範囲は、人類の進化・古代オリエント・地中海世界・中世ヨーロッパ〜30年戦争・16世紀までのイスラーム(ティムール・サファヴィー朝・ムガル帝国・オスマン帝国まで)です。
評価できるのはその構成。
話がいろんなところに飛んで分かりにくいという意見があるが、それは、この構成の意味を理解できていない証拠。
たとえば、セレウコス朝シリア〜バクトリア・パルティア〜ササン朝の範囲は、教科書だと『地中海世界』の後に『西アジア世界』として扱うか、『古代オリエント』の末尾に組み込むことが多いです。
前者だと、アレクサンドロスの帝国が分裂したところからの流れがわかりにくいし、後者だと、まだ地中海世界を全くやっていないのにアレクサンドロス、ローマ帝国、ビザンツ帝国などの言葉が出てきて混乱します。
この本では、セレウコス朝〜バクトリア・パルティアをアレクサンドロスの直後、パルティア〜ササン朝を帝政ローマの途中で扱っています。
これによって、長い時代を一気にまとめてやることも、いきなり知らない言葉がポンと出てくることもなくなり、学習の際に頭の流れがスムーズになるようにできています。
同じことは、西ヨーロッパ、東ヨーロッパ、イスラーム史の組み方にも言えます。特にイスラーム史の絡め方が秀逸。イスラームのところは、同じシリーズの『前近代アジア編』の東アジア、モンゴルのところと併読するとなおよい。
この本は、ヨコを意識しながらタテの流れを描いている参考書です。世界の歴史を地域ごとにバラしてしまう(「世界史」ではなく「地域史」の寄せ集めにしてしまう)ことなく、かと言って、世紀ごとに輪切りにするでもなく、上手い具合にバランスを取っていると思います。
ただし、用語という点だけで見ると、細かすぎたり浅すぎたり、範囲によってバラつきがある。これで☆1つ減点。しかし、これも大枠をクリアにするために工夫がされた結果そうなったということだと思う。
☆4つですが、この範囲を扱った世界史の受験用読み物としては一番水準が高いと思います。ただし、暗記の手助けはまるでしてくれません。ある程度学習した人かイチからやる人かどちらかが読むといい。
装丁と構成を新たにして、3冊シリーズで新装版が出ていますが、正直言って、歴史の流れを上手に描いているという点では旧版の方がコンセプトに沿っていて良くできていると思います。でも、多くの教科書の流れとは異なるから、読者を選ぶ感じになっちゃったんだろうなぁ…。
旧版は、細かい歴史用語や年代の間違いが多いこと、帝国主義以降の西洋近現代史の巻が販売されていないこと(販売される前に新版に移行してしまった)が欠点だけど、構成は抜群だったと思います。絶版が無念です。
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荒巻の世界史の見取り図-文明の発祥~16世紀: 名人の授業 大学受験世界史 単行本 – 2002/6/1
荒巻 豊志
(著)
全4部11章構成で、文明の発祥から16世紀までを、地中海世界を中心に学ぶ書。部の冒頭では、部全体で扱う内容をまとめた「流れ図」と「まとめ文」、章扉には地図を掲載。本文中の太字は「最低限、覚えるべき用語・表現」、青字は「時代の変わり目・特徴」や「ある状況の意味合い」を表現。章末には、練習問題とこれまでの学習内容の「流れ図」と「まとめ文」を掲載。
- 本の長さ239ページ
- 言語日本語
- 出版社ナガセ
- 発売日2002/6/1
- ISBN-104890852522
- ISBN-13978-4890852529
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商品の説明
著者からのコメント
★第4巻『また荒巻の世界史の見取り図 前近代アジア編』巻頭付録【「世界史の見取り図」の見取り図】より
……『世界史の見取り図』第1巻(文明の発祥~16世紀)をA、『続』をB、『続々』をC、『また』をDとします。Aは、時間の流れとしてはBにつながりますが、Aと同時代の地域の眺めるためにはDも読むといいでしょう。AとDは時間の流れとしてBにつながります。Bは、Cと大きく重なっているので、BをとばしてA→D→C(D→A→C)と読むのもアリですね。『見取り図』シリーズの完結編となるであろう5冊目のE(20世紀の歴史編)は、同時代ということならばCと合わせて読むのがいいし、時間の流れとしてBからEへと読み進めるのもいいでしょう。
そんなわけで、本書(第4巻)から初めて『見取り図』シリーズを読み始めた方には、AかDをお勧めしておきます。既にシリーズとしてお付き合いいただいている方には、改めてAかCを復習することをお勧めします。何度もいいますが、あくまでこのシリーズは受験参考書として書かれたものです。受験勉強には反復がいちばん。何度も読んでください。一度読んだだけでアタマに入るようには、残念ながら作られていません。がんばってください。
荒巻豊志
出版社からのコメント
これまでの「世界史学習」が一変!「世界史っておもしろい!!」
世界史学習に欠かせないのは、歴史の「全体像」と「因果関係」——すなわち歴史の「見取り図」をつかむこと。本書は、豊富な地図や図版で「世界の歴史」を実感できる画期的参考書です。ビギナーからハイレベルを目指す人まで、これまでの「世界史学習」がガラっと変わること間違いなしです。さらなる新たな発見と学習への“やる気”が出てきます。16世紀までのヨーロッパ・イスラム史の総復習にも最適の1冊です。〔編集担当:倉野〕
