西欧の建造物の屋根には、「ガーゴイル」という怪物たちが彫刻されている。
彼らは、奇怪な小鬼や魔物の形をした「雨どい」。
彼らのからっぽの目はまたたきもしない。夜がくるまでは・・・。
ガーゴイルが夜な夜な遊びに出るという、それだけのお話。
ところが、これが面白い!
夜になると、彼らは屋根の上から壁を這いずり回り、街中に繰り出し、仲間たちと大騒ぎ。
様々なガーゴイルたちが、実にイキイキと暴れまわる。
これが、たまげるくらい迫力満点、怖い!しかも、なんと痛快なこと!
彼らは背中を丸めてぼやきあう。噴水で水をひっかけあい、笑い声が低くひびく。
ガーゴイルたちは、人間がすきじゃないのだ。彼らをこんな風につくった人間が。
彼らはつばさをぎいぎい鳴らし、こわれかけた耳の中に親指を入れ、あざける。
それを見た夜警の男は恐れおののき、逃げるように帰ってゆく。
しかし、夜があける頃、ガーゴイルたちはそっと、自分の居場所に戻る。
そして・・・からっぽの目はまたたきもしない。夜がくるまでは・・・。
ガーゴイルたちを、これほど怖く、不気味に、可笑しく、もの哀しく描けるデヴィッド・ウィーズナーは、本当にすごい!!!
どこか「かようびのよる」を思い出させる雰囲気があるのだが、
「かようびのよる」より完成された、絵本らしくない、異色の傑作だ。
江國香織の品格ある訳も素晴らしい。
粒子の粗いモノクロ映画のような、なんともいえない不思議な世界に酔いしれてください。
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夜がくるまでは 大型本 – 1996/3/1
こども
- 本の長さ32ページ
- 言語日本語
- 出版社ビーエル出版
- 発売日1996/3/1
- ISBN-104892386197
- ISBN-13978-4892386190
商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
ガーゴイル、建物の屋根やひさしからつき出した奇怪な人間や動物のかたちをした雨どい。夜がくるまでは、彼らのからっぽの目はまたたきもしない。が、夜の闇の中では…。ガーゴイルの時間をモノトーンで展開。
登録情報
- 出版社 : ビーエル出版 (1996/3/1)
- 発売日 : 1996/3/1
- 言語 : 日本語
- 大型本 : 32ページ
- ISBN-10 : 4892386197
- ISBN-13 : 978-4892386190
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,138,144位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 14,838位絵本 (本)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2012年7月21日に日本でレビュー済み
夜の闇。妖艶なる闇。ミステリアスな闇。そんな闇の中。
眠りから覚め、活動を開始する者たちの躍動感ある物語だ。
秘密結社の儀式や魔女の秘薬製造現場に立ち会ったかの如し。
石の彫像の脈打つ音が響く。共にニタリと笑みを浮かべたい。
闇の深さを、そして恐れをも上回る闇の魅力を描いた名作。
眠りから覚め、活動を開始する者たちの躍動感ある物語だ。
秘密結社の儀式や魔女の秘薬製造現場に立ち会ったかの如し。
石の彫像の脈打つ音が響く。共にニタリと笑みを浮かべたい。
闇の深さを、そして恐れをも上回る闇の魅力を描いた名作。
2007年10月23日に日本でレビュー済み
とうとう出会った!
ウィーズナーの絵を遅ればせながら追いかけて、
やっと私のウィーズナーといえる作品に出会ったという気がした。
イヴ・バンティングの文章は、引きしまり抑制がきいていて、
いわずもがな緊張を高める。
ガーゴイル。
異形のものたち。
なんという圧倒的な悲しみと怒り、そして孤独。
なにゆえこれほどに醜く冷たい体をもたねばならないのか。
人間が彼らに課した務めは、あまりにも過酷で退屈な仕事。
夜を遊べ!声なき声であざけり騒げ!
ガーゴイル。
夜の闇にまぎれて集い、そこはかとないおかしみをたたえた無聊を
闇に溶かせ!
ガーゴイルのからっぽの目は闇にひらく。
ウィーズナーの絵を遅ればせながら追いかけて、
やっと私のウィーズナーといえる作品に出会ったという気がした。
イヴ・バンティングの文章は、引きしまり抑制がきいていて、
いわずもがな緊張を高める。
ガーゴイル。
異形のものたち。
なんという圧倒的な悲しみと怒り、そして孤独。
なにゆえこれほどに醜く冷たい体をもたねばならないのか。
人間が彼らに課した務めは、あまりにも過酷で退屈な仕事。
夜を遊べ!声なき声であざけり騒げ!
ガーゴイル。
夜の闇にまぎれて集い、そこはかとないおかしみをたたえた無聊を
闇に溶かせ!
ガーゴイルのからっぽの目は闇にひらく。