小学一年生のときに、私がはじめて読書感想文を書いた本である。もちろんうまく書けるはずもなく、困り果てたことと言い難い不思議な深い印象だけが残っているのだが、それから三十数年が経ち、もう一度読んでみた。
少し離れてひとり社会を俯瞰するクレーン男、夢みるレクトロの澄んだ顔、市民社会を象徴する十二人の市会議員、茫洋と果てしなく広がる海、勇ましく忠実なワシ、心の底から待ち望んだ大地のきいろい花、そして老いたクレーン男が去る最後。どれもあまりに懐かしく、そこに小学一年生の自分の姿が透けて見えるようだった。
そのときの深い印象とは何だったのだろう。今でも深い印象としか言いようがないが、それは人生、栄枯盛衰であろうか。クレーン男は私に人生の深淵を教えてくれたような気がする。
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クレ-ン男 単行本 – 2002/2/1
- 本の長さ172ページ
- 言語日本語
- 出版社エフ企画
- 発売日2002/2/1
- ISBN-104894192497
- ISBN-13978-4894192492
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商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
市長と大臣と12人の市会議員たちは、貨物の積みかえ用のクレーンをすえつけることに決めた。現場で働く青い帽子に羽を1本さした若い男は、このクレーンに惚れ込んでしまい…。批評精神とユーモアにあふれた物語。
登録情報
- 出版社 : エフ企画 (2002/2/1)
- 発売日 : 2002/2/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 172ページ
- ISBN-10 : 4894192497
- ISBN-13 : 978-4894192492
- Amazon 売れ筋ランキング: - 768,772位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2006年8月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2005年9月6日に日本でレビュー済み
とても好きな本の一つです。
ちょっとした寂しさとユーモラスとなんとも言えない
切ない気分になります。
あの結末のクレーン男の姿は今でも私の胸をうちます。
しかし、パロル舎の装丁は美しいです。
紙の素材が素敵です。
ざらざらの白ではないグレーの紙に印刷された文字と絵は
この作品によく似合っています。
そういう点でもものすごく好きな本です。
ちょっとした寂しさとユーモラスとなんとも言えない
切ない気分になります。
あの結末のクレーン男の姿は今でも私の胸をうちます。
しかし、パロル舎の装丁は美しいです。
紙の素材が素敵です。
ざらざらの白ではないグレーの紙に印刷された文字と絵は
この作品によく似合っています。
そういう点でもものすごく好きな本です。
2002年5月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「クレーン男」をまだ幼稚園生だった息子と一緒に読んだのは、かれこ
れ20年以上も昔のこと。幼稚園から借りてきた本でした。その時既に絶版
になっていたのですが、最近、再版されたことを新聞広告で読みました。
アマゾン書店に再版の「クレーン男」が入荷したら是非購入したいと
思っています。孤独ながらまじめで自分の仕事を愛する「クレーン男」との
再会を待ちながら・・・
れ20年以上も昔のこと。幼稚園から借りてきた本でした。その時既に絶版
になっていたのですが、最近、再版されたことを新聞広告で読みました。
アマゾン書店に再版の「クレーン男」が入荷したら是非購入したいと
思っています。孤独ながらまじめで自分の仕事を愛する「クレーン男」との
再会を待ちながら・・・
2016年2月16日に日本でレビュー済み
シャープでセンス溢れる絵と詩的なおとぎ話が日常にきっちりと根付いた形で繰り広げられ、どんどん引き込まれていきます。訳の矢川澄子さんの仕事も素晴らしくてやられっぱなしでした。舞台やキャラクターは地味ですが、とんでもない名作です。労働者で一市民である主人公がいとおしくて仕方ありません。タカやライオンなど動物のキャラクターにも魅せられ、豊かなイメージに満ちています。しかし、あくまでごくごく当たり前の生活がリアルに描かれているところがこの作品の凄いところです。一生涯の宝物になりうる本です。絵と文章が半々ですので読みやすく、テーマは深い。せつなくもあたたかい。
2012年3月21日に日本でレビュー済み
ヨーロッパのサッカー・チームのテーマソングじゃあないけど、クレーンオトコ君、君は一人ぽっちじゃあないってことだ。クレーンが何を指しているのかそんなことは別にどうでもいいことなんだけれど、レクトロとか牛飼い君なんかが、みんな去っていく中で、最後にワシ君がやってきたじゃないか、最後まで付き合ってくれたじゃないか。
最後には古くなったクレーンそのものが取り壊されることになってしまって、君は去ってゆくことになるけど、君を必要とする場所はまだまだきっとどこかにあるっていうことじゃないか、だから、気を落とすことなんかないんだよ。
最後には古くなったクレーンそのものが取り壊されることになってしまって、君は去ってゆくことになるけど、君を必要とする場所はまだまだきっとどこかにあるっていうことじゃないか、だから、気を落とすことなんかないんだよ。
2010年11月8日に日本でレビュー済み
クレーンで働くレクトロという男の人生。
社会から少し離れた場所で町を見下ろすレクトロの純粋。
ワシ、じゃがいも畑の友達、市議会議員、人生の暗喩が多く隠されているだろう、
どうしても理解できない、言葉にできないなにかが詰まって、ひしめいているすばらしい物語。
最後に少し寂しく終わり、なんとも深いところに連れて行かれる。
装丁や挿絵も美しかった。
社会から少し離れた場所で町を見下ろすレクトロの純粋。
ワシ、じゃがいも畑の友達、市議会議員、人生の暗喩が多く隠されているだろう、
どうしても理解できない、言葉にできないなにかが詰まって、ひしめいているすばらしい物語。
最後に少し寂しく終わり、なんとも深いところに連れて行かれる。
装丁や挿絵も美しかった。
2005年5月10日に日本でレビュー済み
たぶん高校生の頃に読んだと思う。私の持っている本はブルーが基調だったので、なんか違う本のよんに感じますが。しかしこんな凄い童話。今なかなかないですよね。多くの人に読んで欲しいです。