40年を超えるミュージックシンセサイザの歴史の中で、アマチュアは最初期からその発展の原動力であったと言っても過言ではありません。
70年代半ばから80年代前半にかけては、様々な雑誌や書籍で取り上げられ、当時のアマチュアは飽食状態ともいえるほどの情報に接することができました。
その後、制御系・音源系があいついでデジタル化され、「マイコン」が「パソコン」としてハードウェア的にはブラックボックス化してゆく中で、我が国でのアマチュアの出番はもっぱらDTMによる打ち込み演奏に力点が移り、シンセサイザという楽器を自作しようとするのは少数のマニア層だけだと思われてしまい、いつしか自作に関する出版物は出なくなってしまいました。
しかし、インターネットがつながると、世界にはまだまだシンセサイザの自作に情熱を燃やすアマチュアがおり、中でもアナログ式にこだわる仲間がたくさんいることに互いに気付きました。
本書の著者もそうしたネットコミュニティで早くから活躍してきたアマチュア自作派の一人であり、なおかつ電子工学について専門教育を受けた人でもあります。
こうした背景をもつ著者が、自ら実際にリリースし、何人もの自作者の意見を反映させながら練り上げられた「Analog2.0」という実在のアナログシンセサイザ自作キットをベースに解説する本書には、まったくの初心者から上級者まで、だれにも必要な情報が確実に網羅されています。
特に、アマチュアのための入門書として口当たりのよい文章やイラストなどの表現が多用しつつ、説明そのものを安易に丸めたりごまかしたりせず、むしろ教科書的な正確さできちんと説明している点で、単にマニアックな読み物ではなく、技術書としての価値を持っていると評価できるでしょう。
初版には、やはり校正もれと思われる誤記が散見されますが、著者が主催するAnalog2.0サポートコミュニティサイトで読者からのフィードバックが公開されており、併せて参照するだけでなく、コミュニティに参加して議論を深めることもできるのが、70年代からの進歩です。
デジタルでなくアナログであること。
ソフトウェアではなくハードウェアであること。
電子書籍ではなく印刷物であること。
これらを「いまどきアナクロニズムではないか」と思う向きにこそ、一度手にとってもらいたい一冊が、ここにあります。
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
達人と作る アナログシンセサイザー自作入門 単行本(ソフトカバー) – 2011/2/25
岩上直樹
(著)
ソフトシンセではなく、“本物”のアナログシンセを作ろう! 超ロングセラー『大人の科学マガジン別冊 シンセサイザー・クロニクル』(学研)付録のアナログシンセSX-150の設計や、ISO/IEC MPEG-4 Audio標準文書の作成に参画した著者が、「どう作る?」「どう使う?」「なぜ動く?」の3つの疑問に答えながらアナログシンセの作り方をイチから伝授します。必要なのは安価なパーツと好奇心だけです。
- 本の長さ292ページ
- 言語日本語
- 出版社ラトルズ
- 発売日2011/2/25
- 寸法18.2 x 2 x 23.4 cm
- ISBN-104899772823
- ISBN-13978-4899772828
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ: 1 / 1 最初に戻るページ: 1 / 1
登録情報
- 出版社 : ラトルズ; 初版 (2011/2/25)
- 発売日 : 2011/2/25
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 292ページ
- ISBN-10 : 4899772823
- ISBN-13 : 978-4899772828
- 寸法 : 18.2 x 2 x 23.4 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,149,906位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
著者の本をもっと見つけたり、似たような著者を調べたり、おすすめの本を読んだりできます。
カスタマーレビュー
星5つ中4.6つ
5つのうち4.6つ
8グローバルレーティング
- 星5つ星4つ星3つ星2つ星1つ星5つ82%0%18%0%0%82%
- 星5つ星4つ星3つ星2つ星1つ星4つ82%0%18%0%0%0%
- 星5つ星4つ星3つ星2つ星1つ星3つ82%0%18%0%0%18%
- 星5つ星4つ星3つ星2つ星1つ星2つ82%0%18%0%0%0%
- 星5つ星4つ星3つ星2つ星1つ星1つ82%0%18%0%0%0%
評価はどのように計算されますか?
全体的な星の評価と星ごとの割合の内訳を計算するために、単純な平均は使用されません。その代わり、レビューの日時がどれだけ新しいかや、レビューアーがAmazonで商品を購入したかどうかなどが考慮されます。また、レビューを分析して信頼性が検証されます。
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
- 2014年4月15日に日本でレビュー済みAmazonで購入星ひとつにしてましたが、その後PDF貰えるようになったので星5つに変更します。
ラトルズの本はラトルズのサイトから買うとPDFがもらえるキャンペーンをやってるのにアマゾンから買ってしまいました。アマゾンから買ってもPDFがもらえるなら星5つなんですが―。
- 2014年4月3日に日本でレビュー済みAmazonで購入分析や設計の入門書を読み終えても
そこから実際に何をどう作ったらいいか困ったときにオススメです。
シンセサイザーが大好きだと尚更楽しいです。
でもシンセサイザーに興味がない人が買うわけがないので、
魅力についての内容は少々煩わしく感じました。
が、それもこの本の魅力でしょう。
- 2012年12月29日に日本でレビュー済みAmazonで購入すばらしい!
志だけで出版された専門書。ネットがいくら発達しても、こういう本には叶わない。
いつか自分の手でシンセを、という夢を叶えてくれるかもしれない夢の書籍。
- 2011年3月7日に日本でレビュー済みこの時代にアナログシンセの自作本が刊行されたことが奇跡に思えます。
日本でアナログシンセ自作本が出るのは30年ぶりくらいではないでしょうか。
著者は自作シンセ界?で有名かつ実績のあるganさんです。
■ターゲット読者
アナログシンセサイザーがどんなものであるかわかっていること(操作方法やVCOをはじめとする各部の機能の理解)
電子工作について多少は経験があること
回路図は読めなくても何とかなる(勿論わかっていた方がベター)
■書籍概要
著者が中心となってコミュニティベースで製作をされているAnalog2.0というアナログシンセの自作キットについて、丁寧に解説を加えながら作業を進めるというスタイルです。
ケース加工からはじまり、電源ユニット、VCO、VCF、VCA、エフェクタ系(リングモジュレータなど)、付録でMIDI-CVコンバータまでの制作。数式を交えた理論的な解説も加えられています。
最終的にはパッチングが可能なアナログシンセの音源部が完成します。
もともとインターネットのコミュニティが発端なので、最新情報や製作者同士の情報交換を得るため、書籍とともにAnalog2.0のWebサイトも活用しながら読むことが推奨されています。
■メリット
コミュニティで実績のあるキットをもとに製作が進みますので、電子工作初心者であっても完成することができそうです。
■デメリット?
鍵盤などの楽器的なコントローラ部は製作に入っていません。完成した際に演奏するためには別途、CV、GATEを発生させる必要があります。ちなみにアナログシーケンサの自作は内容に含まれています。
結論として、アナログシンセマニアなら作ろうが作るまいが即買いをお勧めします。
電子楽器に限らず一般に電化製品がブラックボックス化する中で、このような自作本は社会的にも意義あるものだと考えます。