インド独立のため、日本を拠点に闘い抜いたナイル氏による自叙伝です。
銀座にナイルレストランというインド料理店があり、
「どうしてナイル川がインド料理なんだろう」と思ったことがあるのですが、
人名だということを知り、興味を持ちました。
ナイル氏は、イギリスの息のかかった当時のインド政府による弾圧を避けて日本に留学して活躍。その当時の日本の雰囲気も手に取るようにわかる本です。特高警察や憲兵隊が幅を利かしてくる社会の中で、立派なひとも多かったことがよく分かります。
戦争関係の歴史本ですと、何かを悪しざまに言ったり、それに反発したり、後味の悪い本が多い中、体験談として偏見のない目で書かれている当時の情勢がとても新鮮でした。
著者は満州国やロシア、モンゴルにも往来し、とてもスケールが大きいです。
溥儀などとも面識があり、当時のアジア情勢にもよく通じています。
インド人の本にみられる特有の知性も感じさせられます。
この手の手記としては、石光真清氏の本も素晴らしいですが、同じくらいの価値があると思いました。
賛成できるところ、できないところはもちろんあるのですが、かなり楽しめました。
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知られざるインド独立闘争: A.M.ナイル回想録 単行本 – 2008/8/1
- 本の長さ478ページ
- 言語日本語
- 出版社風濤社
- 発売日2008/8/1
- ISBN-104892193062
- ISBN-13978-4892193064
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登録情報
- 出版社 : 風濤社 (2008/8/1)
- 発売日 : 2008/8/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 478ページ
- ISBN-10 : 4892193062
- ISBN-13 : 978-4892193064
- Amazon 売れ筋ランキング: - 262,329位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 103位その他のアジア史の本
- - 7,253位日本史 (本)
- - 51,654位ノンフィクション (本)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2008年10月12日に日本でレビュー済み
2013年8月3日に日本でレビュー済み
インド、日本、第二次世界大戦、の全てに興味を持てる方ならば、楽しめると思います。
現場に居たからこその意見群で埋め尽くされていると感じました。
偏った意見もあるように思いましたが、逆に、自身の信念に従った意見群を潔く開陳していると思いました。
あの時代、どうやったら、こんなに飛び回って、生き延びられるのかさえ不思議に思いました。
一方で、軽い気持ちで読もうとすると、最後まで持たないだろうなぁ、とも思われるマニアックな部分もあったと思いました。
現場に居たからこその意見群で埋め尽くされていると感じました。
偏った意見もあるように思いましたが、逆に、自身の信念に従った意見群を潔く開陳していると思いました。
あの時代、どうやったら、こんなに飛び回って、生き延びられるのかさえ不思議に思いました。
一方で、軽い気持ちで読もうとすると、最後まで持たないだろうなぁ、とも思われるマニアックな部分もあったと思いました。
2019年9月14日に日本でレビュー済み
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イギリスから「満州ナイル」と呼ばれた著者は、インド独立のために満州その他で様々な工作活動を展開している。それも、いわゆるスパイ映画的なものではなく、具体的にイギリスの力をそぐ(たとえばイギリスが輸入している羊毛の流れをストップするなど)活動に専念し、また、おそらく、この本でも伏せていることがあるのだろうなと思わせるほど、当時の日本軍部の東アジアでの活動と深くかかわっている。
