ウィルバーの広大な理論を上手に纏めてレビューなど書けるはずもないほど、タイトル負けしていない「万物の理論」
について1冊で網羅されています。
誇大妄想、という批判もあったというのは頷けるくらい、その統合的な思想かつ個別性も詳細に吟味されているところが
秀逸です。
特に印象に残った部分についてコメントすると、「意識のスペクトル」について、彼は各段階を色彩を使って表現しています。
(著書によっては、一部色の配列が変わっている気もします。特に第2層以降)
具体的には、各色彩の段階を「ミーム」と呼び、下記のように序列を作っています。
第1層:ベージュ⇒パープル⇒レッド⇒ブルー⇒オレンジ⇒グリーン
第2層:イエロー⇒ターコイズ
第3層:コーラル(トランスパーソナル)
特に本書において、彼が厳しく批判しているのは第2層に飛躍する前の「グリーン」のミームです。
グリーンは多文化相対主義と例えられ、政治的にはリベラルな左派であり、これまで排斥され周縁に
追いやられてきた様々な文化や民族を擁護するという、一見すると平和の推進者のような人々が属します。
著者自身もそう述べているとおり、実際、グリーンのしたことは、少なからず現実を変えてきました。
しかし、グリーンの行き過ぎた平等主義、階層を排除することの罪は、例えばブルーの権威主義的段階
によって制御されてきたレッドの本能的活動を解放して無秩序状態を作ってしまったり、グリーンそのものが
極端な主観主義に基づく「ナルシシズム」の温床になってしまい、第2層、つまりより統合的な意識への
飛躍を難しくしてしまっているという部分にあるのでした。
私はこれを読んでいて、少し胸が痛くなりました・・・。
しかし、これはグリーンの段階にいる人々が第2層へ飛躍するために、直面せざるをえない事実だとも感じます。
著者は決して第1層を否定しているのではなく、第2層に移行した時にこそ、全ての段階が現実を
構成するホロンの一部なのだ、ということが本当に分かるのだそうです。
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万物の理論-ビジネス・政治・科学からスピリチュアリティまで- 単行本 – 2002/9/20
物質・生命・心を含む宇宙と人間の構造を、
あらゆる思想・哲学・宗教を含んで統合的に明らかにし、
我々のいる位置と進むべき未来を鮮やかに指し示した、
ウィルバー哲学最良の入門書。
◇2002年9月刊行・現在(2009年8月)第3刷◇
あらゆる思想・哲学・宗教を含んで統合的に明らかにし、
我々のいる位置と進むべき未来を鮮やかに指し示した、
ウィルバー哲学最良の入門書。
◇2002年9月刊行・現在(2009年8月)第3刷◇
- 本の長さ317ページ
- 言語日本語
- 出版社トランスビュー
- 発売日2002/9/20
- ISBN-104901510088
- ISBN-13978-4901510080
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商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
物質・生命・心を含む宇宙と人間の構造を、あらゆる思想・哲学・宗教を含んで統合的に明らかにし、我々のいる位置と進むべき道を指し示した、ウィルバー哲学の入門書。
抜粋
●訳者まえがき――岡野守也
ケン・ウィルバーは、現代アメリカの、というよりは現代の世界の、もっともすぐれた思想家の一人であり、二十一世紀という海図なき嵐の海で漂流2遭難することなく航海し続けるための、今望みうる最善の羅針盤、最高の水先案内人であると思う。
もし読者が、環境の崩壊、貧困、民族2宗教紛争、テクノロジーの暴走、グローバリゼーションのマイナス面などなど、列挙すれば果てしない現代の危機に直面して、「これはいったいなぜなのか」「どうすればいいのか」「はたして人類は生き延びられるのか」といった、深い不安をともなった疑問を抱いておられるとすれば、ぜひ本書を繰り返し熟読されるようお勧めしたい。
宇宙の進化の中の人間の現在位置を明らかにすることによって、未来の方向をも明示するという、おそらくこれまでに接したことがないであろうスケールの大きな発想に触れて、当初、とまどいを感じ、理解に苦しむかもしれない。なぜこんな面倒なものを努力して読まなければならないのかといった思いにおそわれて、放り出したくなるかもしれない。
