本書は、全体を通じて、「自分で考える力」の重要性・その醸成法を解説している。
例えば、情報については、
「良質の情報にアクセスする人がかしこい人であり、劣化した情報に振り回される人がおろかな人、ということになります。また、リアリズムと合理主義が先で、最後に精神力を持ってくる人がかしこい人であり、最初に精神力を持ってくる人がおろかな人なのです」(p.35参照)
のようにまとめており、言い換えれば、「良質の情報にアクセスする人」=「自分で情報の優劣について検証できる人」になることが「かしこい」と言っている。このことはあとがきの項で、
「簡単に人の言うことを鵜のみにせず、必ず裏を取ったり、批判的な意見にも耳を傾けながら、常に自分の頭で考えるべきです」(p.206)
という記述にも繰り返されている。
また、具体的な能力向上法として、
「まず民事訴訟法を学ぶことをおすすめします。(中略)単純な事件なら弁護士に依頼しなくても自分で裁判を起こせるだけの力をつけておくのです。(中略)相手が弁護士であれ、医師であれ、会計士であれ、なにもわからないのですべてお任せします、という依頼者が一番おろかな人なのです。素人は素人なりに研究しておいて依頼するのがかしこいやり方なのです」(pp.82-83)
なども挙げており、実践的である。
さらに、
「脳は「仮説-検証」という機能を持っているということです。
私たちが思考し発想するというとき、脳はその神経回路を使ってさまざまな仮説を立ててそれを検証しているのです。そして、検証に成功するとドーパミンという快感を生じる神経伝達物質が分泌されて、人は満足感や達成感を得るのです。子どもがゲームに夢中になるのはこうした原理からなのです」(p.113)
のように、脳の性質にも触れており、勉強法だけでなく、一般に興味のある内容も展開されている。
以上のことから、本書は、「自分で考える力」の重要性・その醸成法を知る上で、有益な一冊である。
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勝ち抜く大人の勉強法 (新書y 24) 新書 – 2001/2/1
中山 治
(著)
- 本の長さ206ページ
- 言語日本語
- 出版社洋泉社
- 発売日2001/2/1
- ISBN-104896915178
- ISBN-13978-4896915174
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商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
良質で役に立つ情報を集める方法、本・雑誌の上手な活用法から柔軟な発想法、本物の「決断力」をつける方法まで、知識の中に巧みに織り込まれた情報操作に騙されない「したたか系」の養成をめざした勉強法を紹介。
登録情報
- 出版社 : 洋泉社 (2001/2/1)
- 発売日 : 2001/2/1
- 言語 : 日本語
- 新書 : 206ページ
- ISBN-10 : 4896915178
- ISBN-13 : 978-4896915174
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,668,426位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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