しかし、同時に著者は如何なる意味でも日本の傀儡になることなく、協力はするが、あくまでそれは対イギリス闘争の一環だという姿勢を崩さず、一部の日本軍人の皇室崇拝を外国人にも求めるような姿勢には断固拒否している(もちろん、皇室への敬意はきちんと抱いている)南京や慰安婦問題では現在の保守派の主張とは異なる面も多いが、当時、ここまで現場で活動していた人間が、日本軍の姿勢に疑問も抱いていたことは公正に受け止めなければならないだろう。満州その他における日本統治の問題点や矛盾を、率直に批判しそれを文書で送り続けたからこそ、軍部は自分を逆に信用したのだ、という著者の言葉はとても大切なことを語っている。
多くの人が驚かされるのは、チャンドラ・ボースに対する厳しい批判だろう。著者はボースの純粋さや勇気は認めつつも、彼のインド国民軍と日本軍でインドに侵攻するという作戦は、真のインド国民軍の育ての親であるビハリー・ボースの方針とも全く異なり、しかも誤ったものだと批判している。インド国民軍はそれだけの力はまだなく、かつ、外国の軍隊と共に行動することはやはり独立の大義ではなく政治的に利用される存在となってしまう、あくまでインド国民軍は独立のための象徴的存在であり、真の独立運動はインド国内でのみ可能なのだ、という趣旨のことを著者は述べている。ここは読者の中でも意見が分かれるところだろうが、私はかなり著者の説に説得されるものを感じてしまった。ただ、ボースの最期についての著者の仮説は、ややうがちすぎのものを感じるが・・・
大戦後、パール判事の協力者として、また、日印国交回復の裏方として働く著者の姿にも、私たちは深い政治的知性を感じる。日米安保条約を最も早い時期に知り、しかも、インド側がその問題点を指摘していたことなどは私ははじめて知った。パール判決に対する簡潔な紹介も、判決があくまで当時の国際法にのっとったもので、決して日本弁護の視点からなされたものではないこと、判事が単なる法律家ではなく、タゴールに匹敵するインド哲学の思想家であることなども著者は指摘する。日印関係が今後アジアにおいて重要な位置を占めるであろういま、本書はもっと多くの方に読まれてほしいと思った
しかし、同時に著者は如何なる意味でも日本の傀儡になることなく、協力はするが、あくまでそれは対イギリス闘争の一環だという姿勢を崩さず、一部の日本軍人の皇室崇拝を外国人にも求めるような姿勢には断固拒否している(もちろん、皇室への敬意はきちんと抱いている)南京や慰安婦問題では現在の保守派の主張とは異なる面も多いが、当時、ここまで現場で活動していた人間が、日本軍の姿勢に疑問も抱いていたことは公正に受け止めなければならないだろう。満州その他における日本統治の問題点や矛盾を、率直に批判しそれを文書で送り続けたからこそ、軍部は自分を逆に信用したのだ、という著者の言葉はとても大切なことを語っている。
多くの人が驚かされるのは、チャンドラ・ボースに対する厳しい批判だろう。著者はボースの純粋さや勇気は認めつつも、彼のインド国民軍と日本軍でインドに侵攻するという作戦は、真のインド国民軍の育ての親であるビハリー・ボースの方針とも全く異なり、しかも誤ったものだと批判している。インド国民軍はそれだけの力はまだなく、かつ、外国の軍隊と共に行動することはやはり独立の大義ではなく政治的に利用される存在となってしまう、あくまでインド国民軍は独立のための象徴的存在であり、真の独立運動はインド国内でのみ可能なのだ、という趣旨のことを著者は述べている。ここは読者の中でも意見が分かれるところだろうが、私はかなり著者の説に説得されるものを感じてしまった。ただ、ボースの最期についての著者の仮説は、ややうがちすぎのものを感じるが・・・
大戦後、パール判事の協力者として、また、日印国交回復の裏方として働く著者の姿にも、私たちは深い政治的知性を感じる。日米安保条約を最も早い時期に知り、しかも、インド側がその問題点を指摘していたことなどは私ははじめて知った。パール判決に対する簡潔な紹介も、判決があくまで当時の国際法にのっとったもので、決して日本弁護の視点からなされたものではないこと、判事が単なる法律家ではなく、タゴールに匹敵するインド哲学の思想家であることなども著者は指摘する。日印関係が今後アジアにおいて重要な位置を占めるであろういま、本書はもっと多くの方に読まれてほしいと思った