しかし、立ち止まって考えていただきたい。すでに知っている知識や理論では、先のような現代の危機が起こるのはなぜなのか、どうすればいいのか、見通しがきかなかったから、もしかという期待で本書を手に取られたのではないだろうか。もしそうだとしたら、新しい、未知の理論を消化するのに、そうとうな心理的なコストをかけることは必要やむをえないとは思われないだろうか。投資しないで利潤を得ることはありえないというのは、経済だけの原則ではない。「そうか、こう考えればいいのだ」「こうすればいいのだ」という思想的2実践的な展望を得るにも、理解のための努力という投資が必要である。
本書にそうした努力に報いるだけのものが十分にあることは、筆者が保証する。筆者自身、『進化の構造』以来のウィルバーの著作に触れて、目の前が驚くほど大きく、そして明るく開け、そうか、これなら人類に未来はある、と感じ続けている(やや詳しくは巻末の「解説とあとがき」参照)。特に本書は、具体的にどうすればいいか、基本的な方向を実に鮮やかにしめしていて、きわめて説得的である。大きな問題に直面して、なぜかわからず、したがってどうすればいいかもわからず、途方に暮れかかっている時、本書は、「そうか、こうすればいいのか」という方向を示してくれる。
もし読者が人類の未来に深い不安と疑問を感じておられるなら、それを勇気と希望に変える力を本書から得ていただきたい。ぜひ、理解の労を惜しまないでいただきたいと思う。
二○○二年 おそらくまちがいなく温暖化による猛暑の夏
岡野守也
ケン・ウィルバーは、現代アメリカの、というよりは現代の世界の、もっともすぐれた思想家の一人であり、二十一世紀という海図なき嵐の海で漂流2遭難することなく航海し続けるための、今望みうる最善の羅針盤、最高の水先案内人であると思う。
もし読者が、環境の崩壊、貧困、民族2宗教紛争、テクノロジーの暴走、グローバリゼーションのマイナス面などなど、列挙すれば果てしない現代の危機に直面して、「これはいったいなぜなのか」「どうすればいいのか」「はたして人類は生き延びられるのか」といった、深い不安をともなった疑問を抱いておられるとすれば、ぜひ本書を繰り返し熟読されるようお勧めしたい。
宇宙の進化の中の人間の現在位置を明らかにすることによって、未来の方向をも明示するという、おそらくこれまでに接したことがないであろうスケールの大きな発想に触れて、当初、とまどいを感じ、理解に苦しむかもしれない。なぜこんな面倒なものを努力して読まなければならないのかといった思いにおそわれて、放り出したくなるかもしれない。
しかし、立ち止まって考えていただきたい。すでに知っている知識や理論では、先のような現代の危機が起こるのはなぜなのか、どうすればいいのか、見通しがきかなかったから、もしかという期待で本書を手に取られたのではないだろうか。もしそうだとしたら、新しい、未知の理論を消化するのに、そうとうな心理的なコストをかけることは必要やむをえないとは思われないだろうか。投資しないで利潤を得ることはありえないというのは、経済だけの原則ではない。「そうか、こう考えればいいのだ」「こうすればいいのだ」という思想的2実践的な展望を得るにも、理解のための努力という投資が必要である。
本書にそうした努力に報いるだけのものが十分にあることは、筆者が保証する。筆者自身、『進化の構造』以来のウィルバーの著作に触れて、目の前が驚くほど大きく、そして明るく開け、そうか、これなら人類に未来はある、と感じ続けている(やや詳しくは巻末の「解説とあとがき」参照)。特に本書は、具体的にどうすればいいか、基本的な方向を実に鮮やかにしめしていて、きわめて説得的である。大きな問題に直面して、なぜかわからず、したがってどうすればいいかもわからず、途方に暮れかかっている時、本書は、「そうか、こうすればいいのか」という方向を示してくれる。
もし読者が人類の未来に深い不安と疑問を感じておられるなら、それを勇気と希望に変える力を本書から得ていただきたい。ぜひ、理解の労を惜しまないでいただきたいと思う。
二○○二年 おそらくまちがいなく温暖化による猛暑の夏
岡野守也
著者について
ケン・ウィルバー(Ken Wilber)[著]
1949年、米国オクラホマ州生まれ。トランスパーソナルの代表的な理論家。著書に「万物の歴史」(春秋社)「ワンテイスト」(コスモスライブラリー)「意識のスペクトル」「アートマン・プロジェクト」「構造としての神」など.
