先日、この方の訃報を耳にした。残念である。
私はリアルタイムで読んだ世代ではない。例えば近い世代のつげ義春などを読み、面白いと思ったがその面白さは当時の読者が感じたものとは違うのだと思う。
永島漫画では、今を生きる若者の感情を描いたことがよく語られ、文にもなっている。私はその「リアル」から遠い。では何を面白がったのか?歴史的価値だろうか。当時と今の若者の感性の類似と相違だろうか。
つげの作品は私にとって淡々とする流れが心地よいのであり、それだけで十分である。思想的背景をいくつか学び、面白いと思ったが、それがなくてもつげ作品の面白さは変わらずに在った。
永島は淡々というよりは、ぼんやりである。ぼんやりとは全くの主観である。上手い言葉が見つからないのである。でもいいのである。この空気を人に説明する必要性を感じていなかったからである。今回レビューを書くにあたって、上記のようなことを書いてみたが、やはりその本質、つげでいうところの淡々については、わからないままである。思想や象徴などのウラの意味については考察も可能である。が、過ぎ去った当時の世界を、朝焼けの新宿の肌触りを感じることは不可能であると思うから、もう探すこともできないのである。作者がいなくなったから、本当に消えてしまったのである。でもかまわないのである。
これで、いいのだ。おそ松。
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漫画家残酷物語―シリーズ黄色い涙 (1) 単行本 – 2003/6/1
永島 慎二
(著)
漫画史上の記念碑的作品、あの不朽の名作が幻の原稿多数を含む初の完全復刻版として登場! ついに発見された幻の原稿 (既存のすべて単行本はトレス版によるもので、原稿は散逸したと言われていた)を含んだ完全版として、本作が初めて発表された貸本当時の雰囲気をそのままに残しながら、著者の漫画家生活50周年を迎えた2003年に新しい<定本・漫画家残酷物語> が誕生しました。 日本漫画史の金字塔、そして時代が、若者が熱狂した不朽の名作がここに完全復活を遂げました。これは漫画史にとって事件です。永島慎二漫画家生活50周年記念出版。ふゅーじょんぷろだくと創立21周年記念出版。
- 本の長さ324ページ
- 言語日本語
- 出版社ふゅーじょんぷろだくと
- 発売日2003/6/1
- ISBN-104893933647
- ISBN-13978-4893933645
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商品の説明
出版社からのコメント
2003年11月には「BSマンガ夜話」でも「漫画ではじめて自己を表現をしようとした人」として取り上げられ、近年ますます永島慎二の再評価が進んでいます。2004年に発行する続刊(2・3巻)を楽しみにお待ち下さい。
著者について
1937年東京生まれ。中学校を中退し様々な職業に就きながらも漫画活動を続ける。1952年、15才の夏に「さんしょのぴりちゃん」で漫画家デビュー。雑誌の連載、単行本執筆を経て1964年虫プロに入社。1966年に虫プロを退社後に再び漫画家生活に入る。他の作品に「フーテン」「若者たち」など多数。60年代より若者の圧倒的な支持を受け、当時住んでいた阿佐ヶ谷は“漫画の聖地”とまで言われた。
登録情報
- 出版社 : ふゅーじょんぷろだくと (2003/6/1)
- 発売日 : 2003/6/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 324ページ
- ISBN-10 : 4893933647
- ISBN-13 : 978-4893933645
- Amazon 売れ筋ランキング: - 429,793位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 229,069位コミック
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2005年7月8日に日本でレビュー済み
1960年代の漫画の黎明期に書かれた「漫画家残酷物語」は、太宰を髣髴とさせるような、若い漫画家達のやるせない青春を描いている。
コマ割は単純で絵もあまり上手くないが、極上の短編小説を読むようなストーリーにひきこまれる。
40年前の作品だが、青年達の不安な自我や葛藤、衝突による別れ、成長による諦観、現状への満足等の感情が織り成す人間模様は、青春の本質として、現代と比べてもほとんど変わっていないように思う。
酒場ではなく喫茶店に行き、ビールではなくウイスキーを飲む。そんな風俗の違いはあっても、彼ら青年達のまるで演じるような自己陶酔や韜晦は、誰もが一度は通る道なのである。
そんなやるせない青春の結晶がこの作品にある。読むほどに、痛くて、悲しくて、甘えに腹が立ったりして。マンガという表現が発展途上の青春の時代であったことと、永島の才能と嗜好が幸福な出会いをしたのだ。
