本書は、平成六年から八年にわたって北海道新聞に連載されたコラムに幾章か加筆して、平成八年に新潮選書として出版された「人生の価値について」の改訂新版である。
各章は、長くて二、三ページなので一章ごとに読み切るのにそれほど無理はない。全百四章を五部に分けて配している。著者自身は、必ずしも第一章から読み進むことはない。気軽にどの章から読んでもよい。断章集だ、と断っている。
内容はギリシャ哲学、マキャベリ、韓非子、ニーチェ、三島由紀夫、インドのカースト、ショーペンハウエル、など幅広い。読者はきっとそれらの書物を読んでみようという気になるであろう。
個人的には「人生の深淵について」のほうが読了に時間がかかった。どちらの本も読んで期待に背くことはない。
新版のまえがき、旧版のあとがきを著者自身が、解説を川口マーン惠美氏が書いている。
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