岡野守也(おかの もりや)[訳]
1947年生まれ。関東学院大学大学院神学研究科修了。現在、サングラハ心理学研究所主幹。唯識、トランスパーソナル心理学、ホリスティック教育・エコロジー・自然農法などの紹介に携わり、新しい思想潮流の創出に関わった。著書に「自我と無我」(PHP)「トランスパーソナル心理学」(青土社)など。
1949年、米国オクラホマ州生まれ。トランスパーソナルの代表的な理論家。著書に「万物の歴史」(春秋社)「ワンテイスト」(コスモスライブラリー)「意識のスペクトル」「アートマン・プロジェクト」「構造としての神」など.
岡野守也(おかの もりや)[訳]
1947年生まれ。関東学院大学大学院神学研究科修了。現在、サングラハ心理学研究所主幹。唯識、トランスパーソナル心理学、ホリスティック教育・エコロジー・自然農法などの紹介に携わり、新しい思想潮流の創出に関わった。著書に「自我と無我」(PHP)「トランスパーソナル心理学」(青土社)など。
登録情報
- 出版社 : トランスビュー (2002/9/20)
- 発売日 : 2002/9/20
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 317ページ
- ISBN-10 : 4901510088
- ISBN-13 : 978-4901510080
- Amazon 売れ筋ランキング: - 649,997位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 125位イギリス・アメリカの思想
- - 1,149位西洋哲学入門
- - 5,553位超心理学・心霊
- カスタマーレビュー:
著者について
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2015年8月26日に日本でレビュー済み
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2012年7月21日に日本でレビュー済み
物質・生命・心を含む宇宙と人間のHierarchy構造を、あらゆる思想・哲学・宗教を含んで統合的に明らかにし、我々のいる位置と進むべき未来を鮮やかに指し示した、ウィルバー哲学最良の入門書。との宣伝文は勇ましいが、本物の科学者がBeyond Reductionism を叫び、著名な理論物理学者の主流とは異なる理論も未完に終わったにひとしい。David Bohmの理論は数学化出来ようもない程難解であった。非線形的な自然界、物質と精神、精神と心、生態系、生体系etc.は既存の物理学的方法論の不得意な領域であった。現在もそれは変わらない。だからニューエイジサイエンスで必要性を叫ばれた新たな科学理論の追求は忘れ去られた。ところが、初めはそこに属しながら、目指す目的は違った。物理学者的視点考えれば、容易な、哲学者的視点から捉えれば、当然な道を歩んできた。この著書はその総論と言ってもよく、入門書ではない。彼は西洋人(米国人だが)として、東洋のドラゴンの血しぶきをシッカト身に受け西洋思想に東洋思想、宗教で思考をコーティングしたのである。しかし、血しぶきを全身に浴びし時、一葉の葉っぱがシールディングを・・・ジークフリートか?読む人が読めばKen Wilberは世界の思想、哲学、宗教等に非常に詳しいが現代物理学、宇宙論、生物学、エコロジー、システム科学、複雑系の科学などの知識は「The Singularity Is Near: When Humans Transcend Biology」の著者Ray Kurzweilまではいかない。がしかし、当時、話題のM-Theory-などに言及するから、全てをUnifyなどと言うから、元来還元論者であったことが知れる。彼は西洋人としての思想、哲学を世界の要素を非常に華麗に言語でIntegrationしたに過ぎないと分かる。しかし、このように全ての事(思想的なものに限る)をUnifyしたものはなく。ビジネス・政治・科学からスピリチュアリティまで論ずるというのは米国の知識層、政財界、学界が一目を置くのは当然である。したがって、この著書は読む価値がある。目次はPCで検索してください。訳者まえがき、読者への覚え書き 、7章からなる本文、解説とあとがき。これは米国で話題となった「A Brief History of Everything(万物の歴史春秋社、1996)よりはグーンと読み応えがあります。是非お読みになられて、米国人の精神的強靭さ、西洋人の超頑固さも知ることは大切です。
ところで・・・Our Japanese ?
ところで・・・Our Japanese ?