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バートルビー―偶然性について [附]ハーマン・メルヴィル『バートルビー』 単行本 – 2005/7/1
- 本の長さ205ページ
- 言語日本語
- 出版社月曜社
- 発売日2005/7/1
- ISBN-104901477188
- ISBN-13978-4901477185
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登録情報
- 出版社 : 月曜社 (2005/7/1)
- 発売日 : 2005/7/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 205ページ
- ISBN-10 : 4901477188
- ISBN-13 : 978-4901477185
- Amazon 売れ筋ランキング: - 450,630位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2006年9月26日に日本でレビュー済み
原光によるやや時代がかった翻訳でも読めるが、本新訳は、その反時代性において誠に文学のあるべき姿をうかがわせる。"潜勢力"なるアガンベンの御託はどうでもよいとも言える。男も女もビジネス的実践によって他者を手段としてのみ扱うことに痛痒は愚か、何の疑問も抱かない。政治家は勿論、一般民衆も勝ち馬に乗ることだけを考えている。価値観は多様化などしていない(「多様な雇用形態を国民は求めている」というのがフリーター容認の政治家の、そして経営者のお言葉だ)。ワーキングプアなどという1日10数時間労働して年収が百数十万円などという者がうなるほどいるのだ。そんなネオリベ経済主義の世界で、バートルビーの存在は異形の姿を呈する。資本にとって、こんな男はクビにすれば済むことだ。しかし、文学の力は、そうあえていえば"潜勢力"としてのみ現れる。それゆえ不穏なのだ。カフカやゴーゴリなどを思わせるとともに、なぜか先年亡くなったアレクサンドル・ジノヴィエフの『酔いどれロシア』が想起されてならなかった。蜂起には遠いが、放棄もまた革命的なのかもしれない。
2008年2月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
辺見庸の著作を読んでいて、メルヴィルの『バートルビ−』に興味を持ちました。新たに翻訳された小説は極めて興味深かった。「しないほうがいいのですが」という言葉を重ねることによって最後は命を落とす青年バートルビーの存在は、どうしても語り手(バートルビーの雇用主)と同じ視線で読んでいくと理解不可能な存在です。この雇用主は一般的なレベルで言えばかなりの好人物ですが、バートルビーは前述の言葉を繰り返します。正直言って、アガンベンの論考はよく分かりませんでした。むしろ翻訳者たる高桑氏の論考で紹介されるデリダの抵抗に関する考えは比較的に腑に落ちます。世の中、勝ち組・負け組みなどという醜悪極まりない言葉が流行ったり、自分とその周辺さえ良ければ他には関心を持たない、いや、持たない振りをする風潮がすっかり根を下ろしていますが、善と悪、真実と事実、誠実と不誠実、可か否などという概念の中間に位置したものに根拠を持つ存在(バートルビー)に今を生きる我々にとって相当に重要なヒントがあるように思われて仕方がありません。この本を読んですかさず埴谷雄高の『死霊』を読み返しています。実体と虚体の間…。もう一度じっくり読みたいと思います。