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私は猫ストーカー 単行本 – 2005/4/1
- 本の長さ125ページ
- 言語日本語
- 出版社洋泉社
- 発売日2005/4/1
- ISBN-104896919114
- ISBN-13978-4896919110
商品の説明
抜粋
猫は昼間、なにげなく家から出てゆきますが、いったいあれはどこへ行っているのでしょう。路地裏の、そこだけ開けたコンクリの駐車場に腹這いになって寝ている猫や、家を壊して平たく整地されたまま放置され、草ぼうぼうになってしまった空き地になぜか集まってじーっとしている猫を見ると、この猫たち、外にいるからといって野良とは限らず、どこかの飼い猫かもしれないなあと思ってしまうのです。
私が道ばたで会う猫は、たまたまそこにいただけであって、そこは永住の地ではなく、いつも移動の途中であるといえます。別の場所からここまで来て、また思い出したようにどこかへ立ち去ってしまうのです。外にいる猫をいくら撫でても撫で足りないのは、こんなふうに、猫には始まりと終わりが希薄な、独特の時間があるからのようにも思えてなりません。
もしかして飼い猫は、外に出かけたとき飼い主には見せたことがないような、あられもない格好をしていたりするのかもしれません。私はそれを知りたくて、町にいる猫を探してあとをつけてみることにしました。そうです、私は猫ストーカーなのです。
なぜ、このような“活動”を始めたのかというと、いまをさかのぼること三年ほど前、友人が子猫のもらい手を探しているというので、その気もないのに友人宅へ伺って猫を見せてもらったことがきっかけでした。
そこで生後一ヶ月の子猫たちをながめているうちに、私の中の眠れる母性が目覚めてしまったのです。この日、友人宅のガレージでひょこひょこ歩きまわっている、綿ぼこりのように小さなあやうい生きもの、それでいて一人前に獣のしぐさをしている子猫たちを見てしまってからというもの、私は猫のことなら何時間でも話せるくらい、猫を追い求める感情があふれ出してしまいました。
こうして、外を歩いてる猫のあとをつけてみたいという欲求が高まりをおさえきれずに、私の猫ストーカー生活は始まりました。
猫を探し歩いていると、ときおり“猫おばさん”にも出会います。しかし、話しかけてみると、猫おばさんはかなりの確率で無口です。彼女たちは野良猫にごはんをあげまくることが日課なので、猫の苦手なご近所の方から、いぶかしがられることも多いようなのです。
そこで、じつは私も猫好きだと話すと、おばさんの表情がほころび、猫の話を少しずつしてくれます。私もいつか猫おばさんになるのかなあ。少し前なら「猫の人」とくくられることを避けていたのに、この際、猫おばさんと呼ばれてもかまわないと思ってしまうくらい、私を引きつける猫の魅力って一体どこからくるのだろう。
ずっと猫をながめていたいという気持ちが尽きることなく、メモ帳とカメラをたずさえて、町に出て猫のあれこれを追跡する自分がいることが不思議でなりません。
三十路をすぎたひとり暮しの私が猫に夢中だなんて人に話すと、「なにかと引き換えに猫に愛情を注いでいるのでは?」という決まり文句が、十中八九かえってきます。
数ある生き物の中でも、とりわけ「女と猫」という組み合わせがそのように捉えられてしまうのはなぜなのか、とても疑問に思うのですが、それもまた、犬のように門番も人命救助も麻薬捜査もできないのに、人の心の奥底までをも魅了する、猫の魔力のなせる技なのだと思います。
私は普段、イラストレーターをしています。猫の学者でもないし、手練手管の猫の達人でもありません。というわけで、あたりまえですがここに書いたことが、すべて正しい猫の生態であるとは限りません。ストーカーをしていたつもりが、うっかり猫と交流してしまっているところもありますが、猫のあとを追って発見したたくさんの出来事を、都会の路地をめぐるかのごとく、わくわくして読んでもらえたらうれしいです。
えっ、一体どこまで追いかけてったのかって? 大丈夫、猫はそんなに遠くまでゆきませんからね。
著者について
一九六六年、三重県生まれ。名古屋造形芸術短期大学卒。デザイン事務所勤務および現代美術家としての活動を経て、現在はイラストレーター。NHK│BS「こころがこどもになる」オープニングタイトルのアニメーションや、リビングデザインセンターOZONEで行われた「日本人とすまい・家事」展のイラストレーションを手掛けるなど、多方面で活躍中。また、エッセイストとして『relax』『STUDIO VOICE』『modern juice』で執筆。古本関係の専門誌に連載を持つなど、古書にも造詣が深い。
登録情報
- 出版社 : 洋泉社 (2005/4/1)
- 発売日 : 2005/4/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 125ページ
