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少年児雷也 (杉浦茂ワンダーランド 1) 単行本 – 1987/10/1

4.8 5つ星のうち4.8 7個の評価

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ ペップ出版 (1987/10/1)
  • 発売日 ‏ : ‎ 1987/10/1
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 301ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4893510312
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4893510310
  • カスタマーレビュー:
    4.8 5つ星のうち4.8 7個の評価

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杉浦 茂
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上位レビュー、対象国: 日本

2013年5月1日に日本でレビュー済み
 子供時代に見た漫画では、「鉄腕アトム」や「鉄人28号」等の代表作が真っ先に頭に浮かびますが、
ユーモア漫画では山根赤鬼・青鬼の「よたろうくん」、前谷惟光の「火星の八ちゃん」、「ロボット三
等兵」を思い出します。

 そんな中にあって、どうしても忘れられない強烈な印象を持った漫画が杉浦茂の作品でした。
 ストーリーがシュールで登場人物も何が出てくるのかわからない奇想天外な内容なのですが、登場す
る怪物、空飛ぶ円盤、ロボットを描くデザイン画は、今では死語となっているサイケデリックなもので
非常に不思議な中にもユーモアが溢れています。
 これらの奇想天外な登場物は杉浦が戦前に映画館に通いアメリカの喜劇物や西部劇を鑑賞していた情
報から来ているようです。また、洋画家を目指した杉浦の絵を見ていると、たぶんにホアン・ミロ、フ
ランシス・ベーコン、ルネ・マグリット等のシュールレアリスムやキュービスムの影響を受けているよ
うに思えます。

 また、戦後の混乱期に杉浦自身が貧困のどん底にあり、洋画家を断念して漫画家の道に入り、取り敢
えずさつま芋を中心とした食料の確保に専念したうえでの執筆だったようですから、当時の子供達にと
って涎が出るような食べ物のオンパレードになっています。

 「少年児雷也」では、食べ物だけでも、ギョーザ、タンメン、カレーライス、アイスキャンデー、け
んちん汁、きりぼし大根、イカのまる煮、きんぴらこぼう、五円コロッケ、豆餅、あんころもち、のり
まき、いなりずし、かつドン、チョコレート等が次から次へと出てきます。
 「ドロンちび丸」では、まんじゅうを半分に割った片方を魔法の袋に入れると、元通りの一個のまん
じゅうに復元し、永遠にまんじゅうが食べられる「ふしぎまんじゅう」が出てくるのですが、主人公達
が「うまい、あまい」と食べている幼年ブックのこの漫画を見て、当時の子供達はゴックンと喉を鳴ら
して涎が垂れそうになったものです。
 作者の空腹体験から派生した漫画に当時の読者であった腹ペコ児童達は大いに共感して読める漫画で
した。

 とにかく、時代劇の中に空飛ぶ円盤、ロボット、キングコング、プロレスラー、ガトリング機関銃、
ペレスプラードのマンボ、大相撲の千代の山、飛行船、ひみつテレビ、バイキンク、スパルタカス、リ
リエンタール兄弟のグライダーを背負った怪人等が唐突に出て来て入り乱れるのですが、首をスパッと
切られても「ひゃあ〜、よせよ!」とか「おやばかちゃんりん、そばやのふうりん、とこやのしちりん、
わっはっは〜」とか「テケレッツノオッパッパ〜」等の言葉ではぐらかせられてしまいます。

 杉浦のアシスタントの斉藤あきらは後に赤塚不二夫のアシスタントになるのですが、杉浦漫画をパロ
ッて後に赤塚漫画に「レレレのおじさん」を登場させています。
 杉浦漫画も現代でも十分に面白い漫画ですが、戦後の漫画の黎明期に登場するには50〜60年程早すぎ
た先進の漫画だったように思います。

 後年、ペップ出版からは、「少年児雷也」「ドロンちび丸」「少年西遊記」「0人間・八百八だぬき」
「猿飛佐助」「太閤記」「モヒカン族の最後・水戸黄門漫遊記」が復刻されましたが、私の大事な宝物
になっています。
2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2013年4月15日に日本でレビュー済み
杉浦茂という漫画家は、私の少年時代は「三度の飯」とともにあるオモシロ元気のもとでしたが、近年ご存じな年齢層が減っているのが残念です。このかたは、戦後漫画界に屹立する巨人なのであります。

師であった田河水泡氏からして、まことに人を食ったところがありまして、本名の高見沢を Ta-Kawa-Mizu-Awa に分解して、字をあてて 田-河-水-泡。これがペンネームになるという頓知の人でありました。それと対照的に、杉浦先生は表面上あくまで、絵に描いたように謹厳実直。同じ門下に「サザエさん」の長谷川町子さんがいましたが、独自の境地を求めて模索の日々。

結局花開いた作風は、まるっこい造型を基本として、その中に面白さと奔放さが詰まっている。漫画の小籠包(しょうろんぽう)。奇想天外で、まるごと美味しい。ずいぶん、後年の漫画家に影響を与えました。赤塚不二夫氏の「レレレ」はその一例。知る人ぞ知る漫画界の巨匠であったのです。この全集を読まずして、戦後漫画を語ることなかれ。

なお、戦後の食料困窮期を反映して、作中にやたら食べ物が出てきます。「コロッケ五円の助」とか「おでんガンモの助」とか、あるいは新選組では「芹沢ハム」とか。登場人物が、甘いまんじゅうを食べるときの、口の独特の表現方法。口の片方が強調されて上がっています。これが、いかにも美味しそう。わたしら少年は、これだけでエクスタシーを感じたものでした。

杉浦茂作品で最も奇想天外、読者を驚倒させたのは:
ガマが、リラックスしたのかどうか、池でハラワタを洗って休憩します。そのあいだに、鳥が来てハラワタを食べてしまうというもの。こういう発想はできませんね。

郷愁にひたるのもよし、新しく発見するもよし、杉浦茂ワールドはワンダーに満ちているのです。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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