「全構成員自治」を標榜してきた立命館大学でも、2004年以降、大きな学園政策が密室で決まるようになってきた。密室内で意思決定がどのように行われてきたのか。一昨年まで、前理事長の側近として立命館中枢に10年余在籍していた著者による回想は、学園中枢内の確執の印象もあるが、「立命館入門」的な側面もあり、意義の大きい資料と言えよう。
前理事長の希有な業績を十分評価しつつ7〜8年前から顕在化した「暴走」を分析し、前理事長の功と罪を明らかにし、その暴走を加速させ学園を荒廃させつつある現執行部を批判している。
一昨年秋に、最重要課題となっている衣笠キャンパス狭隘化問題の解決には結びつかない不要不急の茨木キャンパス用地購入が、主要5学部の教授会が反対意思を表明するなか、学園資産の相当部分を投じて断行された。この「事件」が与えた種々の傷の広がりと深さには測り知れないものがあり、著者の危惧には的確なものがある。
以下の指摘は立命館大学が直面している危機の本質を鋭く捉えている。
p288「いずれの社会でもそうであるが「権力側に居る人間」は自らの政策が否定され、下野せざるを得ない危険がある時、地位と権益を守るためになりふり構わず粘ることがある。それに対して「正義と道理を説く」側に属する人々は、自らの主張が通らなくても、受ける被害は部分的であり最後の奮戦に粘り負けする場合が多々ある。正義は粘り強くなければならないし、またそれを支える力が必要である。」
--------------
目次
はじめに 3
第一章 立命館の歩んできた道 23
(1) 立命館の創立、立命館禁衛隊、「京大事件」(瀧川事件) 23
(2) 末川博総長の誕生と全構成員自治の確立 29
(3) 「同和問題」、大学紛争に直面しての新しい問題 37
第二章 大学紛争を克服して 47
(1) 私立大学問題と私学助成 47
(2) 立命館における改革の開始 54
(3)成果を生んだ教訓と問題点 62
第三章 新たな前進を目指しての模索 72
(1)次の前進に向けて、解決を迫られていた課題 72
(2) 新しい学園運営の改革を求めての模索 90
(3) 到達点がつくり出している新しい問題 107
第四章 混乱のはじまり 128
(1) 一時金問題 128
(2) 「人事問題」と「2006 年総長選挙」 138
(3) 「退任慰労金」問題 146
(4) 「特別転籍」問題と「裏切り」 157
(5) 「一時金問題」の解決を巡って 174
(6) 「迎合」ポーズ 168
(7) 総長理事長室の廃止 172
(8) 「学園憲章」「中期計画」を巡って 174
(9) 2008 年、評議員選挙における違反行為 181
(10) 「慰労金問題」の解決を巡って、長田理事長に辞職を勧告 184
(11)「足羽問題」 187
(12) 岐阜市立商業高校合併問題 199
第五章 茨木キャンパス問題 205
(1) 衣笠キャンパス狭隘克服なのか、立命郎大学3分割なのか 207
(2) キャンパス問題の原則 211
(3) 浮上した疑惑 216
(4) 全学合意と理事会構成について 227
第六章 引き続く異状事態 233
(1) 川口総長、見上副理事長が長田理事長に退任を求める 233
(2) 「「権力にしがみつく人間」」を公言し、学外理事に担がれた長田理事長 235
(3) 政策科学部と経営学部の2015年茨木移転決定 239
(4) 大分国際交流会館購入の提起 243
(5) 茨木市との「基本協定書」ならびに「覚書」の締結 247
(6) 「「山之内』は購入しない」ことを決定 249
第七章正常化と再生をめざして 263
(1) 事態の正常化が第一の課題 264
(2) 理事会構成と選挙基盤の改革 268
(3) 総長選挙規程の改定 280
(4) 学部長理事の責任と教職員組合などの役割 283
(5) 教学改革の方向 298
(6) 教学(教育・研究)を支える財政 320
最後に 306
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立命館の再生を願って 単行本 – 2012/2/1
鈴木 元
(著)
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- 本の長さ310ページ
- 言語日本語
- 出版社風濤社
- 発売日2012/2/1
- 寸法13.1 x 1.8 x 18.9 cm
- ISBN-104892193526
- ISBN-13978-4892193521
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- 言語 : 日本語
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トップレビュー
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2012年2月26日に日本でレビュー済み
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2012年2月8日に日本でレビュー済み
よくも恥ずかしげなく、安全圏から「告発」が行えるものである。
著者は「総長・理事長室室長」というポストで権力にしがみつき、2006年は全学協議会代表者会議にも出席。この頃、立命館のトップダウンと無計画な拡大路線は、とっくに手のつけ難い状態になっていたのである。
「平和と民主主義」を教学理念に掲げながら、著者は学生代表に向かって「馬鹿」「阿呆」と発言し、大糾弾も受けている。
内部批判なら意義も多かろうが、辞めてからなら何とでも言える。
転向に転向を重ねる人生の成れの果てとして、もはや哀れすら感じる一冊である。
著者は「総長・理事長室室長」というポストで権力にしがみつき、2006年は全学協議会代表者会議にも出席。この頃、立命館のトップダウンと無計画な拡大路線は、とっくに手のつけ難い状態になっていたのである。
「平和と民主主義」を教学理念に掲げながら、著者は学生代表に向かって「馬鹿」「阿呆」と発言し、大糾弾も受けている。
内部批判なら意義も多かろうが、辞めてからなら何とでも言える。
転向に転向を重ねる人生の成れの果てとして、もはや哀れすら感じる一冊である。
2015年10月25日に日本でレビュー済み
立命館大学に対する内部告発的な本。川本八郎体制の中枢にいた人間の暴露本として資料的、歴史的価値はあるが、学園紛争や末川博氏に対する辛辣な書き方などに見られる一方的な書き方や自画自賛ぶりが目立ち自分はいずれの時点でも基本的に悪くなかったという弁明に終始しているのは見苦しい。またこの人物は日本共産党のいわゆる専従活動家であった過去を意図的に隠している点には注意していただきたい。より詳しく問題点を述べているサイトやレビューもあるので合わせて読むと良いだろう。なぜ立命館大学がかつて唱えていた「立命館民主主義」なるものが衰退しているか残念ながらこの本だけではわからないだろう。
2012年2月8日に日本でレビュー済み
元日本共産党京都府委員会副委員長から、かもがわ出版社経由で出自をロンダリングした後、鳴り物入りで立命館職員となり、川本八郎体制を支えた人物による立命館批判。部分的には「理」もあるだろうが、では自分自身はどうだったのか?安全な段階というか、左遷されてから批判を行うとは、時を逸したとしか思えない。内部にあり、様々な不利を顧みずに建設的批判を行う人々に対して、失礼ではないか。「情」や「想像力」を著しく欠いた作品だと思います。
2012年3月8日に日本でレビュー済み
事実関係のみコメントします。私は共産党関係で働いています。この文書を拝読すると、「共産党が鈴木氏の出自をロンダリングして、(川本体制を支えるために)立命大に送り込んだ」ように読めなくもありません。しかし、これは全くの事実誤認です。氏が「自らの意思で勝手に転職した」というのが共産党関係者の間では常識です。また、鈴木氏が京都府委員会の副委員長であったこともありません。