本書は、震災及びそれに伴う医療の行動指針、及び分析といった内容ではなく、タイトル通りの東日本大震災における南三陸町での医療活動の「記録」である。
南三陸町の歴史、地形、震災前の状況の補足や、各活動を系統立てて記載している訳ではないので、南三陸町や医療活動の知識がない者が読み進めるには、多大な情報量であることもあり分かりづらい点が多い。(例えば、公立志津川病院と公立南三陸診療所、二つの公立医療機関の存在など)
しかし、本書は実際の医療活動の記録である。
現実に行った行動の記録というリアルさ故に、活字媒体という制限があったであろう中からも、字数で収まりきれない、行間からあふれる、しかし、冷静な「想い」や「意志」までも受け取る事ができる。医療に関わる者にとっては、その中から災害医療における知識が数多く書かれている。
そこには憶測や推測、まとめでは感じ取ることができない、読んだ者それぞれが「考えていく」部分が多く含まれているのである。
器具も殆どない中での医療対応、ケア。感染予防対策。そして、支援がいつまでも継続しないことを見越した上で、最終地点として目指す地元医療機関の回復の為、震災からたった2ケ月後の5月14日には支援の完全撤退、つまり3月末には新たな支援の申し出を全て断り、かつ、医療従事者の雇用維持といった経営面までの決断も書かれている。
知識はあっても、日常の臨床では考えもしていない状況の中で、知能として対応していかれた記録。
医療に関わっていない方も、巻末エッセイ『「いのちを守る」ということ』から読み始める事をお薦めする。
−『守るべき安全は「自分」「患者」「周囲」その中でも「自分」の安全は最優先とされている。』
災害医療というカテゴリーは私の想像の中には全くなかった。「知」だけではなく、「智」の重要性を痛感する。
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いのちを守る: 東日本大震災・南三陸町における医療の記録 単行本 – 2012/2/1
被災地のひとつである南三陸町での地元医療関係者、国内外からの支援チームの医療活動の記録から、それぞれのチームが直面した問題やそれをどう克服していったのかを様々な立ち位置から詳述している。
- 本の長さ231ページ
- 言語日本語
- 出版社へるす出版
- 発売日2012/2/1
- ISBN-10489269763X
- ISBN-13978-4892697630
登録情報
- 出版社 : へるす出版 (2012/2/1)
- 発売日 : 2012/2/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 231ページ
- ISBN-10 : 489269763X
- ISBN-13 : 978-4892697630
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,450,561位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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