世界史学習に欠かせないのは、歴史の「全体像」と「因果関係」——すなわち歴史の「見取り図」をつかむこと。本書は、豊富な地図や図版で「世界の歴史」を実感できる画期的参考書です。ビギナーからハイレベルを目指す人まで、これまでの「世界史学習」がガラっと変わること間違いなしです。さらなる新たな発見と学習への“やる気”が出てきます。16世紀までのヨーロッパ・イスラム史の総復習にも最適の1冊です。〔編集担当:倉野〕
登録情報
- 出版社 : ナガセ (2002/6/1)
- 発売日 : 2002/6/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 239ページ
- ISBN-10 : 4890852522
- ISBN-13 : 978-4890852529
- Amazon 売れ筋ランキング: - 177,090位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 115位高校生世界史教科書・参考書
- - 10,552位歴史・地理 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2013年2月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
世界史が苦手な人には良いと思います。イラストが入っていて取り付きやすい感じ。
2014年4月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
特に役に立ったとは思えないから。。公務員試験に向いていると言うのは怪しいもんだ。。。
2005年10月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この参考書はなんと言っても、地図、写真、イラストが多いことです。なので読んでいても飽きません。内容的にはあまり難しい用語が載っているわけではありませんが、筋道を立てて歴史の流れを説明しているので内容的には高度です。しかし、歴史の流れをつかめるので授業の予習にはちょうどよく、知らないうちに模試で論述問題が解けるようになるぐらいの知識がつきますよ。教科書を読んでもさっぱりわからない高2生にぜひ買ってほしいです。ゴロ合わせで世界史を暗記してしまおうと思っている方、もう少しお金を出してこれを買ってください。センター直前の受験生の皆さんも一度書店で見てきてください。
2005年7月21日に日本でレビュー済み
東大に特化した本といってもよい。しかも、時間に余裕のある人がやるもの。普通の世界史の学習には不向き。
浪人生が秋くらいにやるにはいいかも。
浪人生が秋くらいにやるにはいいかも。
2014年9月14日に日本でレビュー済み
姉が持ってたので。とても見やすい文章と図を伴った解説なのでスイスイ読めます。
じつにオススメ。
じつにオススメ。
2006年1月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
年代によって力の入れようが違うように感じるので、説明が十分のところもあれば、簡素すぎるところもあります。イスラームについてはかなりわかりやすくなっています。
トータル的に見て、残念ながら、これで勉強すれば受験で点が取れるというものではないと思います。
ただし、「世界史の流れを理解する」ということにポイント置くのであれば、良い本だと思います。
トータル的に見て、残念ながら、これで勉強すれば受験で点が取れるというものではないと思います。
ただし、「世界史の流れを理解する」ということにポイント置くのであれば、良い本だと思います。
2006年12月29日に日本でレビュー済み
世界史難民を救済してくれる本です。
「世界史のイメージがつかめない」とか「これから世界史を始める」という人にはピッタリの本だと思います。
口語的に書かれているので読みやすく、難しい用語は一切無しです。
私は受験が迫っていていたのですが、世界史に対しての苦手意識がありました。
俗に言う「流れ」というものがつかめなかったからですね。
他の方も仰られているようにこの本は重要語句の網羅性は高くないのですが、世界史という物を知るというための用語が記されています。
世界史が得意になるための第一歩はなんといっても「流れ」です。「流れ」なくして世界史を勉強することはなんとも苦痛でつまらないだけでなく頭にも入ってきません。
《流れをつかむ→教科書などで知識不足を補う》これが(受験)世界史の勉強だと思います。
世界史を始める第一歩には最適だと思います!
「世界史のイメージがつかめない」とか「これから世界史を始める」という人にはピッタリの本だと思います。
口語的に書かれているので読みやすく、難しい用語は一切無しです。
私は受験が迫っていていたのですが、世界史に対しての苦手意識がありました。
俗に言う「流れ」というものがつかめなかったからですね。
他の方も仰られているようにこの本は重要語句の網羅性は高くないのですが、世界史という物を知るというための用語が記されています。
世界史が得意になるための第一歩はなんといっても「流れ」です。「流れ」なくして世界史を勉強することはなんとも苦痛でつまらないだけでなく頭にも入ってきません。
《流れをつかむ→教科書などで知識不足を補う》これが(受験)世界史の勉強だと思います。
世界史を始める第一歩には最適だと思います!