正直なところ、シャミの他の作品に比べると、あまり感心しなかった。
特に表題作は、初めにテーマありき、という感じで作為的、もっといえば嘘臭いものになっている。魂の奥底から泉のように湧き出て来た、という感じがしないのだ。
作者はこの作品によって、エンデのファンタジーが逃避的だと批判したいようだが、あまり成功しているとは思えない。まして批判が正鵠を射ているとも感じられない。少なくとも作品そのものの魅力は、エンデに遠く及ばない。
同植物を擬人化した作品にも、疑問を感じる。私が日本人だからかも知れないが、同植物は人間のように利己的で愚かなことをしない、と思ってしまう。やはり、この作者はシリア政府を皮肉ったり、ダマスカスを舞台にした作品が、一番生き生きと書けているように思う。
一つ面白いと思ったのは、「マルーラの竜」という作品の中で、『中国の子もアフリカの子も同じ竜の絵を描く』といいながら、翼のある竜を登場させていることだ。東アジアの漢字文化圏の竜には、翼はない。翼の力でなく、霊力で飛ぶからだ。
ヨーロッパからは同じ東洋と見られていても、中東はやはりアジアではないのだ。これがエンデだったら、こんな誤謬は犯さなかったはずだ。
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モモはなぜJ・Rにほれたのか 単行本 – 1997/12/1
- 本の長さ295ページ
- 言語日本語
- 出版社西村書店
- 発売日1997/12/1
- ISBN-104890135677
- ISBN-13978-4890135677
商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
モモは、時間を盗む灰色の男たちから社会を救った。しかし、落ち着いた生活も長くは続かなかった。エンデの作品のパロディーである表題作をはじめとする、大人のためのメルヘン14編を収録。
登録情報
- 出版社 : 西村書店 (1997/12/1)
- 発売日 : 1997/12/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 295ページ
- ISBN-10 : 4890135677
- ISBN-13 : 978-4890135677
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,983,589位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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