ノンフィクションライターによる宝くじ創業史。現在は鬼籍に入ってしまった当初関係者たちによく取材していて、当時の興奮が伝わってくる。3時間くらいで読める本。
戦費調達の最終手段として始まった宝くじの前身、勝札。郵便貯金が戦時体制の賜物であることは知られているが、宝くじも戦中戦後の政府の資金調達を担っていたことは知らなかった。郵貯対比では財源効果は限られるものの、「不浄のカネ」の取扱を勧業銀行のビジネスとして企画し、実現した主人公たちの気迫やアイデアには圧倒された。
江戸時代の富くじは博打と同列に近く、寺社勧進の為には必要悪と考えられながら、時に庶民の射幸心を煽りすぎ、禁止されることもあった。それが大戦最終盤で日本政府による勝札として実現し、猛烈な空襲下でも大きな反響を呼ぶ。戦後はインフレ対策や復興対策として、終戦直後から宝くじに衣替えしつつも再開され、やがて政府が手を引いた後は現在の全国自治宝くじの姿を整えていく。空襲下でも闇市の時代にも売り捌き人たちは街頭で庶民に夢を売り・・・と、こんな歴史があったんだ、と思うと、従来よくわからなかった有楽町チャンスセンターの行列の光景も、少し理解できた。
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
宝くじ戦争: 戦後の日本を救ったのは宝くじだった (新書y 131) 新書 – 2005/3/1
大山 真人
(著)
- 本の長さ221ページ
- 言語日本語
- 出版社洋泉社
- 発売日2005/3/1
- ISBN-104896919025
- ISBN-13978-4896919028
この著者の人気タイトル
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
登録情報
- 出版社 : 洋泉社 (2005/3/1)
- 発売日 : 2005/3/1
- 言語 : 日本語
- 新書 : 221ページ
- ISBN-10 : 4896919025
- ISBN-13 : 978-4896919028
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,046,993位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
カスタマーレビュー
星5つ中3.4つ
5つのうち3.4つ
3グローバルレーティング
評価はどのように計算されますか?
全体的な星の評価と星ごとの割合の内訳を計算するために、単純な平均は使用されません。その代わり、レビューの日時がどれだけ新しいかや、レビューアーがAmazonで商品を購入したかどうかなどが考慮されます。また、レビューを分析して信頼性が検証されます。
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2014年11月25日に日本でレビュー済み
非常に面白いです。かつディープ。
戦後の宝くじ販売におけるキーマンを列挙しているところは
緻密な研究というか、取材をされているのがわかります。
大抵どこかで聞いたようなものということがあるものですが、
馴染み深い宝くじなのに、その変遷をしる人は驚くほど少ない。
そこで、戦前、さらに江戸から宝くじを掘り起こして現代に
向かってくるところは、歴史の教科書のような作りです。
「貧乏人の税金」といわれる宝くじ。
確かに理論値からすれば、圧倒的に不利なもの、資産運用という観点では明らかに「不適合」
です。しかし、なぜそれだけ非効率なものが、生き残っているのか。
理屈じゃないところにこの宝くじの魅力があるのかもしれない。
戦後の宝くじ販売におけるキーマンを列挙しているところは
緻密な研究というか、取材をされているのがわかります。
大抵どこかで聞いたようなものということがあるものですが、
馴染み深い宝くじなのに、その変遷をしる人は驚くほど少ない。
そこで、戦前、さらに江戸から宝くじを掘り起こして現代に
向かってくるところは、歴史の教科書のような作りです。
「貧乏人の税金」といわれる宝くじ。
確かに理論値からすれば、圧倒的に不利なもの、資産運用という観点では明らかに「不適合」
です。しかし、なぜそれだけ非効率なものが、生き残っているのか。
理屈じゃないところにこの宝くじの魅力があるのかもしれない。