。
しかし、たとえそうであっても、客観的に考えれば著者は大手進学塾と「利害が対立する者」です。
「李下に冠を正さず」とも言いますから、やはり話を割り引いて読みたくなります。
また、巻末に推薦図書がありますが、高校以上のところに副島隆彦の著書があります。
この人は、アポロ計画による月面着陸は実はウソで、写真も映像も作りものだと主張している人です。
他の推薦図書はほとんどが評価の定まった文学作品ですが、そこになぜ副島隆彦なのか?
彼がどういう人かについても、興味がある人はネットで見てみるといいと思います。
「ユダヤの陰謀」なんて話が大好きな人なので、はまる人ははまるかもしれません。
それは大人なら自己責任ですし、著者が副島隆彦を評価するのは自由です。
しかし、批判する力が十分とは言えない高校生に薦めるべき本では絶対にありません。
少なくとも僕は副島隆彦を信奉する人の知性(人柄ではありません)については評価しません。
まともだと感じた部分ももちろんあります。ただ、そういう箇所はどこでも聞くような意見に感じられました。
だからといって勉強しなくてもいいと思っているわけでもないので、この手の本を何冊か読んでみました。
正直なところ、この本がいちばん説得力に欠ける感じです。
(1)進学塾の弊害についての書き方が極端であること、
(2)論拠が小室直樹の本だったり推薦図書に副島隆彦の本があったりして、著者の思想ってちょっと偏ってないか?と感じられること、
が理由です。
本書には、進学塾の弊害があれこれと「実例」を示して書かれています(事実をベースにしたフィクションですなどと書いてあるのもありますけど)。
たとえば、大人の前ではいい子だけど、陰で備品を壊していた子がいて、その現場を大人に見られたら豹変して
奇声を発しながら椅子を壊し続けた、などという話です。
だけど、僕は塾に行っている子におかしい子が多いとは感じたこともないし、わが子に聞いてもそうです。
ちょっと変わった子だなと思っても、塾に行っている子ではなかったりするんですよね。
この本を読もうと思っている方は、そのあたりをご自身のお子さんに聞いてみた方がいいと思います。
どうも本書は、主張を正当化するために、極端な例、それもごく一部の「変な子」ばかり引き合いに出しているのではないかという気がします。
そもそも、異常行動が進学塾のせいかどうか、因果関係なんて詳しく調査しないかぎりわからないでしょう。
進学塾が一般的ではなかった時代にも、意地悪な子は意地悪だったし、変わった子はいました。
ところが、本書ではその異常行動の原因は「アノミー(無連帯)」とやらのせいで、それは受験戦争によるものだそうです。
しかも、アノミーについて本書が依拠しているのが「小室直樹」の本です。
小室直樹という人がどういう学者か、興味のある方はネットで検索されるといいと思います。
それから、学習教材については認知工学がらみのものをさかんに「お薦め」だと書いています。
著者は本当にそう信じているから薦めているのかもしれませんし、著者の学習教室は「営利最優先の有害な大手進学塾」とは
一線を画する教室なのかもしれません。
しかし、たとえそうであっても、客観的に考えれば著者は大手進学塾と「利害が対立する者」です。
「李下に冠を正さず」とも言いますから、やはり話を割り引いて読みたくなります。
また、巻末に推薦図書がありますが、高校以上のところに副島隆彦の著書があります。
この人は、アポロ計画による月面着陸は実はウソで、写真も映像も作りものだと主張している人です。
他の推薦図書はほとんどが評価の定まった文学作品ですが、そこになぜ副島隆彦なのか?
彼がどういう人かについても、興味がある人はネットで見てみるといいと思います。
「ユダヤの陰謀」なんて話が大好きな人なので、はまる人ははまるかもしれません。
それは大人なら自己責任ですし、著者が副島隆彦を評価するのは自由です。
しかし、批判する力が十分とは言えない高校生に薦めるべき本では絶対にありません。
少なくとも僕は副島隆彦を信奉する人の知性(人柄ではありません)については評価しません。
まともだと感じた部分ももちろんあります。ただ、そういう箇所はどこでも聞くような意見に感じられました。
2007年6月5日に日本でレビュー済み
受験を控えた子供がいるわけではないのですが、
書店に平積みされていたこの本のタイトルに惹かれて
手にとって見ました…おもしろい!
タイトルは『進学塾 不要論』と、
対象読者は受験期の子供を持つ親向けのように感じられますが、
内容は現代社会の子供を取り巻く問題点にまで鋭く切り込んであり、
非常に読み応えのある本だと思いました。
子供を持つお父さんお母さんはもとより、
現代社会のあり方にどこか違和感をもたれている方に
是非お勧めしたい一冊です。
書店に平積みされていたこの本のタイトルに惹かれて
手にとって見ました…おもしろい!
タイトルは『進学塾 不要論』と、
対象読者は受験期の子供を持つ親向けのように感じられますが、
内容は現代社会の子供を取り巻く問題点にまで鋭く切り込んであり、
非常に読み応えのある本だと思いました。
子供を持つお父さんお母さんはもとより、
現代社会のあり方にどこか違和感をもたれている方に
是非お勧めしたい一冊です。
2007年6月12日に日本でレビュー済み
娘を大手進学塾に通わせている親として、この本に出合えて本当に良かったです。
前々から進学塾の指導方法に違和感を感じていました。
学年やクラスが上がるごとに授業や宿題が増え、断らない限り、講習やテストをどんどん受けさせられてしまいます。
小学生の子供には多すぎる量ではないかと疑問を持ちながらも、志望校合格のためには仕方がないことだと割り切るように考えていました。
娘を何とか励ましながら塾の宿題などを行なわせていましたが、著者のいうとおり進学塾は「劇薬」だと思います。我が家も使い方を誤ってとんでもない事態になるところでした。
この本に出会ってなかったらと考えると恐ろしくなります。
大手進学塾に子供を通わせている方、これから通わせようかと考えらている方には、進学塾の裏側まで書かれていますので、通わせる通わせないに係わらずとても参考になります。
内情を熟知した上で、進学塾と上手く付き合っていくことが出来ると思います。
内容は受験に関する事だけではありませんので、受験生の親だけでなく、たくさんの人にこの本を是非読んでいただきたいと考えます。そして、たくさんの人が今の日本の子供を取り巻く環境のことを真剣に考えていただけばと切に願います。
前々から進学塾の指導方法に違和感を感じていました。
学年やクラスが上がるごとに授業や宿題が増え、断らない限り、講習やテストをどんどん受けさせられてしまいます。
小学生の子供には多すぎる量ではないかと疑問を持ちながらも、志望校合格のためには仕方がないことだと割り切るように考えていました。
娘を何とか励ましながら塾の宿題などを行なわせていましたが、著者のいうとおり進学塾は「劇薬」だと思います。我が家も使い方を誤ってとんでもない事態になるところでした。
この本に出会ってなかったらと考えると恐ろしくなります。
大手進学塾に子供を通わせている方、これから通わせようかと考えらている方には、進学塾の裏側まで書かれていますので、通わせる通わせないに係わらずとても参考になります。
内情を熟知した上で、進学塾と上手く付き合っていくことが出来ると思います。
内容は受験に関する事だけではありませんので、受験生の親だけでなく、たくさんの人にこの本を是非読んでいただきたいと考えます。そして、たくさんの人が今の日本の子供を取り巻く環境のことを真剣に考えていただけばと切に願います。