由緒ある刀剣で不可解な殺人が起こり・・・というお話。
以下のレビューでこの小説のサワリとD・K・ブロスターという人の短篇「超能力」のネタに触れるので読んでない人は読まないでください。
恥ずかしながら、赤江さんの小説を読むのはこれが初めてでして、背徳的、耽美的という話は聞いておりましたが、実際にその通りで、その耽美的な所に中毒性を感じました。また、平成に入ってなくなった昭和の雰囲気も感じとれました。推理小説としての意外性もあり、個性的で良く出来た作品だと思いました。
昔のイギリスで書かれたゴースト・ストーリーにD・K・ブロスターという人の「超能力」という短篇がありまして、内容は、色々な国の刀が飾ってある館で日本の刀剣を握った少女がその刀剣の魔力に憑かれ、周囲にいる人を切りつけるという気味の悪い話でしたが、昔から日本の刀剣にはそういう魔力があったらしいのが判ります。この作品もそういう刀剣を所蔵したが為に惨劇に見舞われた家族の悲劇に思えました。
あと、靖国神社が昔は刀剣を鋳造する為の所だったそうで、戦争で亡くなった人を埋葬するのに使われるのはそういう理由があったのかとか思いました。
同性愛、今でいうLGBTも出てきますが、この頃は異常で背徳的、国によっては犯罪だったせいか、却って魅惑的に描写されている様にも思えました。いかにもこの時代らしい雰囲気でした。
この人や山田風太郎氏は出来れば全集にしてほしいです。日影丈吉さんは全集になった事を鑑みれば不可能ではないかも。
刀剣の魔力で読ませる耽美ミステリ。是非ご一読を。
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オイディプスの刃 (ハルキ文庫 あ 11-1) 文庫 – 2000/6/1
赤江 瀑
(著)
- 本の長さ314ページ
- 言語日本語
- 出版社角川春樹事務所
- 発売日2000/6/1
- ISBN-104894567024
- ISBN-13978-4894567023
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登録情報
- 出版社 : 角川春樹事務所 (2000/6/1)
- 発売日 : 2000/6/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 314ページ
- ISBN-10 : 4894567024
- ISBN-13 : 978-4894567023
- Amazon 売れ筋ランキング: - 562,372位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,075位ハルキ文庫
- - 13,026位日本文学
- - 50,773位エンターテイメント (本)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2019年9月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2018年5月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
映画をみて、原作でストーリーをおぎなうために読みました。原作だけではイメージが作りにくいと思われます。しかし映画の出来が良いというわけではありません。
2018年9月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
オイディプスの刃。この印象的なタイトルを最初に意識したのは、1986年に映画化されたときで、最後に意識したのは、2012年に作者の赤江瀑が亡くなったニュースを見たときだったと思う。そして今やっと、僕はこの長年気になっていた小説を読了したのである。
とても読みやすいことに驚いた。パラパラめくってみると、漢字は多いし、「読みにくそう…」と思わずにはいられない本だ。実際、表現も凝りに凝っているし、ウネウネと流麗な比喩も多い。それなのに、これほど読みやすいのはどうしたことか。赤江瀑という作者の類まれな美質なのかもしれない。
内容は純文学のような、エンターテインメントのような…不思議な話なのだが、とにかくグイグイ読ませる。全体的に高雅な匂いを漂わせながら、でもときどき安っぽい展開もあったりして、やはり位置づけとしては「ミステリ」ということになるのだろう。が、そのように安易にジャンル分けできないところが魅力、という気もする。
こんな言葉が、妙に胸に残った。「知らなくても、知りあえる人間の結びつきを、駿介は大事にしてきたつもりだった。知らそうとしても、知らせつくせないものを人間はかかえている。知らすまいと思っても、知れてくるものもある。知ることよりも、わかりあうことの方を、駿介は選んだ」(P206)
とても読みやすいことに驚いた。パラパラめくってみると、漢字は多いし、「読みにくそう…」と思わずにはいられない本だ。実際、表現も凝りに凝っているし、ウネウネと流麗な比喩も多い。それなのに、これほど読みやすいのはどうしたことか。赤江瀑という作者の類まれな美質なのかもしれない。
内容は純文学のような、エンターテインメントのような…不思議な話なのだが、とにかくグイグイ読ませる。全体的に高雅な匂いを漂わせながら、でもときどき安っぽい展開もあったりして、やはり位置づけとしては「ミステリ」ということになるのだろう。が、そのように安易にジャンル分けできないところが魅力、という気もする。
こんな言葉が、妙に胸に残った。「知らなくても、知りあえる人間の結びつきを、駿介は大事にしてきたつもりだった。知らそうとしても、知らせつくせないものを人間はかかえている。知らすまいと思っても、知れてくるものもある。知ることよりも、わかりあうことの方を、駿介は選んだ」(P206)
2016年11月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
先日映画を観て読みたくなったので購入。以前探したときはめちゃめちゃ高くて諦めてましたがお手頃な価格で見つけられてやったです
2021年2月14日に日本でレビュー済み
赤江瀑の作品まで表紙をコミック的なイラストにするのはやめて頂きたい。本文を読めば作品のイメージにそぐわないことはわかるはずだ。出版業界も大変なのは理解出来ますが、小綺麗なイラストでオタクを釣る様なやり方はやめましょう。作者の美学に反する行為です。
2019年9月14日に日本でレビュー済み
まずは、先のレビュワー様にお礼を!
