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日系人を救った政治家ラルフ・カー: 信念のコロラド州知事 単行本 – 2013/6/1

5.0 5つ星のうち5.0 3個の評価

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 水声社 (2013/6/1)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2013/6/1
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 451ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4891769734
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4891769734
  • カスタマーレビュー:
    5.0 5つ星のうち5.0 3個の評価

カスタマーレビュー

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上位レビュー、対象国: 日本

2013年9月13日に日本でレビュー済み
本書は、1939年初頭から1943年代初頭にかけて、アメリカの西部にあるコロラド州の州知事を2期4年にわたって務めたラルフ・カーの評伝(正式にはラルフ・ローレンス・カー)。ただし、記述のほとんどは知事時代及びその前後にあてられ、若き日のジャーナリスト時代、弁護士時代、知事退任後に闘った上院選終了後に関する部分は、多くない。原著のタイトルは、『The Principled Politician』で、原理原則に忠実だったカーをよく表している。

大きな借金をかかえたコロラド州だが、カーは州知事1期目に、増税することなく歳出を抑え、赤字を削減している。その手腕が評価され、2期目も務めることになる。ところが、1941年12月の真珠湾攻撃があり、アメリカ国内にはヒステリックなニッポン(ジャップ)バッシングが吹き荒れる。そのさなか、カーは、アメリカ憲法、権利章典にかかげられた高邁な理想に基づき、アメリカ市民権を持つ日系アメリカ人(いわゆる二世)の基本的人権が損なわれることに反対し、強制収容にも反対する。また、ほとんどの州政府が日本人(いわゆる一世)を収容する施設の受け入れに反対する中、同じように憲法に基づき、連邦政府からの協力を受諾している。

本書では、こういった当時の状況を、当時の連邦政府の動き、ジャーナリストたちの論調、カーに直接送られた手紙など、具体的な記述をもとに描いている。バッシングは凄まじく、基本的人権といったものはどこかに忘れ去られ、『
世論〈上〉 (岩波文庫) 』などで今も高い評価を得るアメリカのジャーナリスト、W・リップマンでさえ、その弊に陥っていたことが176ページに記されている。そういった中で、カーは幾度も、自身の原理原則として、アメリカ憲法などの精神を訴え続ける。さらに、黒人のジョージ・ロビンソンを州知事時代にスタッフとして採用しただけでなく、自身の退任後には、連邦議事堂で職を得られるようにしているエピソードにも、人種的な偏見から自由であったことが浮き彫りにされている。まさしく、精神面において真の“リベラル”であったと言える人物なのだろう。ただ、当時の状況の中で、その精神を理解できない人が少なくなかったため、上院選では僅差で負けることになる。1950年に州知事選に出馬するものの、予備選期間中に、病で亡くなる。

なお、藤崎一郎前駐米大使が「序文」で、カーを「アメリカのスギハラ」(杉原千畝)とされているのには違和感を覚える。杉原のユダヤ人へのビザの発給は、当時の日本の法律や外務省の意向に反し、人道主義的な観点からなされた行為である。一方で、カーはアメリカ憲法の精神に対する徹底した忠実さから出た行為だ。もちろん、私自身は、苦しい状況の中で、自らの信じることを貫いた二人には尊敬をいだかずにはいられないが、それだけに、結果だけを見て安直に同一化してしまうのは、彼らの行為の背後にある高い精神性を損なうような気がしてならない。

実際に強制収容された日系人の具体的な状況に関しては、本書とほぼ同時期に刊行された『
ストロベリー・デイズ―― 日系アメリカ人強制収容の記憶 』に詳しい。また、カーと同じようにアメリカ憲法に書かれた基本的人権を守るため、日系アメリカ人の強制収容に反対したジャーナリスト、ウォルト・ウッドワードについては、『 記者たちの日米戦争 』が詳しい。
20人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2013年8月18日に日本でレビュー済み
「アメリカが現代の文明世界における巨大な人種のるつぼであることを思い起こしましょう。私たちの政体のもとで自由な人間として生きることを求める人々が、地球上のあらゆる国から合衆国にやってきました。祖父の出身地から、同胞に対する愛着や国に対する献身の程度を推し測ることはできません。全てのアメリカ人が合衆国の国境の外にルーツを持っています」

アメリカが真珠湾攻撃を受けて三日後にコロラド州知事の行ったラジオ演説です。アメリカで、日系人を強制収容するのは「憲法」と「権利の章典」に反するとして、ただ一人反対した政治家ラルフ・ローレンス・カーの伝記が翻訳されました。

ラルフ・カーは、日系人をコロラド州に温かく迎え入れましたが、強制収容に関しては断固反対。全米的にも共和党のホープだったのに、連邦上院議員選挙に落選し、その政治的キャリアを棒に振ってしまった訳ですが、それでも信念は変えない人であったそうです。
日本にも、第二次大戦中、六千人以上のユダヤ人をリトアニアから脱出させるため日本通過ビザを用意した杉原千畝さんという方がいました。アメリカでは杉原さんのビザは、「スギハラの命のビザ」と呼ばれ、今でも感謝され続けているとのこと。ラルフ・カーも同様に、日系人だけでなく僕ら日本人にとって、非常に重要な人物であったそうです。

アメリカじゃ再評価されている政治家なのに、この日本じゃあまり知られていない人なので、この本を読んでラルフ・カーのような政治家がいたということを知って、すがすがしい気分にひたりました。
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