- ISBN-10 : 4896919114
- ISBN-13 : 978-4896919110
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,101,337位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 30,764位エッセー・随筆 (本)
- - 97,601位科学・テクノロジー (本)
- - 136,615位暮らし・健康・子育て (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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これから猫ストーカーを始める方にはおすすめの入門書。
イラストもかわいい。
項目を見るだけで、あなたも読みたくなる。・・ハズ。
めぼしい“標的”を見つけるには
猫ストーキングに適した装い
秘伝! 猫に取り入るテクニック
これだけは守りたい猫ストーカー七戒
著者の猫に対する、5歩も10歩も置いた愛情。
これは猫を愛するすべての人が見習いたい心がけです。
ベタベタせず、お互いのテリトリーを決して侵さず
猫ストーカーの道を究めるべく考え抜かれたドラスティックな行動。
うむー深い。・・・深い。
べたべたしたい私は猫飼いには向かないと改めて思い知った
一冊でもありました。
ハルミンさんのは広くて薄い、伊沢さんのは錐のように深い。でもハルミンさんの薄さって、猫好きならではって感じがします。猫が好き、生き物が好き、この世の中が好きという内心に一枚ベールをかぶせたノリが猫好きのツボをくすぐりますよね。
じゃあなぜ三点かというと、もうそれはページ数の割に値段が高いという一点に付きます。後から出た「帰ってきた猫ストーカー」と合わせて一冊にしてくれないかしらん。
道路で脚を広げて体を舐めている猫。
陽だまりの中で気持ちよさそうに眠っている猫。
そんな猫たちにどこからともなく忍び寄るストーカーの影…
ある時は、物陰に隠れて猫を追う。
ある時は、さりげなく手帖に書き物をする。
ある時は、近所の猫おばさんから情報を収集する。
ある時は、ぱちぱちと瞬きをしながら猫に迫る。
そんな「猫ストーカー」への入門として絶好の書です。
表紙の黒猫の写真も刺激的です。
各章にある写真も地面すれすれのアングルからのショットが満載です。
あれ、このレヴューの文章の内容、すこしやばくない?
いえいえ、猫への愛情がたっぷりとあふれた本書。
これを読むと、きっとこころがふわふわの猫の毛で優しく包まれますよ。
安っぽい本、中身もイマイチ。。。
読み始めは、うんうん、そうよね〜なんて思いながら読んでいたけど
中盤辺りから、ハッキリ言って飽きました!
一緒に買った、南里さんの「猫、ただいま留守番中」の方を先に読んだのだけど
あちらのほうが、面白かったです。
猫が出没する場所へ散歩して、半野良の猫たちとふれあうのみというエッセイだった。
だからといって地域猫としての取り組みとか餌やり問題に触れるわけでもなく。
写真も少ないしね。
不審者に見られないようにフォローしてみたり、話しかけてみたりと努力はしているようですが。
こんな内容だったら素人のブログなんかで十分なので、あえて本として書く意味がわからなかった。
かわいい猫の写真集か、猫の飼い方の実用書でも買ったほうがいい。
触れなくても、近寄れなくても、写真さえなかなか撮れなくても、
ありのままの猫を愛する、というドライな猫好きにはおすすめ。
私はというと、猫語会話を練習中。もっと近づきたい!撫でなでしたい!もふもふしたいー!
というウェットな猫好きなので、著者のあくまで距離を置いた猫との接し方にちょっと物足りなさを覚えた。
本書は、けっして怪しい本ではない。猫好きの著者が、町で見かけた猫のあとをつけていってみるという、猫エッセイなのだ。
猫好きの人なら、一度はやったことがあるはずだ。目的ありげに急いでいる猫もいれば、ただぶらぶらしているだけの猫もいる。そのあとをついていくのはとても楽しい。
本書では、そういった猫ストーカーのテクニックを紹介し、さらには実践編と進んでいく。東京都内の各地、さらには猫の聖地・マルタ島にまで行ってストーキングを敢行するのである。
しかし、内容がいまいち物足りない。どのエピソードも薄いのだ。猫ストーカーを名乗るなら、もっとディテールにこだわり、どこまでも尾行していくくらいの気概を見せてくれないと。
続編に『帰って来た猫ストーカー』(2008年)がある。
著者のネコストーカー記録は確かに面白く、心があったかくなるものだったのですが、いささか収集ケースが少なすぎましたね。紙質も悪くネコの写真も白黒で見づらくて、ネコ好きとしては欲求不満(笑)。
でも、猫ストーカー記録のつけかたはマネしたいなって思いました。ネコポイントをこんなふうにマップにして写真を添付して、マニア同士で交換したら楽しそう…!!