生原稿が多数発見され、トレース版だけだった既刊本を編纂した復刻版。編集者の執念に頭が下がる。
コマ割は単純で絵もあまり上手くないが、極上の短編小説を読むようなストーリーにひきこまれる。
40年前の作品だが、青年達の不安な自我や葛藤、衝突による別れ、成長による諦観、現状への満足等の感情が織り成す人間模様は、青春の本質として、現代と比べてもほとんど変わっていないように思う。
酒場ではなく喫茶店に行き、ビールではなくウイスキーを飲む。そんな風俗の違いはあっても、彼ら青年達のまるで演じるような自己陶酔や韜晦は、誰もが一度は通る道なのである。
そんなやるせない青春の結晶がこの作品にある。読むほどに、痛くて、悲しくて、甘えに腹が立ったりして。マンガという表現が発展途上の青春の時代であったことと、永島の才能と嗜好が幸福な出会いをしたのだ。
生原稿が多数発見され、トレース版だけだった既刊本を編纂した復刻版。編集者の執念に頭が下がる。
2011年9月17日に日本でレビュー済み
著者の作品初購入。
短編10話が収録されており、いずれの話も漫画家や、それを志す者が主人公となってます。
著者略歴からも、うかがえると思いますが、著者は『漫画』というものをこよなく愛しており、それが、劇中の台詞であり行動に表れています。
しかし、『漫画愛』は伝わってきますが、話としての面白さとは別物で。
それと、本作は所謂
『私小説的漫画』ではありません。
主人公は著者自身ではないですし…。
そのあたりを勘違いなさらぬように。
今日の漫画文化の礎を築いた、偉大な先人達の1人である著者に御冥福を。
短編10話が収録されており、いずれの話も漫画家や、それを志す者が主人公となってます。
著者略歴からも、うかがえると思いますが、著者は『漫画』というものをこよなく愛しており、それが、劇中の台詞であり行動に表れています。
しかし、『漫画愛』は伝わってきますが、話としての面白さとは別物で。
それと、本作は所謂
『私小説的漫画』ではありません。
主人公は著者自身ではないですし…。
そのあたりを勘違いなさらぬように。
今日の漫画文化の礎を築いた、偉大な先人達の1人である著者に御冥福を。
2004年9月25日に日本でレビュー済み
私が所有しているのは小学館文庫版であることをあらかじめ断っておきます.
この漫画、タイトルに漫画家と含まれているとおり、ほぼ全て漫画家が主人公の一話完結の物語です.しかし、漫画家という特殊な職業の話でありながら不思議なほど主人公に共感できてしまいます.主人公たちの多くは「質の良い漫画を作りたい」「自分の表現したい作品を作りたい」と願っていますが、現実では「良い作品≠売れる作品」であり、精神的な葛藤があります.自分のやりたいことをやり続けることの難しさが痛いほどわかります.夢や希望を持って職業に就いたはいいが、満足できる仕事ができず思い悩んだ経験のある方は多いのではないでしょうか.そこに上手く折り合いをつけて生活していくことが「大人」ということでしょうが、そう器用に生きられないことを「青春」と言うのではないでしょうか.
若い人に永く読み継がれて欲しい作品です.絵もオシャレです.
この漫画、タイトルに漫画家と含まれているとおり、ほぼ全て漫画家が主人公の一話完結の物語です.しかし、漫画家という特殊な職業の話でありながら不思議なほど主人公に共感できてしまいます.主人公たちの多くは「質の良い漫画を作りたい」「自分の表現したい作品を作りたい」と願っていますが、現実では「良い作品≠売れる作品」であり、精神的な葛藤があります.自分のやりたいことをやり続けることの難しさが痛いほどわかります.夢や希望を持って職業に就いたはいいが、満足できる仕事ができず思い悩んだ経験のある方は多いのではないでしょうか.そこに上手く折り合いをつけて生活していくことが「大人」ということでしょうが、そう器用に生きられないことを「青春」と言うのではないでしょうか.
若い人に永く読み継がれて欲しい作品です.絵もオシャレです.
2004年5月31日に日本でレビュー済み
このシリーズもう絶対手に入らないと思って、近くの古本屋で3冊セット(朝日ソノラマのもの)8000円で買ってしまった。失敗した。
復刻で出てるのを知らなかった。別に読めればよかったのにわざわざ高い金を払ってしまった。買った当初は内容に大満足で高い金額を払ってよかったと思ったが、安い金額でこの内容ならもっと喜んだろう。ただそれだけの高値のつく作家の漫画であるということ、もちろんその面白さも比例しなければならない。でも今の若い人が読んで喜ぶものじゃない。コアな漫画ファンならわからないけど。ガロって聞いてわかる人ならお薦めです。
復刻で出てるのを知らなかった。別に読めればよかったのにわざわざ高い金を払ってしまった。買った当初は内容に大満足で高い金額を払ってよかったと思ったが、安い金額でこの内容ならもっと喜んだろう。ただそれだけの高値のつく作家の漫画であるということ、もちろんその面白さも比例しなければならない。でも今の若い人が読んで喜ぶものじゃない。コアな漫画ファンならわからないけど。ガロって聞いてわかる人ならお薦めです。