私も同感です。
最近やっとオンデマンドやアンソロジー収録などで復刊されてますが、是非とも全集をお願いいたします!
地方都市の素封家と美しい後妻、その屋敷に滞在中の若い研ぎ師。
そして、突然起こる惨劇。
物語は、妻の連れ子である次男の目線で進んで行きますが、彼は飽くまで進行役であり狂言廻しに過ぎません。
主役は正に「オイディプスの刃」です。
同性への憧憬、複雑な血縁関係に依る近親相姦的感情を刀剣や調香をモチーフに描いた赤江美学の代表格であり、耽美ミステリの嚆矢と言えます。
クライマックスは静謐にして妖美華麗、ちょっと奮えが来ます!
79年にこの作品を読み、中学生だった私はすっかり赤江先生の虜になりました。以来、新刊はもちろん、装幀違い、版元違い、アンソロジーまで赤江 瀑の名があればついつい買ってしまい、かなりのダブりもあります。
赤江ファンはこのタイプが多く、漫画家の辻村弘子さんが同じことをお書きになってました。
確かに今では会話文など少し古く感じるかも知れませんが、嵌まったら最後、すべての作品を読まずにはいられなくなると思います。
若いファンが増えれば、全集刊行の可能性も高くなりますよね😆
河出書房新社様、よろしくお願いします!
私も同感です。
最近やっとオンデマンドやアンソロジー収録などで復刊されてますが、是非とも全集をお願いいたします!
地方都市の素封家と美しい後妻、その屋敷に滞在中の若い研ぎ師。
そして、突然起こる惨劇。
物語は、妻の連れ子である次男の目線で進んで行きますが、彼は飽くまで進行役であり狂言廻しに過ぎません。
主役は正に「オイディプスの刃」です。
同性への憧憬、複雑な血縁関係に依る近親相姦的感情を刀剣や調香をモチーフに描いた赤江美学の代表格であり、耽美ミステリの嚆矢と言えます。
クライマックスは静謐にして妖美華麗、ちょっと奮えが来ます!
79年にこの作品を読み、中学生だった私はすっかり赤江先生の虜になりました。以来、新刊はもちろん、装幀違い、版元違い、アンソロジーまで赤江 瀑の名があればついつい買ってしまい、かなりのダブりもあります。
赤江ファンはこのタイプが多く、漫画家の辻村弘子さんが同じことをお書きになってました。
確かに今では会話文など少し古く感じるかも知れませんが、嵌まったら最後、すべての作品を読まずにはいられなくなると思います。
若いファンが増えれば、全集刊行の可能性も高くなりますよね😆
河出書房新社様、よろしくお願いします!
2009年7月9日に日本でレビュー済み
赤江瀑の才能が絢爛豪華な花を開いた傑作長編。あらすじはアマゾンさんのブリーフィングに譲るとして、特に言いたいのは、(1)主人公の研ぎ師に対する同性愛的な情念(あからさまには一切語られない)(2)彼の行方不明になる弟の切ないほどの愛憎 (3)作者と弟の示す尋常でない詩歌の才能 である。それらが単なる耽美文学に終わらない高貴な文学的芳香を放つ。三島由紀夫も生きていれば嫉妬したのではないか?この傑作が絶版?再販を希望します。
2004年6月5日に日本でレビュー済み
日本刀と香水。そしてむせ返るような血の匂い。
ある暑い夏の日、日盛りの庭で、若き砥ぎ師が殺された。
その場で自殺した母、後に割腹自殺した父。
遺された大迫家の三人の息子たちはその後、それぞれの道を歩む。
兄は母と同じ調香師に。
弟は駿介と引き離された後、家を出たまま行方不明に。
そして駿介は京都の夜の町に身を埋める。
やがて運命の糸に手繰り寄せられた三人は再び巡り合う。
しかし、それは新たな悲劇の始まりだった。
一本の刀と、ラベンダーの香り。
あの日大迫家で起きた惨劇は、一体なんだったのか?
そして、兄と同じ香り、同じ名前の香水を調香した「彼」は一体何者なのか?
怒涛の急展開とラベンダーの香りに酔いしれて欲しい。
ある暑い夏の日、日盛りの庭で、若き砥ぎ師が殺された。
その場で自殺した母、後に割腹自殺した父。
遺された大迫家の三人の息子たちはその後、それぞれの道を歩む。
兄は母と同じ調香師に。
弟は駿介と引き離された後、家を出たまま行方不明に。
そして駿介は京都の夜の町に身を埋める。
やがて運命の糸に手繰り寄せられた三人は再び巡り合う。
しかし、それは新たな悲劇の始まりだった。
一本の刀と、ラベンダーの香り。
あの日大迫家で起きた惨劇は、一体なんだったのか?
そして、兄と同じ香り、同じ名前の香水を調香した「彼」は一体何者なのか?
怒涛の急展開とラベンダーの香りに酔いしれて欲しい。