あっけなく終わってしまった青春の日の甘くほろ苦い断章。
橇遊びですべりおりる、つかのまのたわむれ。
主人公は一緒にソリに乗っているナージャに、恐怖、忘我の頂点で囁く。
「わたしは、あなたを、愛しています。
きわめて短い物語なのに、静かに胸に染みてくる。
素敵な絵、一層楽しみを増してくれるだろう。
解説を読んで、このなんとも美しい絵を書いた画家ユーリー・リブハーベルが、モスクワ音楽院のピアノ科教授ゴルノスタエヴァのパートナーというのに驚いた。（訳者の表記はゴルナスターエヴァ）ゴルノスタエヴァ、知る人ぞ知る日本の多くのピアニスト育ての親である。聴覚芸術と視覚芸術のマスター同士のパートナー！
同じ画家の挿絵がついた「大学生」も収録されている。「たわむれ」と「大学生」はチェーホフの作品の中で、もっとも明るいものだ受け取っている、とこの画家はいう。
チェーホフ・コレクションのシリーズ５巻として刊行されている別の画家イリーナ・ザトゥロフスカヤによる書籍「大学生」と比較するのも一興かもしれない。
ユーリー・リブハーベルの絵で読むと、「大学生」、何故かずっと明るい作品として読めてくるように思えるのは気のせいだろうか。
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