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生命学をひらく 自分と向きあう「いのち」の思想 単行本(ソフトカバー) – 2005/7/10
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生命倫理を超えて生命学を提唱し、旧来の学問の枠組みを打ち破る森岡正博の魅力が全開する、本物の「知の教科書」。
- 本の長さ194ページ
- 言語日本語
- 出版社トランスビュー
- 発売日2005/7/10
- ISBN-104901510347
- ISBN-13978-4901510349
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商品の説明
著者からのコメント
「いのち」と「こころ」の問題を、新しい角度から、できるだけわかりやすく語ってみたい。そういう思いから、この本『生命学をひらく』は生まれました。
死にゆく人の看護について、親子の愛情について、生まれてくるいのちの選択について、「ひきこもり」について、気持ちよさを求めて突き進んでいく現代社会の姿について、私がいま考えていることを全力で語ってみました。「生命学」とは、それらの問題について、けっして自分自身を棚上げにせずに考えていくやり方のことです。まだ聞き慣れない言葉だと思いますが、このような発想が、これからますます必要になってくるはずです。
この本は、ここ一〇年のあいだの講演記録をもとに、編集しなおしたものです。
第一章は、名古屋の予備校で、看護師さんをめざす生徒さんたちを前にして、死にゆく人の「いのち」とどう関わるかについてしゃべったものです。これからの福祉社会を担っていく若い人たちに、ぜひ聞いてほしいと思って、語りました。私が読者のみなさんに伝えたいことは、ここに凝縮されています。
第二章は、東京の大学で、「条件付きの愛」と「無条件の愛」についてしゃべったときのものです。愛という名のもとに、私たちは大切な人の人生を縛っているのではないか、というようなことを考えてみました。
第三章は、大阪の大学で、母親的な愛情からどうやって抜け出せばいいのか、共感はほんとうに可能なのかということについてしゃべったものです。これには、その後、多くの反響がありました。同じような悩みをかかえている人が多いことを痛感しました。
第四章は、京都の医師の集まりで、無痛文明について講演したものです。科学技術は我々を幸せにするのかという大問題について考えてみました。
第五章は、東京の「ひきこもり」についての会で講演したときの記録です。私自身の体験や、失敗談などを交えながら、人と人のコミュニケーションについて考えてみました。「ひきこもり」とは、無痛化する社会に対する無言の抵抗かもしれないと強く思いました。
第六章は、東京の生命科学の研究所で、なぜ「生命学」が必要かについてしゃべったものです。これをお読みになれば、どうして私が生命倫理学をやめて、生命学に移ってきたのかがよくわかると思います。
第七章は、北陸のお寺で話したときのものです。脳死の人を死んでいると思えない人がいるのはなぜなのか、中絶をどういうふうにとらえればいいのか、などについて考えました。
第八章は、東京の大学でしゃべったときのもので、日本の生命倫理の流れを解説しながら、一九七〇年代に女性と障害者たちが訴えてきたことの重要性についてしゃべってみました。「自己否定」から「自己肯定」へ、というそのテーマは、いまなお生命学を貫く大きな主題なのです。
最終章では、生命学のこれからの展望について述べてみました。
以前からよく言われるのですが、私の書いたものはなんだか繰り返しが多くて読みにくいが、私が講演でしゃべったものは、簡潔で、まったく別人のようにわかりやすいとのことです。この本は、その講演をもとにしたものですから、きっと読者のみなさんもリラックスして読んでいただけることでしょう。また、授業や学習会で「いのち」と「こころ」の問題を考えていくときの、テキストブックとしても使えるかもしれません。
この本で私が語ったテーマについて、もっとくわしく知りたい方は、ぜひ『無痛文明論』(トランスビュー 二〇〇三年)と『生命学に何ができるか』(勁草書房 二〇〇一年)を読んでみてください。この本では触れることのできなかった私の考え方が、述べられています。また、その二冊をすでに読んでおられる方は、そこで語られたテーマを別の角度から切り取ったらどうなるかという視点で、本書をお読みいただけると、また別の楽しみを味わえるのではないかと思います。
著者について
登録情報
- 出版社 : トランスビュー (2005/7/10)
- 発売日 : 2005/7/10
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 194ページ
- ISBN-10 : 4901510347
- ISBN-13 : 978-4901510349
- Amazon 売れ筋ランキング: - 415,119位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1958年高知県生まれ。東京大学大学院、国際日本文化研究センター、大阪府立大学現代システム科学域を経て、現在、早稲田大学人間科学部教授。哲学、倫理学、生命学を中心に、学術書からエッセイまで幅広い執筆活動を行なう。代表作はいまのところ『無痛文明論』だが、そのほかに、男性セクシュアリティ論の話題作『感じない男』、草食系男子ブームの火付け役となった『草食系男子の恋愛学』、オウム真理教事件から哲学する『宗教なき時代を生きるために』、脳死論の古典『脳死の人』、生命倫理の重要作『生命学に何ができるか』、絶版になってしまったメディア論『意識通信』などがある。日本語サイトは、http://www.lifestudies.org/jp/ 新刊『まんが 哲学入門』(講談社現代新書)は私自身がまんがの原画を描いた問題作。鉛筆描き原画はhttp://www.lifestudies.org/jp/manga/で見られます。反出生主義の克服を考察した『生まれてこないほうが良かったのか?』(筑摩選書)。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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「いのち」の思想は他人事ではない。常にそれは自分自身の問題として現れる。更に言えば、他人の「いのち」は語ることができないし、語ってはならない。わからないことはわからないとはっきり言うしかない。そして、そこで開き直ってしまうのではなく、必死になって踏ん張らなければならない。脳死、引きこもり、人工妊娠中絶、フェミニズム、…正直、私はこれらの問題に関して、何が本当に正しいのかよくわからない。だが、そうして「わからない、でも何かがおかしい」とはっきり直観するところから「生命学」はスタートする。それらの問題をどれだけ自分のもとに引き寄せ、自分の言葉で語ることができるか、それが何より重要なのだ。
本書は、著者の講演をまとめたものである。著者の代表作『生命学に何ができるか』『無痛文明論』のエッセンスを取り込みながら、それらの著作においては触れられなかったことにも言及されていて大変興味深い。また、「生命学とは何か?」という素朴な疑問に対しても、著者による現時点での回答がわかりやすく提示されている。
本書を読んで私は救われた。と同時にどう生きてゆけばいいのか、ますますわからなくなった。この2つの感情は互いに矛盾している。しかし、そのどちらも私にとっては紛れもない真実なのである。
わたしは呆れ果ててしまうのでした