この「予定不調和」では、ある特定の技術が単独で進歩した場合に生じ得るかもしれない、社会的・倫理的不調和を、「あえて」誇張気味に描いている。
トピックスとしては、例えば、エンハンスメントといったキーワードに絡むものなどだ。
その「あえて」の誇張と同時に、単独ではなく、より広範な、全体としての科学の営みの進展によって、調和への道筋が見えてくる可能性を繰り返し主張している点は本書の特徴だろう。
そして、その調和に向けて、特定の分野でなく、多様な分野、そして社会との関わりを指摘している。
しかし、こういうことだけ書くと、科学者がんばろうぜ!的な、松岡修造的、暑苦しさに見えるかもしれないが、実際にはそうでもない。
「科学者へのエール」と、書いてみたが、このエールは、どこかアンビバレンツな様相を呈しているように思える(そこが、ある種の魅力でもあるんだが)。
科学の不調和を正す一つの方法が、同じ「(別分野の)科学の進歩」であるというジレンマ、ある種の諦念として見てとれると思う。
「どの道、科学は進んじまう。それは、もうどうしようもねえ。もう、そこは踏まえちまって、どうするか。別の科学を使って、どうバランスとるか、そういう話を、色々な人ととするしかねえ。さてどうする?」
という問いかけだ。
しかし、その諦念の上にある、ある種のポジティブさ、だからこそ科学者の皆さんももう少しがんばりなましょうよ・・・という、そういうエールでもある。
その科学者へのエールって言ってみたけど、それは、
「科学に調和をもたらす主役(の一人)は、(結局)科学者あんたらなんだ!」
と同時に、
「分野に籠ってねえで、あんたらも、もうちょっと頑張って、外に目を向けたり関係を作ったりしましょう。そうしないとバランスが崩れる。不調和がまってる」
「科学者の分野引篭り」をどう解消するか?
有体に言っちまうと、異分野コミュニケーションを通じた、特定分野におさまらない、トータルの科学パッケージを議論していきましょうぜ・・・ってことにまとめられるかもしれない。
だが、ここまで言うと随分と安っぽく聞こえてしまうが・・・しかし、結局そういうこが求められてるんじゃないかと思う。
著者のある種の繊細さと期待が感じ取れる本だと思う。
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予定不調和 (Dis+Cover Science) 新書 – 2010/4/15
長神 風二
(著)
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ディスカヴァー・トゥエンティワン創立25周年記念
科学っておもしろい! 技術ってスゴイ! 理系ってステキ!
DIS+COVERサイエンス創刊ラインアップ登場
「体細胞由来クローン」
「脳画像技術による嘘発見器」
「遺伝子ドーピング」…。
最先端の科学によって登場しつつある“今までになかったもの”は、
単に生活を便利にするだけでなく、私たちの価値観を揺さぶる存在に。
ある技術だけを推し進めた際に生じる「予定不調和」。
一見、気味悪そうな現象に「調和」をもたらすためには、何が必要なのか?
近未来を想定したフィクションで多彩な事例を紹介しつつ、
研究の今を描き出す異色の作。
科学っておもしろい! 技術ってスゴイ! 理系ってステキ!
DIS+COVERサイエンス創刊ラインアップ登場
「体細胞由来クローン」
「脳画像技術による嘘発見器」
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最先端の科学によって登場しつつある“今までになかったもの”は、
単に生活を便利にするだけでなく、私たちの価値観を揺さぶる存在に。
ある技術だけを推し進めた際に生じる「予定不調和」。
一見、気味悪そうな現象に「調和」をもたらすためには、何が必要なのか?
近未来を想定したフィクションで多彩な事例を紹介しつつ、
研究の今を描き出す異色の作。
- 本の長さ272ページ
- 言語日本語
- 出版社ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 発売日2010/4/15
- 寸法10.6 x 2.2 x 17.3 cm
- ISBN-104887597940
- ISBN-13978-4887597945
商品の説明
レビュー
各章を、特定のサイエンスをもとに個別技術が進んでしまった世界をショートストーリーのフィクションで書き、
それに対する解説と筆者の考えを並行して書く形式で構成しました。
個別の科学技術だけが進んでしまった未来像は歪んだもの、
でも、多くの技術が同時に並行して進んでいく先の現実の未来は、
必ずしもそういうものとは限りません。
調和をもたらす、全体を俯瞰する視点は、専門家だけに担えるものではありません。
本書を読んで下さる方々が、そうした視点をつくる営みに参加して下さることを願っています。 --著者よりコメント
それに対する解説と筆者の考えを並行して書く形式で構成しました。
個別の科学技術だけが進んでしまった未来像は歪んだもの、
でも、多くの技術が同時に並行して進んでいく先の現実の未来は、
必ずしもそういうものとは限りません。
調和をもたらす、全体を俯瞰する視点は、専門家だけに担えるものではありません。
本書を読んで下さる方々が、そうした視点をつくる営みに参加して下さることを願っています。 --著者よりコメント
著者について
長神風二(ながみ ふうじ)
サイエンスコミュニケーター。
東京大学大学院で生物物理化学を研究後、科学館に勤務し、巡回企画展、常設展示、大型映像などを制作。
2006年から、国の外郭団体で科学と社会をつなぐ大型イベント「サイエンスアゴラ」の創設・企画運営にかかわった後、
2008 年より東北大学に移り、広報とコミュニケーションを担当する特任准教授。
サイエンスコミュニケーター。
東京大学大学院で生物物理化学を研究後、科学館に勤務し、巡回企画展、常設展示、大型映像などを制作。
2006年から、国の外郭団体で科学と社会をつなぐ大型イベント「サイエンスアゴラ」の創設・企画運営にかかわった後、
2008 年より東北大学に移り、広報とコミュニケーションを担当する特任准教授。
登録情報
- 出版社 : ディスカヴァー・トゥエンティワン (2010/4/15)
- 発売日 : 2010/4/15
- 言語 : 日本語
- 新書 : 272ページ
- ISBN-10 : 4887597940
- ISBN-13 : 978-4887597945
- 寸法 : 10.6 x 2.2 x 17.3 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,176,751位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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