古い本だから最近の手ごろな入門書にしようかなと考えておられるならば
この一冊を読めばいいでしょう。
紙数は少し短めで哲学の部門や基礎知識の要点を簡潔明瞭にまとめてます。
難しい聞きなれない用語が登場しても大丈夫です。
歴史の流れでどのように意味が変化してきたも
少しの説明でうまいこと解説されてます。
例えば形而上学という言葉があります。
万学の祖と言われるアリストテレスの著作を整理したときに
自然を考えた内容の自然学(フィシカ)のあとに(メタ)置かれた一連の文書があり
編集上の都合で形而上学(メタフィシカ)と呼ばれていた。
中世を過ぎてからは自然の背後にある存在を問う、神や心など
感覚を超えた領域を扱う学問を形而上学と呼ぶようになった。
著者の山本さんは元々の意味を世界や物事の根は何か、どのようにあるのかできたのかを
考える内容だったと書かれてます。訳語である形而上は易経から来てるそうで
器の中身を考える世界だそうです。器を考えるのは形而下です。
哲学の用語は日本語で表現すると他の学問と比べて偉そうや凄そうな印象を持ちやすいけれど
そういう印象を持たせるようにしたのかなと疑います。
現代とは違い一般に知れてなく、哲学とはエリートが勉強する世界でしたからね。
わかりやすい用語だとかっこうがつかないと思われたのでしょう。
著者の山本さんはそういうかっこうとは距離を置かれてるようで好感を持ちます。
簡潔であり要点をとらえた明瞭な文章の流れは無駄や妙にダラダラした説明がない。
核を見抜いて言葉にして伝える知性が高いのでしょうね。
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